増やす 2017.03.01 【企業型】確定拠出年金をイチから紹介!説明会を徹底レポート(1)

2016年の秋ごろから「確定拠出年金」という単語をよく耳にするようになりました。これには、「企業型」と「個人型」があります。そこで、企業型への導入を決めたとある小さな会社の社員の体験談を通して、「確定拠出年金」とは何か、実際にやらなくてはいけないこと、知っておいたほうがいいことなどを2回に渡りレポートします。

「確定拠出年金」をはじめるまでのステップ

従業員が「確定拠出年金」を導入するまでには、こんなステップが必要になります。

  1. 従業員説明会で制度の説明を受ける
  2. 会社から基本給付金などの告知を受ける
  3. 投資教育が実施される
  4. 各人が、掛ける金額を決定する
  5. 証券会社からスターターキットが届き、口座を開設する
  6. 掛け金分配を決めて、スタート
  7. 翌月の給与から口座振替がスタート
  8. 翌月から年金運用がスタート

1. 「確定拠出年金」の従業員説明会開催

あなたはある小さな企業で働く従業員です。ある日、社長から「うちの会社も確定拠出年金を検討します」というメールがきました。これは一体どういうことを意味するのでしょうか?

翌日、会議の終わりに経理担当者から「確定拠出年金勉強会」のパンフレットが社員全員(6人)に配布されました。社長からは、「今まで各自が自動的にかけていた厚生年金のほかに、自分で金額と運用先を選べる確定拠出年金を導入します。自分の年金は自分で管理し、増やしていくという意識をもってもらいたい」と話がありました。

会社にとっても節税メリットがあり、また定期預金に預けておいても金利がほとんどつかないなか、自分の選択次第では増やせる可能性があるし、節税にもなるのだとか。まだ何のことだかよくわからないなと戸惑っていると、社員全員に向けて会社が契約した専門家から説明会が開かれるので、それまでにこのパンフレットに目を通して、質問したいことをまとめておくようにと言われました。

確定拠出年金も企業年金の1つだそうで、管轄する厚労省からの指導で会社が新たに年金制度を導入するときは、従業員向け説明会をきちんと開いて全従業員に理解と合意を得なければならないそうです。

2. 説明会でわかったこと

まず説明されたのは、確定拠出年金の種類について。

日頃よく耳にするようになった「iDeCo(イデコ)」は個人型の確定拠出年金で、会社で導入するのは「企業型の確定拠出年金(企業型DC、選択制の401k)」と呼ばれるものだということ。その違いは、掛け金の出どころで、「iDeCo」は自らのお金を年金に拠出します。

一方、今回導入された「企業型DC、選択制の401k」は、原則として会社が掛け金を拠出します。それは、給与が上がるということと同じなのでは?と期待が膨らみます。しかし、「年金なんていらない」という人は、その分を現金で受けとることもできるのだそうです。すなわち、全員加入しなくてはならない企業年金制度ではないということです。

これが、今回会社が準備してくれた「選択制401k」と呼ばれる企業年金でした。

会社からは、今回の確定拠出年金に加入すると、1カ月3,000円の基本給付金が支払われると発表がありました。会社によっては「0円」のところもあるといいますが、なんだか年間3万6,000円の給料アップのような気がします。

社長からは「退職金の前渡しをされたと思ってほしい」といわれました。また、金融や経済の情報感度を上げるために、従業員全員で選択制401kを経験して、今後の人生設計をしてほしいという願いがあることもわかりました。つまり、自分の老後資金は、自分で蓄えて育てるということです。

その後、説明された内容をメリットデメリットでまとめてみました。

【メリット】

選択制の401kは、会社からの基本給付金3,000円に自分の希望する金額(加算給付金)を足し、合計上限5万5,000円までを掛け金として毎月積み立てることができます。

これは、「生涯設計手当」と呼ばれ、基本給とは別で所得とはみなされません。つまり、今までの給料にかかっていた社会保険料や所得税、住民税がこの手当(基本給付金+加算給付金)分、減税になるのです。

手取りの給料額は減りますが、その分貯金をする感覚に近しいと感じました。銀行などで貯金するよりは増える可能性もあり、節税できるなんていいことばかりのような気もします。

手数料は会社負担、さらに、もし利益が出ても課税されないのだとか。また、毎月の掛け金は変更することもできるようです。さらに、退職したりしても次の会社の年金に移管したり、「iDeCo」にすることもできるので、60歳まで継続して積み立てや運用が可能です。

【デメリット】

一方で、デメリットの説明もありました。一度開始したら途中解約や掛けてきた金額を現金に換えることはできません。また加入後は掛け金を0円にすることはできませんが、3,000円までは下げられるのだとか。

さらに、この年金をもらえるのは、今のところ60歳からです。あと何十年先?と気が遠くなりますが、強制的に毎月引き落とされなければ、きっと貯金もしないだろうと思うといいかもしれないという気になってきました。

「いったい何に投資したら?」投資勉強会

企業型確定拠出年金(企業型DC)では、会社が契約した金融機関の運用商品にしか、投資ができないということもあるようです。わが社の規模はとても小さいので、選択制の401kを取り扱ってくれる金融機関がほとんどないそうです。その運用商品のなかには、定期預金のように元本割れをしない商品や、ハイリスクハイリターンの商品など40種類弱の運用商品がラインナップされています。

次回は1カ月後。厚生労働省指導の下に、DCを導入する事業主の義務とされている投資教育の時間があると言います。「投資とはどんなものなのか?」や、運用商品の説明などがあるそうです。

国がこんなに税制面で優遇してくれ、DCへの加入を促進する、それはつまりそもそもの年金制度が危ないのかという危惧もありますが、メンバーからは「なんだか投資に興味がでてきた。儲けたいな」「税金が引かれる分だけを考えても定期預金よりはいいよね」というコメント。ちょっと新しいことにワクワクしはじめました。

ただ、いくら毎月積み立てるのか、どの商品を積み立てするのか?毎日株価をウオッチしなくてはいけないのか?など疑問もどんどん大きくなります。また、社会保険料が安くなった分だけ将来の年金の受給額が減ってしまうというのも気にかかります。

次回の勉強会でこのあたりの計算方法なども教えてもらえるということですし、一度しっかりとねんきん定期便のはがきを見直して自分なりに考えてみようという気になりました。

監修:DCプランナー 山根千鶴枝

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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