増やす 2019.02.20 民泊ビジネスのいま もう儲からないってホント?

いま、増える訪日外国人観光客の受け皿として、民間の住宅で宿泊事業を行う新しい副業やサイドビジネス「民泊」が注目を集めています。2018年6月に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施工され、法律の枠外だった民泊に運営事業として法に則ったルールが課されることになりました。

新法が施工されても投資の対象として検討の余地があるのか?民泊のコンサルティングから集客、管理、サポートサービスを提供する株式会社SOZONEXT監修のもと、民泊ビジネスのいまに迫ります。

■民泊ビジネスの現在。民泊新法でどう変わった?

■民泊ビジネスの現在。民泊新法でどう変わった?

住宅宿泊事業法が制定される前の日本の法律では、すべての宿泊事業は厚生労働省が管轄する旅館業法に基づいていました。旅館業法によって施設の要件や運営に関するルールが規定され、その中で旅館業は「旅館」「ホテル」「簡易宿所」「下宿」4つに区分されています。ここに国土交通省が管轄する住宅宿泊事業法に基づく「民泊」が新たな宿泊事業として追加されたのです。

法律によって定義された民泊には、以下のような特徴があります。

①    民泊を行う事業者は事前登録のために、届け出をしなければならない
②    営業日数は180日を超えてはならない
③    人の居住用と認められる家屋でなければならない

③の居住用と認められる家屋には、使用履歴のない新築投資マンションなどは該当せず、また入居者の募集がまったく行われていないマンションなども該当しません。既存の、少なくとも年1回以上は使用している家屋である必要があります。

また民泊には、自分が1階に住んでいて、空いている2階を民泊に利用するというような「家主居住型」と「家主不在型」の2種類があります。「家主不在型」の場合、「住宅宿泊管理業者」に管理を委託しなければならなく、手間がかからない分、経費がかかります。

営業日数が180日に制限されたことによる売上見込みの減少、賃貸借契約における転貸の禁止、近隣住人周知活動のほか、煩雑で多くの要件が求められる自治体手続き、経費負担などから、法律の制定を機に撤退した個人事業者も多いようです。

「以前は『適当に5万円で部屋を借りて、民泊の仲介サイト経由で又貸しして、月10万円売上がでればいい』というような個人業者が多くいました。しかし、今は届出などの手続きも必要になり、法令を遵守していない場合、罰則もあります。Airbnbのような仲介サイトも届け出していない物件は取り扱いません。そのため民泊の登録件数自体は減っています。

──いま、民泊に注目しているのは法人です。法人がマンションやアパート1棟を所有し、空き部屋を民泊施設として、私どものような会社に運営委託するというケースが増えています」(SOZONEXT 貝淵氏)

■もう個人での民泊運営は儲からない?

個人経営で民泊運営が儲かるかどうかは、ケース・バイ・ケースのようです。以下はSOZONEXT社の民泊経営の収支の実例です。

【民泊の経営収支の例】

西新宿の閑静な住宅地にある3階建ての建物のオーナー。1フロアー約30㎡の広さで間取りが2LDK。以前は、3つの階で合計の家賃が30万円程度の賃貸マンションだったものを民泊施設に変更。

1フロアーにダブルべッドを4台(基本4人、最大8人)配置。1泊2万4千円に設定したところ、大人数で一同に泊まれる宿が少ないことから予約率が高く、稼働率は約80%に。運営代行手数料と清掃料を差し引いても、利益が総額で月120万円以上。賃貸だった頃にくらべて、4倍に増加。

上記は建物を所有していた場合のケース。もしこれから投資用に物件を購入するのであれば、追加でその費用を差し引いて収支を検討します。

既存の建物オーナーだけでなく、民泊投資用の物件を探してほしいという依頼も多いというSOZO NEXT。その際に重要なことは物件の場所と周辺環境の他、インバウンドならではのニーズを汲み取ることなのだとか。

