編集部 2018.12.06 【レポート】「10代で出会った仲間とバンドをやり続けることーー音楽と生活のバランスを考える」

10代で出会った仲間とバンドを組み、大人になった現在もライヴハウスで音楽を続けている2組のバンド、KONCOSとTENDOUJI。バンド結成の時期や成り立ちは違えど、現在30代のメンバーで活動している2組のバンドは、仕事や家庭と音楽の両立をどのようにしているのか?

京都で開催された音楽フェス〈ボロフェスタ〉の2日目(10月27日(土))に、KONCOSの古川太一&佐藤寛と、TENDOUJIのアサノケンジ&モリタナオヒコを迎えて行われたトークイベントの様子を本ページではレポートでお届けする。

■「27、8歳の頃にやっとバンドを始めたんです」

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──KONCOSとTENDOUJIは、すでに何度も交流があるそうですね。

古川:自分たちの企画にTENDOUJIを呼ばせてもらったり、いろんなところで一緒になる機会があったりするのと、下北沢でよく会うんですよ(笑)。

アサノ:俺からすると、(古川)太一さんはどこにでもいるイメージ。ライヴハウスだけじゃなくて、道とかでもよく会うし(笑)。

モリタ:古川さんが36歳で、僕らは32歳なんですけど、勝手に同年代感も持っています。なので逆に今日しゃべることあるのかって、心配です(笑)。
 

──(笑)。今回のテーマにある通り、2バンド共「10代で出会ったメンバーとバンドを続けている」わけですけど、事前に太一さんと話したら「あまり意識したがことない」と仰っていて驚きました。

古川:僕と寛は高校の同級生なんですけど、高校1年生の時、ヒップホップにハマっていたので、全部XLの服を着てミッシェル・ガン・エレファントのコピー・バンドをしていたんです。そこから高校卒業して東京に上京しても2人でずっと曲も作っている。前のバンドを辞めてからも、もうちょっとできるかなと思ってやっているうちに、普通に36歳になっちゃいました(笑)。

佐藤:本当にいつの間にか36歳になっちゃいましたね(笑)。高1でコピー・バンドを始めて、オリジナル曲を一緒に作ったのは高校3年生の時。それが、そのまま36歳まで続いてしまったっていう(笑)。

アサノ:その話は理想的ですね。
 

TENDOUJIのモリタナオヒコ(左)とアサノケンジ(右)TENDOUJIのモリタナオヒコ(左)とアサノケンジ(右)

──TENDOUJIも昔からの仲間なんですよね?

アサノ:そうなんですけど、僕らは真逆というか。小中の同級生なんですけど、当時サッカー部に入っていて、各々音楽に興味が出始めてもバンドをやることに対してめちゃくちゃ照れがあったんですよ。「バンドやらない?」とは恥ずかしくて言えなかった。全員がそう思っている状態で15年が経過し、27、8歳の頃にやっとバンドを始めたんです。
 

──その気持ちをよく15年も持ち続けていましたね(笑)。

モリタ:28歳くらいの頃は普通に働いていたんですけど、人生がめちゃくちゃしんどかったんですよ。(アサノ)ケンジもめちゃくちゃしんどそうだったから、恥ずかしいけど、これは言うしかないと決意して。「バンドやるの? やらないの? どっちなの!」って話したら「やります!!」って(笑)。

一同:(笑)。

モリタ:その時、「あと1ヶ月くらい待って」って言われたんですけど、「今始めないとダメだ」と思ってベースを誘ったら、秒で仕事辞めてきて(笑)。そもそも俺らはライヴハウスに行ったこともなければ、音楽シーンもまったく知らなかったので、最初にライヴハウスに出た時は怖すぎて泣きましたね……。
 

■「バンドっていいな! っていう根本がTENDOUJIにはある」

KONCOSの佐藤寛(左)と古川太一(右)KONCOSの佐藤寛(左)と古川太一(右)

──KONCOSのお2人は高校時代からずっと一緒にやっている訳じゃないですか? 音楽をやることがしんどいみたいな気持ちになったことはないんですか?

古川:音楽ってつらいですよ。例えば、チケットがなかなか売れないときもあるし、音楽面でもキラーチューンを更新していかないとっていうプレッシャーがあったりする。じゃあ、なんでやっているかというと、ライヴが楽しいってことだったり、つらさを超える何かがあるからだと思うんです。麻薬みたいなものですよ。それに、本当にお客さんやみなさんのおかげだと思います。
 

──ぶっちゃけ、バンドを辞めようと思ったことはないですか?

