増やす 2017.09.20 2018年のロールオーバーが変わる? 2018年NISAの変更点

2018年からNISAの仕組みが一部変更になることをご存じでしょうか。大きな変更点は、NISAのロールオーバーの上限が撤廃されることでしょう。これにより、今までよりも長期運用かつ幅を持たせた運用設計が可能となります。それ以外にも新しい内容が増えます。内容を確認し、2018年の投資に備えていきましょう。

■現在のNISAの確認をしよう

NISAについて今一度再確認していきましょう。NISAとは「少額投資非課税制度」のことで、年間の投資額は120万円までです。投資できるのは、公募株式投資信託(不特定多数の投資家に向けて募集する公募投資信託のうち、約款に株式投資ができると記載されているもの)や上場株式、ETF(上場投資信託)、J-REITなどで、投資で得られた配当や分配金、譲渡益が最長5年間非課税になる仕組みです。

1人1口座しか作れないため、どの金融機関でNISA口座を作るかはしっかり吟味する必要があります。NISA口座開設は20歳以上であることが条件ですが、19歳以下の人は「ジュニアNISA」の口座開設が可能です(運用管理者は親や祖父母)。年間80万円までの投資ができ、NISA同様5年間の非課税期間があります。

■現行のNISAは2018年以降どうなるの?

現在のNISAの仕組みでは、5年間の非課税期間が設けられています。これは、配当金や売却で得た利益は5年間課税されないことを意味します。では、5年後も継続して保有したい場合にはどうしたらよいのでしょうか。

5年経過後は、その時点での時価をもとに特定口座や一般口座などの通常の証券口座に払い出すか、翌年の非課税枠分を使いロールオーバーするかを選択することになります。NISAにおける「ロールオーバー」とは、NISA口座で投資をして5年間経った時に、NISA口座内にある商品を新しい投資枠にそのまま移管することを言います。

これまでロールオーバーを行うとした場合、非課税期間終了時(5年後)の時価により、新たな非課税枠へロールオーバーすることになっていました。しかし、年間の非課税枠が120万円と決まっているため、120万円分しかロールオーバーできなかったのです。

◎具体的にはどういうこと?

たとえば、2014年に100万円分の上場株式を購入していたとします。5年後には100万円の利益を得て、金額が200万円と倍になっていたとしましょう。ここで売却すれば、利益である100万円は非課税となります。もしロールオーバーしたい場合にはどうなるでしょうか。

現状の仕組みのままでは120万円分しかできないため、200万円のうち120万円分のみロールオーバーし、残りは通常の証券口座に移すか売却するしかないのです。これでは、非課税の恩恵をうまく継続できているとは言えません。

しかし、2018年の制度変更によって、仮に上記の例のように、100万円の投資が200万円になった場合でも、当初購入した上場株式すべてをロールオーバーできるようになるのです。これを継続できれば、更なる効率の良い運用が可能となります。

この改正はNISA制度のみならず、ジュニアNISAでも同様に取り扱われるとのこと。非課税の恩恵を大いに受けることができるようになるため、こうした制度改正は大歓迎すべきでしょう。

◎ロールオーバーの考え方を図にすると

現行NISAにおける非課税期間終了時の対応(出典:金融庁「平成29年度 税制改正要望項目」より)

■つみたて(積立)NISAもスタート

ロールオーバーの改正だけにとどまらず、2018年からは「つみたてNISA」もスタートします。年間の投資金額の上限は40万円です。つみたてNISAのポイントは、非課税投資期間が2018年から2037年と20年間にわたる点です。その間に積立投資により買い付けた公募株式投資信託(不特定多数の投資家に向けて募集する公募投資信託のうち、約款に株式投資ができると記載されているもの)について、分配金(投資信託の分配可能原資とよばれる資金の中から、決算の後に払われる金額。支払われないこともある)や売却益が非課税になります。なお、上場株式は投資対象外です。

積立NISA、NISA、ジュニアNISAの相違点
 積立NISANISAジュニアNISA
非課税対象対象商品にかかる分配金や売却益等
対象年齢20歳以上0歳から19歳
運用管理本人原則は親権者が未成年者代わって管理
引き出し制限なし19歳まで引き出し制限
対象商品一定の要件を備えた公募株式投資信託、ETF上場株式、公募株式投資信託など
非課税保有期間20年5年
ロールオーバー不可可能
投資可能期間20年(2018年〜2037年)10年(2014年〜2023年)8年(2016年〜2023年)
年間投資上限額40万円120万円80万円
金融期間変更年ごとに変更可能変更不可

(参考:金融庁 あなたとNISA-NISA特設Webサイト

■今のうちにじっくり検討を

NISAは制度改正により、ますます使い勝手が良くなりそうです。制度をきちんと理解して、非課税枠をうまく利用していきましょう。将来に備えて、今のうちからベストな選択肢を検討しましょう。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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