増やす 2016.09.05 利回り15%、非課税で注目「百貨店積立」失敗しない注意点3つ

日銀のマイナス金利導入で、高金利商品に人気が集まる中、注目されているのが百貨店積立。女性がコツコツ積立てて、満期金で高価なものを買うというイメージがあるかもしれない。金融商品とは毛色が違うが、身近でお得な積立てとして始める男性も増えてきている。

■1年積立てると1カ月分上乗せのシステム

毎月一定額を積立てると、1年後の満期時には12カ月分の積立金額に1カ月分がプラスされた金額の商品券やプリペイドカードなどが受け取れる、というのが一般的だ。

積立てを始めるには、「友の会」会員になることが前提の場合が多いのだが、三越・岩田屋・伊勢丹共通の「エムアイ友の会」は、3つのデパートすべてで使えるため、人気の友の会だ。積立金額は5,000円~5万円まで、期間は6カ月と1年、全6パターンから好きなものを最初に選ぶ仕組みである。1年積立のコースを設定している百貨店が多いが、「エムアイ友の会」のように、6カ月コースを設定しているところもあるので、利息額は減るが短期間でも楽しめる。

今回は月々1万円積立てたと仮定して見ていこう。

■金利15%、非課税、優待豊富……メリットは3つ

1つ目の魅力は高いリターンだ。1年間積立てると合計12万円、受け取れる商品券やプリペイドカードは13万円分だ。これを利回りに換算してみると、13万÷12万=1.083%で年間8.3%の金利がついている計算だ。月々の積立金額に金利がつくので、複利で約15%分の金利がつくというわけだ。100万円を金利0.025%の1年もの定期預金として銀行に預けても、利息はわずか250円(税抜き)しかならないのを考えると、魅力的なリターンである。

2つ目の魅力は非課税というところだ。普通預金・定期預金など多くの預金商品は、一律20%が引かれるため、ただでさえわずかな利息がさらに目減りするので、ガッカリ度は大きい。先ほどの250円の利息の場合、さらに目減りして200円になってしまう。2037年末までの約20年は、復興特別所得税も上乗せされるため、20.315%が引かれる。20%でも、20.315%でも大きく目減りすることには変わりない。しかし、百貨店積立は預金ではないので、税金は引かれることはない。現金で使えるわけではないにしても、まるまる自分の手元に入るといううれしい話だ。

3つ目の魅力は様々な会員優待だ。レストラン・ホテル・美術館の割引、会員限定の劇場招待、お歳暮やお中元の割引(5%、10%など)、会員限定のセール、デパート主催のイベントが無料といったところもある。会報誌を出しているデパートもあるので、自分が使いたい施設と提携していたり、割引率の高い優待などをチェックしておきたい。

■利回りだけで見ると損をする 見ておきたいデメリット3つ

1つ目のデメリットは当然のことながら積立てた百貨店でしか使えないということだ。積立てる百貨店でよく買物をするなど利用頻度が高いのなら、有効活用できるだろう。そうでない場合は満期金を無駄にしかねない。

「好きな店のそろったデパートだから大丈夫」と思っていたら、その店舗が閉店していまい、「遠方まで行かなければならなくなった」というのも実際にあった話だ。

2つ目のデメリットは元本保証がないことだ。銀行預金とは違い、積立金には元本保証はなく、最悪の場合、1円も戻ってこない可能性もある。利回りが良いからといって、あまり大きな額を積立てることはおすすめしない。「友の会」入会前にデパートの経営状況まで調べておこう。

3つ目のデメリットは紛失・盗難時の保証がないことだ。優待分も含めると、最大13万円チャージされていることになる「友の会」カード。紛失したり、盗難に遭ったりして、第三者に使われてしまっても、クレジットカードなどと違い一切の保証は受けられない。単に紛失しただけで、使用されていない場合は再発行が可能なので、それぞれのカードの説明書は確認しよう。

■転売で損をする?使い倒す最後のポイント

自分では使い切れなくても、もらった金券は無駄にしたくないと、金券ショップへの転売を考える人もいるだろう。商品券という形であれば、転売はできるが会員カードにポイントとして付与される場合には、転売できないので事前に確認が必要だ。

転売するにあたっても、買取額は額面より10%くらいは下がるため、自分の積立てた元本以上の買取額か、複数の金券ショップを回るのもありだ。必ずしも転売で利益が出るわけではないのを忘れずに。

目的と方針を決めてスタートすると、非常にお得な百貨店積立。自分の消費行動を考えつつ、メリット・デメリットを踏まえ検討したい。

TEXT:ZUU Online
PHOTO:Thinkstock/Getty Images

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