編集部 2017.12.01 【座談会】いつの間にか減っているお金。貯金するために必要なリテラシーとは?

お金に関する疑問・不安の解消や情報提供を行う「マネチエ」編集部。このたび、クレジットカード会社・クレディセゾンが運営する新しい働き方と暮らしをコンセプトにしたWebサイト「SAISON CHIENOWA」(セゾンチエノワ)(*1)との共同企画として、座談会を開催しました。座談会のテーマは「無駄遣いをなくし、かしこく貯蓄するには?」。ソニーネットワークコミュニケーションズ(SNC)とクレディセゾンから3名ずつが集まった座談会には、ファイナンシャルプランナーである八ツ井慶子さんにもご参加いただき「かしこい貯蓄法」を指南いただきました。

FPがズバリ指摘! 貯蓄の二極化が進んでいる

クレディセゾン、SNC各社から3名ずつ(男性3名、女性3名)が参加した座談会では、おのおのが持参した月々のクレジットカードの明細書をファイナンシャルプランナー(FP)である八ツ井慶子さんが“鑑定”。鑑定内容をもとにアドバイスが送られる形式で進められました。座談会参加者は以下の通りです。

〈座談会参加者〉
コウジさん(クレディセゾン)    男性(30)既婚
カナコさん(クレディセゾン)    女性(34)既婚
ユウスケさん(クレディセゾン)        男性(41)既婚
シオリさん(SNC)                   女性(30)既婚
リョウコさん(SNC)                         女性(32)既婚
トモヒロさん(SNC)                         男性(34)独身

八ツ井さんは座談会開始にあたり、最近の世の中の傾向として次の点を指摘します。

「老後に対する不安の“若年化”を感じています。一昔前であれば40〜50代で悩まれていた老後の不安を、20~30代から感じていらっしゃる。こうした背景のひとつに少子高齢化があるのでしょう。また、統計をみると、貯蓄のある人・ない人の二極化が進んでいます。これは年収だけの要因ではなく、相談の経験上、家計管理がうまくできずに貯蓄できない人も大勢いらっしゃると感じています」

では、貯蓄しない人(できない人)は、貯蓄する人(できる人)と何が違うのでしょうか?

「貯蓄は、収入-支出の結果です。貯蓄のできない人の多くは“支出”のコントロールができていません。逆に、貯蓄のできる人はしっかり“支出”のコントロールができています。この要因は何かというと、もっとも大きな違いは、“自分”をしっかり持っているかどうか、だと思います。少し抽象的な表現ですが、たとえば『人が持っているから』『流行っているから』『安かったから』という理由での購入は、すべて自分以外のところに判断基準があり、いわば受け身の判断。“自分”軸があると、それらの理由で買うことはありません。基準は自分ですから、自分にとって本当に必要かどうかで消費を決定するのですね」(八ツ井さん)

アプリ課金、ネットショッピング…浪費型メンバーの悲しい性

口火を切ったのは1児のパパで、結婚4年目になるコウジさん。「今年の春までやっていたゲームや漫画のスマホアプリの少額課金が積み重なり、月々で結構な支出を生んでいた」と懺悔します。

コウジさんの明細を見た八ツ井さんがとくに気にしていたのは「Apple iTunes Store」の課金項目。コウジさんの明細では、数日おきに数百〜数千円程度の金額が支出計上されていました。このほかにも、コンビニ購入の際の電子マネー(QUICPay)などの項目が記録されており「お金の支出について、妻に指摘されることもしばしば……」とうつむきます。この日の座談会、唯一の独身者であるトモヒロさんのカード明細にも、アプリ課金やネットショッピングによる項目が頻出していました。

一方、同じく既婚者であるユウスケさんは「きちんと貯蓄はできていて、1円単位の家計簿をつけている」。しかし「趣味のレベルで競馬などのギャンブルに興じることもある」のだとか。そうした少々「浪費癖」のある男性メンバーに対し、カナコさん、シオリさん、リョウコさんの既婚女性は皆さん「将来への不安から、家計としてコツコツと貯蓄をしている」という方が多くを占めていました。

買い物を見直そう——○の買い物、×の買い物

八ツ井さんは、浪費しがちな男性メンバーに対し、次の点を指摘します。

「ゲーム課金、電子マネー、ネットショッピングという『費目』では、中身もさることながら、“なぜ”それを買ったのかの理由もわからないものです」

たしかにカード明細上では「アップル アイチューンズ ストア」、「QP」(QUICPay、電子マネーの一種)、「Amazon」……というふうに、会社(サービス名)が記載されるのみ。「どんな商品を/どんなときに/どんな理由から購入したのか」——そうした状況まではわかりません。

「無駄遣いの改善には『何を買ったのか』ということ以上に『なぜ買ったのか』が重要。後から手元に届くカード明細からはそれがわかりません。そのため、残念ながら、明細は無駄遣い解消のツールとしては役不足です。ゲーム課金にしてもその他の出費にしても、それがストレス解消になるのでなれば悪いことではないかもしれません。しかし、それがエスカレートするようだと、そのストレスとちゃんと向き合うことが大切です。消費を増やしてもストレスは解消されないことは覚えておきましょう。つい衝動買いをしてしまうのであれば、何か買い物をするときに、3秒間でも『本当にそれが必要なのか』を考える“3秒ルール”はオススメです」

さらに八ツ井さんがオススメするのが「○×チェック」です。

○×チェックとは、八ツ井さんが提唱するお金の使い方チェック法。たとえば、レシートの束を月に一度見直し、正しい買い物だと思ったら「○」、無駄遣いだったと思ったら「×」をつけてチェックします。

「本当にこわいのは、お金を使うことが目的になってしまうこと。お金を使っている要因と向き合う機会のためにも、(外で買い物をしたときには)レシートをもらう、(ネットショッピングや課金をしたときには)メモを取るなどの習慣が大事です。さらに、買い物をしたときはどんな気分でそれを買ったのか、そのときの気持ちを日記に記しておけば、自分の無駄遣いの傾向も見えてきます。日記や○×チェックで自分のお金の使い方の傾向を知ることが、無駄遣いをなくすことにつながります」

お金を使う行為は「等価交換」

八ツ井さんは最後にこんなメッセージを送ります。

「“買い物”とは、お金とモノやサービスとの“交換”です。お金は持っていれば、いつか必ず役に立ちます。それは、必要なモノといつでも“交換”できるからです。ところが、お金を手放して(交換して)手に入れたモノが無駄だったとしたら、それは結果的にお金をドブに捨てるようなものでしょう。絶対に役に立つお金を手放しても、絶対に役に立つモノやサービスと交換できれば、それは生きたお金の使い方です。お金は私たちの人生を豊かにしてくれますが、その使い方次第では、逆に苦しい人生にもなってしまいます。ですから、日々のお金使いはとても大事なのです。お金とともに、自分の人生も大事にしてほしいなと思います」

お金をどう使うか考えることは、人生設計を考えること。何をしたいからお金を使うのか、何のためにお金を貯めるのか。まずはそこから考えていくことがベストのようです。

同座談会、「セゾンチエノワ」バージョンはこちら
>>貯めてなんぼか使ってなんぼか!? 働きざかりのお金の座談会 - SAISON CHIENOWA

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