増やす 2018.04.19 投資信託の「利回り」って何を指すの? 考え方のポイントを整理

現在のような低金利環境では、少しでも資産を増やすため、投資を始めようと思っている人も多いのではないでしょうか?しかし、投資初心者は、なかなか自分自身で個別の株式を選ぶことができません。そこで、投資信託を利用するという方法があります。ここでは、投資信託の利回りとは何を指すのかを見ていきましょう。

■利回りとは?

投資の目的は、資産を増やすためです。そして、「利回り」とは、投資金額に対する利息も含めた利益の割合のことを言います。具体的に見てみましょう。

分配型の投資信託を100万円購入し、1年間に受け取った分配金が5万円でした。そして、1年後に値段が5%上がっていたため、105万円で売却しました。
このような場合、利回りは以下のようになります。

(5万円(分配金)+5万円(売却益))÷100万円×100%=10%

利回りを簡単に言うと、「いくら投資して、いくら儲かったのか」ということです。

ただし、投資信託は預貯金のように元本が保証されているわけではありません。そのため、利益が毎年確定している預貯金や債券などの利回りとは異なります。経済が好調のときには、利回りが5%や10%を超えることも多々ありますが、経済が不調のときには、利回りがマイナスに陥ることもあるということです。

■「利率」とは?

利回りとよく誤解しやすいのが、「利率」です。利率とは、「元本に対する利息の割合」のことです。私たちがよく目にするのは、銀行の定期預金の金利や、債券の金利です。

利率は、利息にのみ注目します。

≪例≫100万円を金利0.01%で定期預金を組むと、利率は0.01%

■投資信託の分配金利回りとは?

まず、投資信託には2種類のタイプがあります。値上がりを求めて分配金を出さないタイプと、定期的に分配金を出すタイプです。値上がり重視型の投資対象は、株式の場合が多く、分配型の投資対象は、債券や不動産投資(REIT)が多いのが特徴的です。

それでは、分配金利回りとは何かを見ていきましょう。

投資信託には、基準価格というものがあります。通常、投資信託が運用をスタートするときに、例えば1万円という基準価格が設定されます。運用が開始した後は、投資した資産が値上がりすると、基準価格が上昇し、投資した資産が値下がりすると、基準価格は下落します。投資信託の分配金は、保有している口数に応じて分配されます。

そして、投資信託の分配金利回りは、以下で求めることができます。

年間受取分配金額÷投資金額×100%

例えば100万円で基準価格が1万口1万円(1口=1円)の投資信託を購入すると100口購入することができます。

この投資信託が、1万口あたり毎月50円の分配金を出している場合、100口なら「毎月50円×100口=5,000円分」の分配金を受け取ることができます。
これが1年間続いた場合、累積で「5,000円×12カ月=6万円」になります。この場合、分配金利回りは「6万円÷100万円×100=6%」となります。

では、1万口1万円の投資信託を購入した場合の分配金利回りを、表にして考えてみましょう。

購入金額基準価格購入口数年間分配金分配金利回り
100万円2万円50口3万円3%
100万円1万円100口6万円6%
100万円5,000円200口12万円12%

基準価格が高ければ購入口数が減り、基準価格が安ければ購入口数が増えます。つまり、基準価格が安いほうが分配金利回りは高くなります。しかし、投資信託の分配金利回りは確定ではありません。分配金は運用実績によって増減する場合があるので、注意してください。

■分配金の原資について

それでは、投資信託の分配金の原資は何になるのかを考えてみましょう。分配金の原資は「配当収入」、「値上がり益」、「為替差益」の3種類あります。それぞれについて、どのようなことなのかをみてみましょう。

1. 配当収入

投資信託は、世界中のさまざまな資産に分散投資を行っています。例えば、株式や債券、不動産に投資をしていますが、株式の配当金や、債券の利子、不動産の家賃などが主な原資となっています。

2. 値上がり益

投資の基本は、「安く買って高く売ること」。投資信託は、ファンドマネージャーという運用の専門家が、さまざまな分析を行い、投資家から預かったお金を運用しています。

値上がりした資産を売却して、割安な資産に切り替えるなど、経済の状況によって組入資産の入れ替えをします。従って、運用が好調なときは、値上がり益が分配金の原資になります。

3. 為替差益

日本国内だけに投資をする投資信託は、為替差益はありません。しかし、海外投資を行っている投資信託には、為替が関係してきます。日本円を売却して、米ドルなどの外貨を購入するのと同じことです。

例えば、1ドル100円のときに米ドルを購入して、1ドル120円で売却すれば、20円の利益が出ます。この利益が原資になるのです。

■投資信託のリターンは、トータルリターンで考える

ここまで利回りとは何か、具体的な数字を元に考えてきました。

ここで改めて考えたいのは、投資信託の分配金は銀行等の預金利率などのようにリターンが確定されているものではないということです。分配金が確定ではない以上、分配金利回りは1年後にしか結果が分かりません。そのため、過去の分配金利回りの実績が今後も続くわけでも、保証するものでもないことを念頭におく必要があります。

投資信託を購入するときは短期的な視点はもとより、長期保有を前提にトータルの受取分配金と元本の値上がりを総合的に考えるクセをつけることが大切だと言えるでしょう。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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