編集部 2019.02.22 趣味のためなら食費も削る!人生を楽しむ腐女子の知恵【腐女子のつづ井さんインタビュー】

趣味に生きる人々は、輪の外の尺度では計れない金銭感覚を持っているもの。一体どこから、どういう基準でお金を出しているのか──今回はオタク女子、ことに腐女子の生き様に大注目。エッセイ漫画『腐女子のつづ井さん』で人気の著者・つづ井さんに、マネチエ編集部がお話を聞いてきました!インタビューを受ける機会が少ないという、つづ井さんの明かす腐女子のお財布事情とは?

■腐女子、お金の使い方を知る

──早速お金と関係ありませんが、オタクになった瞬間、なった時期などに自覚はありましたか?

これがきっかけ! という作品や出来事は、実は特にありません。気付いたらオタクになっていました。小さい頃から無自覚に絵は描いていても、田舎住まいだったんで、お金の使い道もわからなくて。実家を出て初めてアニメイトなどのグッズショップが現実にあるということを知りました。テレビの中の事だけだと思ってたけど、私でも買えるんだ──って。順応は早かったです。


──一人暮らしで家計簿はつけていましたか?

つけていても、趣味はカウントしていませんでした。食費を削ったり、歩いたり自転車を使ったりして交通費を削ったりして。そうやって浮かせたお金を『娯楽費』としてレアグッズ等に遣って、金額は見ないようにしていました。数字は書いてもひたすら無視です(笑)

仕送りもあったんですが、アルバイトもしていました。なるべく「公式(※1)」にお金を払いたくて。高校の時からアルバイトをしていた貯金もあったので、DVDやBDを買っていました。

※1.版権元から発売される商品


──買うのは公式グッズと他社から出ているグッズでは、どちらが多いですか?

作品とキャラによりますね。自分の中で「無限に買う」と決めている推しがいて、そのコは見かけたら何でも買います。小さいものであれば、すでに持っていても見かける度に。

売り上げが少ないと今後グッズが出なくなるかもしれないので、推しとはまた違った意味で「私が買わなきゃ!」と思ってしまうコもいます。引っ込みがつかなくなったところもあるんですが……。箱推し(※2)だと、全部揃えたくなってしまいますね。

グッズの中ではフィギュアに憧れがあって、初期に買った大きな買い物の一つです。でもオタクなことは今でも家族に話していないので、そういったグッズの保管方法は悩みの種です。

※2.学校ごとやアイドルのグループ単位、または作品全体で好きの意


──一番使ったキャラや作品には、どれぐらいお金をかけましたか?

日常出費なので、数えたことはありません。ブラインド(※3)だと友達と交換しながら集めることもあります。なので、比重で言えば間違いなくBD-BOXとかの映像媒体が最多ですね。単巻とかDVD-BOXで持っていても、刷新されたら買っちゃうんで。もともと持っているものも売らずに持っているか、友達にあげたりします。

気持ちとしては「やった、もう一回お金を使える!」という感じで。一応値段は見て一旦時間を置いたりはするんですが、いつか必ず加わります

今は観劇にハマっていて、公演にもよるんですけど、推しと観劇を掛け持ちしているイメージです。なので、全体的な出費は増えています。

※3.いくつか種類あり、どれが出るか分からない販売方式


──グッズなどを買う上で、困ったことはありますか?

グッズとは違いますが、観劇にハマると、界隈では定番の『名古屋飛ばし(※4)』が辛いです。購入に関してはネットで購入できる事も多いのであまり困りません。各種ショップも名古屋駅周辺に揃っているんで平気です。

同人イベントは名古屋ではそもそも少なかったり、会場が遠かったりしますが、もともと頻繁に行くほうではありません。

※4.全国公演や鉄道駅で名古屋が含まれない現象

■人生を楽しむために。貯金している暇はない

──貯金はしていますか?

むしろ大学生時代は高校の貯金を切り崩していました。就職してからはお給料の範囲内で生活しています。今も昔も借金はしていません。

家計簿のお話で触れたように、大学の時は食費を削っていました。そんなにお金なかったのか覚えてないんですけど、貧血状態になっちゃったことがあって。絵日記にも出てくるMちゃん(「『腐女子のつづ井さん』に出てくる友だちキャラクター」)に牛丼屋さんに連れていかれて「お肉おいしいんですけどー」って泣いたこともあります(笑)

オタクと関係ない周りの人も心配してくれていたみたいで、ご飯を持ってきてくれたりしたんですよ。それからは食費を削るのは避けたいと思うように……。避けたい、ですけど、購入欲に勝てるかな……。そんな状況もあって、今は貯金はしている暇がありません。むしろお金を使えるのが幸せです。


──グッズを購入した後の『還元』について気にしていることはありますか?

もちろん推しのグッズはたくさん出てほしいです。還元とは関係なくて、可愛い話になっちゃうんですけど、昔っから抱いて寝る犬のぬいぐるみの順番とかポジションが気になっちゃって。昨日はこの子と寝たから今日は君ね、みたいに。残りの子は二匹で寝てもらうみたいに。

今も一緒で、私が見てない時に寂しくないように箱買いしたりとか……、作品からひとり(1体)だと私のグッズの輪(他のコレクション)に入りにくいかもしれないからセットで買ってあげたりだとか。

逆に推しはほとんど単体で、立体物は全て持っていると思います。いっぱいいるから寂しくないよねって。でも私が後ろを見たいからと背中を向けさせていると寂しいかもしれないから、正面にもう一人置いたりして、常にディスプレイの角度にはこだわっています。


──職場のデスク周りに飾ったりもしているんですか?

そういうのは一切ないですね。缶バッジとかキーホルダーを集めても、それと分かるグッズは身に着けることがありません。今だと同志だけが分かるワンポイントのグッズとかが出ているんで、そういうのは気が利いてていいですね。


──日常的に趣味を隠していると、オタク同士はどういう時にお互い気付くのでしょうか?

私の場合は友人の紹介で知り合いました。Mちゃんともそうで、それまでたまに喋る程度だったんですが、共通のオタク友達がバラして繋がりました。……けど、お互いオタクだということは薄々気付いていました(笑)

普段は自分がオタクだということを周囲に話していないのですが、でもどうしてもバレるんですよね。私の場合、オタクではない知人を含んだ会話の中で、好きなキャラクターを聞かれた時に推しじゃなくて、経済力とかを含めた結婚を想定した相手を言っちゃって。そのせいでMちゃんには最初、夢女子(※5)と思われてたみたいです。

※5.多くは自分とキャラクターとの恋愛関係を妄想する人


──ありがとうございました。最後にリアルの男性や、お子さんができた場合について、考えていることがあれば教えてください

大学生ぐらいまでは現実の男性に興味がないこと自体に焦っていました。就職してからは焦ることすらないので、興味が湧いた時にでも……?

子どもが産まれたらどうなってほしいとかも特になくて、オタクになるならないは本人に任せようかと。ただSNSの使い方にだけは気を付けてほしいですね。あと自分とは異質のオタクに出会っても、上手に住み分けしようねって伝えてあげたいです。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:つづ井(@wacchoichoi)

著者:つづ井 出版社:KADOKAWA

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