古川:それはないかな。納得できたら辞めるのかもしれないけど。僕はもともとドラマーで、マイクも握ったこともなかったんです。29歳の時にピアノ教室に通ってピアノを始めたばかりなので、まだまだ全然自分に納得できていないですね。

いいライヴを観たり、いい曲を聴いたりしたとき、「こんなにいい曲あるんだ! 自分もまだまだやれるな!」ってモチベーションが更新されていく。それがおもしろいんですよね。僕、昔、電車とか車も好きだったんですけど、全部の種類の車を知り尽くしたとき「あ、終わったな」と思ったんです。僕に車は作れないですけど、音楽は作れるし、終わりがないのがいいんですよね。
 

──(笑)。TENDOUJIもバンドをやりながら、どんどん作りたい曲ができていく感覚はありますか?

アサノ:音楽的に言ったら、僕らはまだ高校生みたいなものなので(笑)。「なんでもできるっしょ!」「もっと良い曲書ける!」っていう感覚が僕らの中にあるから、煮詰まることは一切ないですね。楽しくてしょうがないです。

古川:バンドっていいな! っていう根本がTENDOUJIにはある。だから観ていて楽しいし、お客さんもきっとそうなんじゃないですかね。この前、僕の友達のイベントで、TENDOUJIとTENDOUJIのコピー・バンドが対バンしていて。最高でしたね。
 

──本家がコピーバンドと対バンをしたんですか(笑)。

アサノ:こいつらには勝てるぞと思って(笑)。
 

■「スタジオ代をバンド費で払えるようになることがバンドのスタートライン」

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──28歳で仕事を辞めてバンドを組むって、相当な勇気がいるじゃないですか?

モリタ:俺たちめっちゃバカなんですよね(笑)。基本何も考えていないし、それまでの人生がつまらなさすぎた。でも、バンドを始めた瞬間、たくさん友達ができて「あれ? 結構俺ら人気者じゃん?」って嬉しくてしょうがなくなって。だから、迷いとか焦りとかは全然ないです。毎日「超楽しい! 今日もよかった!」という連続ですね。
 

──とはいえ、お金の心配とかないですか?

アサノ:これ、他のインタビューでも言っているんですけど、俺の家が金持ちなんですよ(笑)。

会場:(笑)

アサノ:だから、そこは全く心配していなくて。

モリタ:メンバーもケンジの残高を知っていますからね(笑)。最後はケンジの残高頼みいうところはありますね。

古川:残高の話、いいね(笑)。逆に僕らは人生心配だらけですよ(笑)。ライヴをしても、想像以上に収入があるってことはないですから。移動するのにもお金はかかるので、最近はずっとどこを切り詰められるか考えていて。宿泊を全部サウナにしてみたり(笑)。そうやって他の楽しみを見つけたり、アイデアを出し合ったりはして楽しくやるようにしています。

佐藤:僕も太一も音楽だけで生きている訳じゃないっていうのもありますね。太一だったらデザインの仕事もしているし、僕はケータリングの仕事とかをやっていて。昔から仕事も好きなので、どちらもずっとやっている。もちろん2人とも結婚して子どももいるので、10年後、20年後、46、56歳になったときにどうなっているのかなっていうのは考えます。音楽を続けるためにどういう生き方をして、経済面をどう立てていくか、って。

アサノ:さっき冗談っぽく言ったんですけど、僕らも親の金があるから何も考えないとかではなくて、切り詰めるところは切り詰めて、ここぞという時はちゃんと使おうっていうバンドにしたいと思っていて。音楽だけで食っていくためにどうするかってことは常に考えていますね。
 

──バンド活動で1番お金を使うのってどこなんですか?

古川:スタジオ代ですね。僕たちは1時間2,000円のスタジオに週2で4時間入るんですけど、その料金をバンド費で払えるようになることがバンドのスタートラインだと思っていた。スタジオ代をバンド費で賄えるようになるだけでバンドが楽になるんですよ。昔はライヴハウスに出るごとにノルマを払っていた時期もあったから、それを1つの目標にしていましたね。

僕らは結構古いタイプで、スタジオで音を合わせながら曲を作っているので、スタジオに入らないとできないんですよ。高校生の頃からのスタジオ代を積み立てたら、スタジオ買えちゃうんじゃないかな……(笑)。

アサノ:僕らもスタジオ代が1番かかりますね。メンバー4人で割っていたときは、えげつなかったですね。そこだけはバンド費でまわさないとっていう基準になりますね。
 

──バンドのお金は誰か1人がまとめているんですか?

