増やす 2017.12.18 12月○日まで! 株式が今年の利益になる日付って?

12月は、有価証券や外貨に投資をしている人にとって重要な月の1つです。1年間の売買の成果が確定するだけではなく、翌年支払う税金が確定する時期でもあります。そこで、今年の売買について考えてみましょう。

12月は年間所得が決まる大事な月

給与所得者の多くは、税金や社会保険料はあらかじめ給与から差し引かれます。これに対し、金融商品で利益が出た場合は、商品の種類や保有口座の状況によっては翌年の3月15日までに確定申告をする必要があります。そこで、確定申告が必要になるかもしれない金融商品の税区分について確認しましょう。

・外貨預金、FX、仮想通貨

売却益は雑所得になります。サラリーマンの場合は、給与所得や退職所得以外の所得が年間20万円以上ある場合は確定申告が必要です。仮想通貨は売買だけではなく、決済での利用時にも「売却」とみなされるので注意が必要です。

・ 株式、投資信託、債券、外貨建てMMFなど

売却益は譲渡所得に該当します。口座の種類によって、確定申告の要・不要が分かれます。

特定口座に入っているかどうかで変わる「確定申告要・不要」

株式など、有価証券を購入するときには金融機関で有価証券の取引用口座を開設します。そのときに、「一般口座」、「特定口座・源泉徴収なし」、「特定口座・源泉徴収あり」のいずれかを選びます。

「特定口座」は聞き慣れない単語ですが、証券会社で「特定口座」に入っていれば株式、投資信託、債券等の売買損益を自分で計算せずに、証券会社で計算してくれます。特定口座のうち、「源泉徴収あり」を選択していれば確定申告の必要はありません。

口座の種類と各種手続き
口座種類一般口座特定口座
源泉徴収なし源泉徴収あり
税金の計算自分で行う金融機関が計算
上場株式等の配当金・分配金・利子に対する源泉徴収の還付譲渡損失の場合は確定申告をすれば還付が可能になる譲渡損失の場合は年末に一括計算される。申告しなくてもよい
確定申告利益の場合は申告要申告不要(申告する場合は特定口座・源泉徴収なし口座と同じ扱い)
配偶者控除、配偶者特別控除などへの影響利益の場合は影響もありえるなし(確定申告をすれば影響もありえる)
確定申告時に必要な書類取引報告書、配当金、利金、分配金の報告書特定口座年間取引報告書特定口座年間取引報告書(申告する場合のみ)
譲渡損失の3年間繰越控除毎年確定申告が必要

(各種資料を参考にし、マネチエ編集部作成)

金融機関の口座が一般口座の場合、売買の損益をすべて自分で計算します。給与・退職所得以外で20万円を超える所得があれば確定申告が必要です。

一方、特定口座には、「源泉徴収なし」と「源泉徴収あり」の2種類あります。特定口座は金融機関で売買の税金計算をしてくれますが、「源泉徴収なし」の場合は確定申告が必要です。「源泉徴収あり」は、証券会社が売却益から税金分(復興増税を含めて20.315%)をあらかじめ差し引いてくれるため、確定申告をしなくても構いません。

株式の配当金なども損益通算(利益と損益を計算)することができます。「源泉徴収あり」で株式数比例配分方式(端的にいえば証券会社に預けている株式の配当金を証券会社の口座に自動的に振込をしてくれる制度)を選択していれば、株式の配当金や投資信託の分配金(普通分配金)、債券の利金を売買と損益通算してくれるので便利です。

「忙しくて自分が売買した内容を計算できない」「確定申告をして所得が大きいと扶養から外れてしまうのではないか」と不安に思う人は「特定口座・源泉徴収あり」を選択しておくのがよいでしょう。

例えば、専業主婦(主夫)の方が株式で大きな利益を出して確定申告をすれば、配偶者控除を受けている配偶者などに影響が出る場合があります。

この場合、配偶者控除が受けられなくなったり、翌年の住民税が上がったりすることも考えられます。そのため、確定申告時に慌てるのではなく、今から確定申告しなくてもよいように「売却金額を考える」「他に評価損があれば売買して譲渡益を減らす」など調整を検討してもよいかもしれません。

特定口座は今から入れるの?変更できるの?

口座開設後に「やっぱり特定口座にしたい」と思ったら、特定口座にすることはできるのでしょうか。手続きができれば“可能”です。その方法を見てみましょう。

・ 一般口座を特定口座に変更する方法

一般口座を特定口座にするときは、特定口座申込書を提出する必要があります。提出時には「本人確認書類」「マイナンバー」「印鑑」が必要になります。しかし、一般口座から特定口座に変更する時は注意が必要です。

例えば、トヨタ自動車、三井物産、ソフトバンクの株を保有していたとします。一般口座を特定口座に変更したとしても、トヨタ自動車、三井物産、ソフトバンクは特定口座には入りません。特定口座加入後から買い付けした銘柄が特定口座に入るのです。つまり、特定口座に入らなかった銘柄は一般口座に入ったままになります。そのため、売却したときに一定の利益が出ていると確定申告が必要になります。

気になる今年の最終取引。この日付に注意

2017年大納会(最終取引日)は12月29日(金)です。売買を成立させるには12月29日までのいずれかの平日を受渡日にする必要があります。

例えば、2017年12月29日に株式を購入しても、受渡日は2018年1月9日になってしまいます。このような場合は、今年の取引には該当しません。特に、12月は海外がクリスマス休暇などで休場が多い傾向です。12月半ばくらいに発注をしておかないと年内に受渡しにならない可能性もありますから、休場についてもよくチェックしましょう。

  • 国内株式の12月決算銘柄の権利付最終日
    12月26日(火)に注文成立→12月29日(金)受渡日
  • 国内債券(個人向け国債や利付国債、社債など)の年内受渡最終日
    12月26日(火)に注文成立→12月29日(金)受渡日
  • 外貨建てMMF
    12月28日(木)に注文成立→12月29日(金)受渡日
    ※ただし、海外休場によっては28日より前に注文成立していなければ、年内の受渡しにならない可能性もあります。

・ 今年のNISA枠を使い切る

NISA枠は現行NISAで120万円、ジュニアNISAで80万円あります。使いきれなかった今年のNISAを来年に繰り越すことはできません。そのため、今年分のNISA枠を使い切る場合は受渡日を12月29日(金)までになるように購入しましょう。

例えば、株式を12月27日に購入すると、受渡日は1月4日になります。この場合は、2017年のNISAではなく、2018年のNISA非課税枠を使ってしまうことになります。

2017年の取引を見直そう

このように、12月は保有している株や投資信託、国債などの有価証券売買における総決算の月です。自分の取引内容や登録内容を見直し、節税対策をしましょう。自分にとって一番よい状態を作り、新年に備えたいものです。慌ててしまわないためにも、早めに対策を練っておくことが大切です。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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