増やす 2018.01.19 貯蓄上手の近道は、お金の時間軸を短期、中期、長期の3つにわけること
上手に資産を増やすためには、ライフプランを元にお金の置き場を短期、中期、長期の3つの時間軸に分けるのがコツだと言われています。子どもの養育費、マイホーム購入、老後の資産が足りるかなど、将来に対して不安を覚えるのであれば早めに資産形成や資産運用を始めるのがよいでしょう。そこで、考え方を確認しましょう。
老後資金のことはまだ考えなくてもよいと思っていても、貯金だけではなかなか貯まらない現実
公益財団法人 生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査」によれば、老後の無職の夫婦二人暮らしでは、最低22万円の生活費が必要だという結果です。人によって現在の生活費と比較して多い・少ないと感じ方は違うかもしれませんが、仕事をリタイアして収入が少なくなる老後でも、生活するためにはある程度の費用が必要だと言うことがわかります。
しかし、預貯金の金利が低い日本では、銀行預金だけで貯蓄をしていてもなかなか増えづらい状況が続いています。実際に*72の法則で考えると資産が2倍になるのにかかる期間は下記のとおりです。(*72の法則:72を利率で割ると、最初に投資した元本が何年で2倍に膨らむのか、その目安を計算可能)
利率 | 期間 | 想定される商品 |
0.01% | 7,200年 | 普通預金 |
0.1% | 720年 | 定期預金 |
1% | 72年 | 定期預金(キャンペーン)、投資信託 |
2% | 36年 | 投資信託など |
3% | 24年 | 投資信託、外貨預金、外国債券 |
4% | 18年 | 投資信託、外貨預金、外国債券 |
5% | 14.4年 | 投資信託 |
※投資信託、外貨預金、外国債券は値動きや相場状況による
たとえば、100万円を0.01%の普通預金で2倍にしようと考えると7,200年かかるということです。投資信託や外貨などで資産運用するにしても、2倍にするには長い年月がかかります。老後のことを考えるのはまだ早いと思っていたとしても、早めに対策を始める必要があります。将来、今と同じだけ年金がもらえるかどうかは誰にもわかりません。そのため、油断はできず、早い時期からの資産形成が大事になってくるのです。
資産を作る計画を時間軸で3つに分けると簡単
資産形成、つまり手元にお金をキープしておくことを大前提として「見えない場所にお金を置く」という考え方があります。無意識のうちに浪費しないよう、見えない場所に保管しておく必要があるのです。
その際に、いきなりまとまった額を定期預金に預けたり、大口の投資を始めたりするのは失敗の元。ライフプランに合わせて無理のない方法からスタートすることが肝心なのです。
まずは、今後の人生そのものを大まかに3つのステージに分けることから始めましょう。大きな貯金がない今は「第1ステージ」と捉え「短期間だけ見えない場所に置くお金」を作りましょう。収入を増やし多少の余裕が生まれたら「第2ステージ(中期)」とし、さらに余裕が生まれた「第3ステージ」では「長期」と、環境に合わせて貯蓄の期間を伸ばしていくと、無理なく資産を形成できます。
さらに、お金を貯める目的を明確にして、運用のリスクの少ない場所から置いておく考え方も大事です。
期間 | 貯める目的 | リスク | お金を置く場所 | |
【短期】第1ステージ | 1~2年 | 日常生活において、病気やケガなどいざというときに使うためのお金 | [低] 預けておいても損をしにくい、かつ換金性が高い | 普通預金、地方銀行のネット支店などの短期の定期預金 |
【中期】第2ステージ | 3~5年 | 損失が出ても生活に支障をきたさない範囲で収益性を考えて投じるお金 | [中] 少額から始められ、ある程度、動向を踏まえやすい | 株式、外貨、投資信託、個人向け国債など |
【長期】第3ステージ | 10〜20年 | 老後やセカンドライフに使うためのお金 | [中~高] 正しい知識を持って運用することが必要、元本の保証はないが資産を増やすことも可能 | 不動産投資、保険、長期の定期預金のほか、NISA、iDeCoなど。人によっては投資信託も当てはまる |
ライフプランは個人によって違います。第1ステージが長引く人もいるでしょう。その場合は「短期」の金融商品を長く取り入れるうちに、徐々に資産が増えていくという考え方です。自分の環境に合わせて無理のない金額を別の場所に置く考え方に変わりありません。
この考え方を理解したら、いよいよ資産形成のスタートです。まずは、預金専用口座を作ることから始めましょう。ネットバンクを利用すれば自宅にいながら、貯金の有無に関係なく開始できます。しかも、ネット銀行は店舗を持たないため人件費を抑えることができるので、一般に金利が高めです。メガバンクに比べて金利が100倍にもなることもありますので、普通預金であっても資産を増やすことができます。
その後、給料日を迎えたら、少額で構いませんので自動入金サービスなどを活用しながら入金をして「なるべく使わないお金」を作ります。最初は安定しないかもしれませんが、預金額が増えるにしたがって励みになり、やがては着実に資産を増やすことができるようになります。最初はたったこれだけでいいのです。
リスクを分散させる2つの方法を知ること
資産形成に成功したら、いよいよ資産を運用することを考えます。株や投資は知識がない人には難しいので、最初は専門家に相談しながら少しずつ投じていくことが大切です。その際、リスクをなるべく低くするために以下のような方法があることも知っておきましょう。
・ 時間分散
株や外貨などの同じ商品に対して、タイミングをずらして投資、売却を繰り返す方法です。完全にリスクがなくなるわけではありませんが、繰り返すことによって売値と買値のバランスが取りやすくなります。
・ 商品分散
同じ商品に大金を投じると、その商品が大きく下落すればその分ダメージが大きくなります。そのため、株式と債券、米ドルと日本円といった風にいくつかの商品に投資先を分けることで、1つの商品が下がったとしても他の商品で補うことができます。
また、普通預金に預ける際にも1つの銀行には1,000万円までにしておくとリスク回避に繋がります。もし銀行が破たんした場合でも、日本国内に本社がある銀行であればペイオフという制度によって、一般預金なら1,000万円と利息分は戻ってくるので安心です。
資産形成のタイミングは人それぞれ
投資や高額の預金に関しては、今の生活とは無関係だと感じる人もいるかもしれません。また、当面の生活費を工面するのに手いっぱいで、老後のための資産作りなど無理だと感じる人もいるかと思います。しかし、資産形成の第一歩は、知識を身に付けることから始まります。今すぐに始められなくても、知識さえあればお金に余裕ができた時に即座にスタートすることができるのです。むしろ、無理のないタイミングで始めなくては本格的に資産を運用するまでに及びません。
また、「短期」「中期」「長期」で提示した期間もあくまで目安です。大切なのは3つの時間軸を意識しながら、自分に合った金額、方法、目的、期間で資産を運用すること。心に余裕を持って、楽しく将来に備えましょう。
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TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA
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