増やす 2018.05.17 NISAを別の金融機関に移すときに気をつけたいことって?

NISA(少額投資非課税制度・ニーサ)が始まり、世の中にも徐々に浸透してきました。NISAは1人1口座しか開設することができません。そのため、すでに開設済みのNISA口座に買いたい商品の取り扱いがなかった場合や、もとのNISA口座は全く活用していなかったが新しく株式を購入したいなどの場合は、別の金融機関にNISA口座を移す手続きが必要になる場合もあります。そこで今回は、NISAを他の金融機関に移すときに気を付けるポイントを確認していきましょう。

■NISAは自由に金融機関を変えられる?制限がある?

2018年現在、NISAには現行(通常)のNISA、未成年用のジュニアNISA、そして、積立投資限定のつみたてNISAの3種類があります。いずれも銀行や証券会社などの金融機関で開設することができます。

しかし、銀行と証券会社では取り扱っている投資商品が大きく異なります。例えば銀行で開設したNISA口座で株式を買おうとしても、一般に銀行では株式の取り扱いがありません。そのため、NISA口座を使って株式を買うのであれば、証券会社でNISA口座を開設する必要があります。

上記3種のNISA口座のうち、NISAとつみたてNISAは1年単位で金融機関を変更することができます。しかし、変更したい年にNISA口座で一度でも買付が発生していた場合、同年内に金融機関を変更することはできません。翌年以降にNISA枠を別の金融機関に移すことになります。

なお、災害などのやむを得ない事情があるときを除いて、ジュニアNISAは口座を廃止しなければ金融機関の変更はできないという点を覚えておきましょう。

■注意!NISAはいつでも変更できるわけではない

NISAやつみたてNISA口座のある金融機関を変更する場合は、変更したい年の前年の10月から変更したい年の9月30日までに手続きをする必要があります。なお、変更する場合の手順は下記のとおりです。

  1. 変更前の金融機関に「金融商品取引業者等変更届出書」を提出、「非課税管理勘定廃止通知書」もしくは「非課税口座廃止通知書」を交付してもらう
  2. 変更先の金融機関に、変更前の金融機関から交付された「非課税管理勘定廃止通知書」もしくは「非課税口座廃止通知書」と、マイナンバーを提出する
    (平成28年度税制改正からマイナンバーの提出が必要)
  3. 変更先の金融機関から税務署に申請し、承認後NISA口座が開設される
    (参考:日本証券業協会 Q&Aサイト

なお、書類の提出から開設までの手続きに時間がかかります。移管にかかる日数は金融機関によって異なりますが、1カ月以上かかる場合もあるようです。余裕を持って手続きをしましょう。

■変更前から保有している商品の取り扱いは?

銀行でNISA口座を開設した人が、証券会社にNISA口座を移すとき、変更前から保有している商品はどのようになるのでしょうか。

例えば、2017年にNISA口座でA投資信託に50万円を投資したとします。A投資信託は最長5年間、2021年までは非課税の適用が受けられます。ただし、金融機関を変更した場合は、変更前の銀行のNISA口座でA投資信託をそのまま保有し続けることになります。つまり、NISA口座を別の金融期間に移行させても、金融商品までは一緒に移行できない、ということです。

NISA口座を移した証券会社にA投資信託を移管したい場合は、NISA口座から通常口座(課税口座)に商品を払い出して移すことになりますので、注意してください。

■ロールオーバーができない

金融機関を変更する際、もっとも注意が必要な点は、ロールオーバーができないということです。通常、5年間の投資期間が終わると、以下のいずれかを選択します。

  1. 翌年の非課税投資枠に移す(ロールオーバー)
  2. 課税口座に移す
  3. 売却する

しかし、ロールオーバーは同じ金融機関の間でしかできないため、NISA口座を移管した場合には1は選べず、5年の投資期間が終わると通常口座(課税口座)に移すか売却するかしかありません。そのため、移管に際しては、保有の残高がロールオーバーする可能性があるのかも考えていく必要があります。

■自分にとってのメリットを考えよう

このように、せっかく開設したNISA口座で買いたい商品がなければ、NISA口座を別の金融機関に移す手続きが必要になります。移管するにしても、手続きにはそれなりに時間がかかることから、金融機関選びはとても重要だと言えるでしょう。

商品の種類、手数料、サービスの豊富さなど、重視するところはそれぞれ違います。自身の投資方針が次第に変わっていくことも考えられます。自分にとってのメリットを考えながら、利用しやすい金融機関を選ぶことが肝心だと言えます。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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