増やす 2019.03.08 株式初心者の必読書「会社四季報」の見方を確認しよう

どの企業に投資をするのがよいのか分からず、はじめの一歩で足踏みしてしまった経験はないでしょうか。株式投資の初心者は、まず会社四季報で投資銘柄をチェックしてみましょう。

■会社四季報とは

『会社四季報(東洋経済新報社出版)』は日本の証券取引所に上場する銘柄の情報が1冊にまとまっているデータブックです。3ヵ月に1度、3月・6月・9月・12月の年間4回発行されています。

オンラインでも閲覧できる(一部有料)ほか、SMBC日興証券、野村證券、SBI証券、楽天証券、マネックス証券など、一部の証券会社ではマイページから四季報のダイジェストなどを見ることも可能です。

■会社四季報の記載内容はコレ!10項目をチェックしよう

それでは『会社四季報』で確認できることを具体的に一緒に見ていきましょう。

1.月足チャート
月次チャートとは1ヵ月ごとの株価の動きを表したグラフ。企業の過去の株価動向を知ることができます。ここに載るのはローソク足チャートで、株価が上昇している場合は白、下落している場合は黒で表示されます。さらにローソクにはひげが生えており(ひげ足)、高値と安値、始値と終値が分かります。

2.株価指標
次に株価指標です。企業の利益に対して、現在の株価が何倍にあたるかを計算した指標が株価収益倍率(PER)です。また、企業のすべての資産を現金化したと仮定した数字に対して現在の株価が何倍にあたるかを計算したものが株価資産倍率(PBR)になります。ほかの銘柄と比較して割安かどうかを判断するのに役立つでしょう。

3.企業名と特色
ここには、4桁の銘柄コードや企業名が書かれています。主な事業内容や国内外のシェアなどが端的に書かれています。これから注目されそうな業界や業種、サービスかどうかをチェックするときに有用です。

4.業績と動向
『会社四季報』出版時点での主な事業内容や利益についてまとめられています。『会社四季報』ならではの工夫で見出しに「最高益」や「絶好調」などと書かれることもあります。

5.株主構成
大株主のヒト・企業が保有する株数や保有株比率が記載されています。外国人投資家の持ち株比率が高い企業は、海外からも成長が期待される銘柄だと考えてもよいでしょう。また、年金基金や運用会社の保有比率が高い銘柄は、ある程度安定した動きをする可能性があるという見方をしてもよいかもしれません。株主構成はこれからを占うひとつの手段だといえます。

6.財務と財務指標
財務と財務指標の項目で表記されている財務諸表は、企業の健全性を測るための1つの指標です。資産や負債、自己資本比率はもちろん、株主の投資金額に対してどれほど利益をあげているかを示すROE(自己資本利益率)も記載されています。また、企業のすべての資産に対して、どれだけ利益をあげたかを表すROA(純資産利益率)といった指標も参考になるでしょう。こうした数値が高いことは、資本や純資産に対して企業がいかに貢献しているかを表しているといえます。

7.資本に関する情報
資本に関する情報とは、株式増資(資本金を増やすために株数を増やすこと)、株式分割(同額の資本金のまま1株を2株、10株などに分けて株式市場での流通量を増やすこと)、自社株買い(株式市場に流通している株式を企業が買い戻すこと)など資本の異動に関する情報です。これらの情報は、市場で売買される株式の流通量や株価に影響を与えることもあるので、確認しておくのがよいでしょう。

8.本社地
企業の本社所在地や従業員数が書かれています。従業員が増加傾向の企業は人材投資に力を入れているので、今後の発展が期待できるかもしれないなど、さまざまな見方ができます。

9.配当情報
配当情報は実際に支払われている1株あたりの配当金の金額が書かれています。3の業績と動向で配当性向を見比べると株主への還元度合いを推し量ることができます。配当金をたくさんもらいたい人は、配当利回りの項目を見てみるのもよいでしょう。配当利回りは、株価に対して「何%の配当がもらえるか」を現しています。

10.企業業績
企業業績の項目には売上高や営業利益、配当などが掲載されています。東洋経済新報社が独自に予想した、今後の企業の業績が2期分掲載されているので、チェックしてみるとよいでしょう。

■会社四季報での銘柄選びはこの順番でやってみよう

1.今、投資をする環境なのか
『会社四季報』を開く前に今が投資をするのに適しているかチェックしましょう。新聞、雑誌、Webなど、なんでもかまいません。鮮度の高い情報を頼りにするのがよいはずです。世界経済が不安定な状況で不安に思うなら、投資を始めるのを待つのも一手です。

2.興味のある業界の環境をチェック

次に興味のある業界を選びます。会社四季報オンラインやニュースで見た情報で気になる業界をチェックしてみましょう。ニュースからではなくても、例えば、あなたが仕事で関わる業界や趣味に関する業界でもかまいません。「その時々の株式市場を盛り上げるトレンド銘柄」「今後勢いが増しそうな銘柄」を予想できるというのは武器になるはずです。

3.気になる銘柄をチェック

気になる業界が決まったら、具体的に銘柄を絞ります。『会社四季報』独自の見解に基づいて、企業の情報を教えてくれるので参考になるでしょう。企業名の左横の欄(オンラインでは会社プロフィールの下)を見ていると【】で、見出しが書かれています。

ここには、【絶好調】、【大幅増益】など、企業の状態を教えてくれる見出しが書かれています。ポジティブな情報が書かれているのであれば、投資する際の選択肢の1つになり得るでしょう。逆に【減益】などのネガティブな文字があれば、投資の選択肢から外してもよいかもしれません。

4.同業他社の状況も確認

しかし、ひとつの銘柄だけでその業界の良し悪しを決めるてはいけません。たまたまその企業だけが伸びているのかもしれません。同業他社の状況と比較しましょう。

株式の4桁の証券コードは、似た業種が並んでいることが多いです。会社四季報オンラインにおいては、例えば検索窓に「銀行」と打ち込むだけで同業候補を教えてくれます。そのため、現在の業績や今後の業績予想も比較しやすいでしょう。

5.銘柄を決める

実際に個別の銘柄を選定するにあたっては、どうしても迷ってしまいそうです。そこで、最後の決め手として「革新的な製品を発表した銘柄」「最も成長率が高い銘柄」「業界の株価が上昇していくとした場合、けん引していくような銘柄」を選定するといいでしょう。

■あなたも四季報を見て未来の優良企業を見つけよう

株式投資は手軽に始めることもできますが、このように『会社四季報』を利用して丁寧に調べてから投資することで、単にお金を動かすだけではなく世の中の流れや企業について知ることもできます。

企業の動向に関心を持って生活をしていると、いずれは世界の経済情勢や政治情勢にも興味が出てくるかもしれません。こうした毎日のちょっとした積み重ねが、投資判断だけでなく幅広い視野で物事を把握する良い経験となり、将来の収益へとつながっていく可能性を高めるでしょう。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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