学ぶ 2016.09.05 「教育費」かけすぎ? 親心あふれる30代の「家計の落とし穴」

30代ファミリーからの相談で多いのは、家計のやりくりについてである。毎月の固定費である光熱費や通信費、保険に注目している方は多いが、意外とかけすぎている金額が多いにもかかわらず見過ごしているのが「教育費」だ。

「子どもの教育費には糸目を付けず、やりたいことをやらせてあげたい」——それが親心であろう。

しかし、それが家計を圧迫している要因の一つになっていることになかなか気がつかないことも少なくない。そこで、今回は30代にありがちな「家計の落とし穴」について見ていきたい。

■教育費は「家計のブラックホール」?

教育費はいくらでもかけることができてしまう、いわば「家計のブラックホール」と言われている。

中でも最近、子どもがいる多くの家庭で家計費に占める割合が多くなってきているのが「習い事」。自分のできなかったこと、してみたかったのにできなかったこと、それを自分の子どもにはさせてやりたいといろいろな習い事をさせているケースもある。

また子ども自らやりたいと言い出した習い事は、「子どもの甲斐性だ」などと親は考えやらせてやるが、実際の懐事情に見合わない何種類もの習い事をさせているケースもある。

人気のある習い事は、小学生のスポーツでは1位がスイミング(35.5%)で、3人に1人が行っている。

習い事によっても費用の差は大きく、スイミングなら1カ月平均6,400円程度である。一方、クラシックバレエは1カ月平均1万1,600円。その他、発表会のたびに衣装代や参加費など、数万円単位での出費があるという。

習い事(学校外教育活動)にかかる費用の平均は、下記の通り学年が上がるにつれ増加する傾向がある。
・小学校1年 1万1,900円
・小学校2年 1万3,100円
・小学校3年 1万5,000円
・小学校4年 1万7,400円
・小学校5年 1万9,500円
・小学校6年 2万700円
(ベネッセ教育研究開発センター『子どものスポーツ・芸術・学習活動データブック』2013年より。ちなみに同じ調査は2009年にも発表されているが、習い事の費用の平均はいずれの学年も2009年のほうが高かった)

内訳をみると低学年のうちはスポーツ系の習い事が多いのに対し、高学年になると学習系の習い事に移っていくようである。習い事の変化とともに支出額も多くなっていく傾向に。いわば低学年のうちが将来の学資の貯め時とも言える。

■習い事の「リストラ」も必要

どんな習い事を、どれだけやるかで金額は大きく変わるが、習い事や塾代という教育費は家計でも大きな割合を占める固定費。毎月のやりくりをどうしたらよいかというご相談が多い中で、習い事の見極め、「リストラ」も大切な家計の見直しの一つの方法である。

筆者の子どもの同級生の中には、週に6件もの習い事に通い、放課後のスケジュールがびっしりで公園遊びもままならない子どももいる。それが良い悪いということは一概に言えないが、必要性を見極め、子ども自身の意志も尊重し家計の支出バランスも踏まえながら考えていきたい。

公共の体育館やプールで行われているスポーツ教室や英語教室などは格安なことが多い。一部代替させてかなりの固定費カットにつながったケースもある。広報誌や公共機関のホームページなどをチェックして、探してみることをおすすめしたい。

■公立か私立かでも異なる教育費

教育費のご相談で多いのが子どもの進学先を「私立」にしようか迷っているということである。文部科学省の「平成26年度 子供の学習費調査」をもとに年間の学費を比べてみました。

・公立
幼稚園 22万2,264円
小学校 32万1,708円
中学校 48万1,841円
高 校 40万9,979円
【合計:143万5,792円】

・私立
幼稚園 49万8,008円
小学校 153万5,789円
中学校 133万8,623円
高 校 99万5,295円
【合計:436万7,715円】

オール公立とオール私立の差は、実に「293万1,923円」となる。すでに私立に通っているご家庭はおいそれと学校を変えるわけにはいかないが、今後の教育費を考えていく上では公立にするか私立にするかは慎重に決める必要がある。

■子どもが小さいうちが教育費の貯め時

子どもが小さい頃の教育費は、給食費や習い事程度で済むことが多く、多額の出費が控えている大学資金を貯める絶好のタイミングでもある。この時期に無理をして多くの教育費をかけ、いざ大学となったときに資金不足になり、奨学金をかりなければならなくなるのは本末転倒だ。

就職したばかりで月数万円の奨学金返済はかなり大変だ。若いうちに結婚して夫婦どちらも奨学金返済が残っているケースでは、毎月のやりくりが大変で住宅購入にもなかなか踏み切れないということもある。

教育費には糸目を付けずというのが親心だとは思うが、習い事には月々の支出に上限をつけて長期的なライフプランを踏まえて考えていくことが必要だ。

【関連記事】
増え続ける高齢出産、知っておきたい家計のこと | マネチエ

TEXT:FP Café/ZUU Online
PHOTO:PIXTA

マネチエでは身近なお金の話題をお届けしています
この記事を気に入っていただけたらフォローをお願いします!

ページトップ