学ぶ 2016.09.05 確定拠出年金あるある「よくある質問10選」で簡単理解!

2015年12月末の確定拠出年金(DC)の施行事業者数は2万1,403社、加入者数は企業型確定拠出年金で約547万人、個人型確定拠出年金で約24万人に達した。まだ日本での確定拠出年金の資産残高は10兆円程度。先行している米国では700兆円を超えている。企業年金は、今後も確定給付企業年金から確定拠出年金への移行を進め拡大するだろう。

自分の老後資金は自分で決めなくてはならない時代がもう始まっている。今ならまだ聞ける「よくある質問10選」をわかりやすく解説しよう。

(1)そもそも確定拠出年金とは?

2001年から認可された私的年金の形態の一つだ。自分の掛金で積み立てる年金資産を、自分の責任において運用の指図を行い、その損益に応じて年金受給額が変動する。

それまでの年金の形態は確定給付企業年金しかなかった。定年退職後の受給額を確定しておき、将来の受給額から逆算した掛金を支払う形態だ。管理コストが高いこと、個人の所有分を確定しづらいこと、若い世代の減少や運用難などで運用が想定通りに行かない場合企業が損失を補填する必要があることなどから懸念されていた。その問題点を解消するのが確定拠出年金だ。

(2)確定拠出年金のメリットは?

個人にとっては、絶大な節税メリットがある。所得税・住民税を大きく減税することが可能だ。また、年金資産が個人別に管理されるため残高の把握がいつでも簡単にでき、転職時の年金資産の移行も可能になった。

事業主側にとってもメリットは大きい。掛金を確定させれば、給付額は加入者の運用次第なので、複雑な年金数理計算が不要になる。また掛金の拠出の時点で費用計算をすればいいので、後発債務が発生した場合に補填するような心配がない。

(3)税制優遇についてもう少し詳しく教えて

掛金は、年末調整や確定申告で拠出額を所得から控除できるため減税効果が大きい。運用期間中には、キャピタルゲインや配当などに税金が掛からず、出口までは非課税だ。出口の受け取り時には税金が掛かるが、各種控除があり所得税より課税が少なくなっている。

(4)確定拠出年金に加入できる人は?

確定拠出年金には「企業型」と「個人型」がある。すでに勤務先会社に私的年金制度がある場合には加入の選択肢はない。勤務先会社が、確定給付企業年金制度を導入している場合は、確定拠出年金には加入できない。企業型の確定拠出年金制度を導入している場合は、会社の年金制度ですでに加入済だからだ。

個人型確定拠出年金は、勤務先会社に企業年金制度がない場合と、自営業・個人事業主の場合は加入できる。その際、口座を開設する金融機関を自分で選ぶ必要がある。

(5)掛金はいくらまで?

企業型の場合掛金は会社が払うが、加入者自身がそれに上乗せ(マッチング)して積立金を払うことができる。企業の掛金と個人の掛金の合算が拠出限度額以内であり、個人のマッチング掛金は企業の掛金以下でなければならない。

個人型の場合、勤務先会社に企業年金制度がない場合での加入は月額2万3,000円までだ。自営業・個人事業主の場合は月額6万8,000円までが掛金として認められている。

(6)確定拠出年金はどのように資産を運用

自分の年金資産の掛金をどういう商品に積み立てる、積み立てた資産残高をどういう商品で運用するかを自分で決めなければならない。

運用商品としては、や債券の投資信託が中心で、国内・海外ともにある。そのほか、預貯金・保険などが運用商品として認められている。動産・不動産・金融先物・商品先物などは認められていない。運営管理している金融機関では、中立・公平な立場で一定基準を満たす商品をラインナップしているので、それ以外の運用商品は選べない。

(7)運用指図はどうするの?

運営管理している金融機関の、コールセンターかWebサイトを利用して運用指図を行う。積立掛金の配分指定やスイッチングと呼ばれる運用資産の配分の変更はいつでも可能だ。

(8)運用利回りによる違いはどの程度?

金融知識がないからという理由だけで、元本確定の現預金に近い商品に入れっぱなしの確定拠出年金資産も多いという。例えば25年間でどれくらいの差が付くのだろうか?月1万円、年間12万円の積立を25年間続けた場合の元利合計額で比較してみよう。

運用利回りが1%で25年毎月積み立てた場合、25年後の受け取り金は340万円程度になる。もしこれを運用利回り3%で積み立てた場合、444万円だ。25年後の受け取り年金資金には104万円の差がついてしまう。

金融リテラシーを身につけないと拠出年金だけでもこれだけの差がつくのだ。

(9)年金資産はいつでも引き出せるの?

退職後の年金資産が目的の制度であるので、60歳になるまで途中解約はできない。保険のように年金資産を担保にお金を借りることもできない。60歳になったときや死亡および高度障害になったときに、年金または一時金として受け取ることができるだけだ。もちろん、会社を辞めたときに、個人年金に加入せずに、拠出を停止することは可能だ。

(10)離職・転職時はどうしたらいい?

離職や転職した場合に、これまで積み立ててきた年金資産を持ち運ぶポータビリティが可能だ。個人の年金資産が、個人ごとに記録され、各自の持分が明確化されているからだ。企業型の年金での移転も可能だし、企業型から個人型、個人型から企業型への移管も可能だ。

TEXT:平田和生/ZUU Online
PHOTO:PIXTA

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