古川:僕は全然ダメなので、昔から寛がやってくれています。

アサノ:僕らもそれぞれの性格が分かっているので。ベースのヨッシー(ヨシダタカマサ)に全部任せています。
 

■「なるべく飲まずに家に帰ろうと思うようになりました」

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──ちなみに、これだけメンバーで一緒にいる時間が長かったり、お金の面も不安定だと、恋人や家族から快く思われないケースもあると思うんですけど、家庭とバンドの両立は困難じゃないんですか?

古川:僕の場合はバンドと女性の問題というよりお酒がやめられなくて(笑)。バンド活動に関しては快く思っていないってことはないんじゃないかなと思います。こうやって〈ボロフェスタ〉に呼んでもらっていることってすごいことだと思うし、応援してくれていると思います。

アサノ:僕は結婚していないんですけど、今まで付き合っていた人から「バンド辞めて」って言われたことはないですね。ただ、30歳を過ぎてバンドをやっているのって普通におかしいじゃないですか(笑)?

一同:(笑)。

アサノ:もしや「バンド辞めて」って言ってくれる人の方がいいんじゃないのかなと思って。「バンド、やっていいよ!」って言われると、逆にすげー怪しいなって思いますね(笑)。
 

──あははは。寛さんは先ほど家庭のお話をされていましたけど、うまく両立はできていますか?

佐藤:子どもが産まれてから少し関係は変わったかもしれないですね。子どもとの時間が大切だから、なるべく飲まずに家に帰ろうと思うようになりましたね。
 

──モリタさんはいかがですか?

モリタ:僕はバンドを始めて速攻でフラれましたね……。普通に怖いんでしょうね、女の人からしたら。「こいつ、まじで言っているの!?」 って。結構ショックでしたよ。俺は、普通に許してくれる人がいいですけどね。応援してくれたり、ご飯を作ってくれたりしたら嬉しいですよね。そんな感じです(笑)。
 

──四者四様ですね。バンドを続けていく上での、1番のモチベーションはどこにあるんでしょう?

古川:もっといい曲を作りたいという思いですかね。やっぱり自分の中で、いい曲ができた時に1番ハッとするんですよ。その自分をずっと更新していきたいなって思っていますね。そう、発見を…… したいです……。
 

──どうしたんですか(笑)?

佐藤:死ぬの(笑)?

一同:(笑)。

古川:いや、こんなことお客さんは知らなくていいんだよ。ステージに出た格好いい姿と音楽だけでいいんだよって(笑)。そう思ったら、なんで僕はステージ上でこんなにペラペラしゃべっているのかと思って……(笑)。
 

──今日の話は後日マネチエにレポートが掲載される予定です(笑)。

古川:僕、全部原稿直しますよ(笑)。バンドマンというものは、悩みなんてないように見られたいものですから。
 

■「“自分たちで自分たちのお金を作る”という発想でやっている人たちを応援してほしい」

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──最後に今日の感想と、今後の展望を1人ずつお聞かせください。

佐藤:TENDOUJIのことが、より好きになりましたね。愛すべきキャラだなって。あとは、これからももっとバンドを頑張っていきたいですね!

古川:僕は…… 今日言ったことは全部嘘です(笑)! ステージに立っている姿だけを知ってくれていればいいので、全部忘れてください。〈ボロフェスタ〉もそうですけど、“自分たちで自分たちのお金を作る”という発想でやっている人たちを応援していただきたいし、僕らはそうやって応援してくれる人たちに対して責任を持っていい音楽を作ることを続けていきたい。お金を払ってもらう意味を僕らも常に考えていますね。お互い丁寧にやりましょう。よろしくお願いします!

アサノ:KONCOSと出会って3年ぐらい経つんですけど、じっくり話すことがなかったんですよね。KONCOSみたいに高校生の頃から友達でバンドを組んでやるのがバンドの理想形だとずっと思っていて。やっぱりそうだったんだと思ってすげードキドキしたし嬉しかったです。太一さんも、〈ボロフェスタ〉もそうなんですけど、自分らで何かをやることに僕らも憧れていて。まだまだ僕ら4人にパワーがないっていうのを感じているので、まずは売れたい。その上で、ライヴハウスとかに還元できる存在になれるようにやっていきたいです。

モリタ
: 僕もKONCOSのことが本当にめちゃくちゃ好きなんです。不思議なんですけど、KONCOSのライヴを観ると、ずっと音楽をやっていたいって思うんですよ。俺らもずっとバンドやっていたいとか、ずっと音楽に触れていたいってすごく思って。単純に〈ボロフェスタ〉みたいに、いいバンドやアーティストが集まるイベントが増えればいいなって。KONCOSのライヴを観て改めて思いました。
 

──モリタさんの展望は?

モリタ:とりあえず金持ちになりたいですね(笑)。俺らはそういうバンドなんで! 金持ちになろうと思っています(笑)。

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