「場所と物件が大切なのはもちろんですが、相手は外国人観光客です。彼らならではのニーズを理解しなくてはなりません。都心の一等地でなくても、静かな郊外での民泊が成功することはあります。たとえば富士山が目的であれば大井川鐵道にも乗るかもしれない。

さらにそこから再び東京観光に向かうとしたら、どこに泊まるでしょう? こういった外国人観光客ならではの行動ニーズを考えてみることも大切です。

最近では、大人数での宿泊ニーズが高まってきています。中国人であれば家族だけでなく親戚も一緒に10名ほどで旅行することが多い。そのときにホテルの別の部屋ではなく、一緒の場所に泊まりたいと思いますよね? 

そうするとホテルより1室が広い民泊が選ばれることもあります。そうした観点で投資に向いている間取りかどうかも考えていく必要があります」(SOZONEXT 馬氏)

■「旅館」という、もう1つの選択肢

■「旅館」という、もう1つの選択肢

堅実にきちんと経営することが求められるようになった民泊事業。外国人観光客のニーズを捉え、集客やサービスなどの運営に関する改善を続けていれば、180日という制限はついても、先述の例のように、賃貸投資と比較して2倍〜4倍の収益をあげる可能性もあるそうです。

もっといいのが、民泊ではなく旅館業法に基づく「旅館」「ホテル」「簡易宿所」などとして申請してしまうこと。

住宅宿泊事業法が施行されたのと時を同じくして、旅館業法が改正されました。建築基準法による建築構造、消防法による防火設備に問題がない場合、理屈の上では1室からでも申請が許可されるように改正されたのです。

180日という営業日の制限が旅館業法に基づく宿泊事業には存在しないため、理論上で収益が倍になる計算。また、建物の耐火構造や防火設備機器を除けば旅館宿泊施設としての建物、内外装、設備機器への投資額と、新たな民泊施設に必要な投資額にそれほど差はありません。民泊を検討している家屋が旅館業法に適合するのであれば、間違いなく民泊ではなく旅館業法にもとづいた宿泊事業として運営するべきだといえます。

近頃は「住宅→民泊施設化」の発想から、旅館業法に基づく施設として「住宅→旅館施設化」に変更するところが増えているといいます。民泊の見込み件数が減っているという背景にはそういった数字のマジックも存在するようです。

■民泊のメリットはすぐ辞められること

■民泊のメリットはすぐ辞められること

そもそも民泊は法律の枠にない存在だったわけですが、法律の施行以前のように、手軽で楽に稼げるという印象は現在はありません。

経営収支と利回りを計算して、用意周到に投資をする必要のある民泊。開業に際しては届け出に関する作業と知識、インバウンド需要を見越した物件探し、仲介サイトの登録。運営には日々の運営のPDCA、管理業務など、サイドビジネスというにはやるべきタスクが山積みです。SOZO NEXTのような企業に運営代行を頼むのも1つの選択肢でしょう。

今回お話を伺ったSOZO NEXTは「賃貸のように長期の契約期間で縛られることがないため、ダメだったらすぐに辞められること」もメリットの1つとして挙げています。あたれば賃貸よりも稼げる可能性があるので、休眠資産を保有していたり、投資用マンションの購入を検討している場合は、まずは民泊として運営してみるのもアリなのかもしれせん。

監修:株式会社SOZO NEXT
https://www.sozo-athost.jp/lp/
アットホストは株式会社SOZONEXTが運営する民泊運用代行/宿泊施設運営サービスを行っています。対象エリアは日本全国。株式会社SOZONEXTの持つマーケティング力、IT力とコンシェルジュサービスを3本柱として、運用に必要な作業を一括でサポートしてくれるので、民泊や宿泊施設運営の初心者の方も安心して代行・運営を任せることができます。業界最安値の運用代行手数料、法令遵守による充実した運営サポート、自社開発のマルチチャネルシステム、インバウンド向けの集客力で宿泊事業者ホストの収益最大化を実現します。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:SHUTTERSTOCK

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