学ぶ 2016.09.15 教育費の公的手当て、忘れがちな「あの手続き」とは?

いつの時代でも、子どもを持つ親が悩まされるのは教育費。少子化で子どもの数は少なくなっても、習い事や塾などで子ども1人あたりの教育コストは上昇する一方です。収入が上がりにくい世の中では、公的な子育て補助や手当の給付によって助かることも多くなる。今一度、子どもにまつわる一般的な公的手当についておさらいしてみよう。

■児童手当の概要

日本国内に住所を有する中学校終了(15歳到達後の最初の年度末)までの児童を養育する人には、児童手当が支給される。支給額は以下の通り。

・3歳未満の児童:15,000円(月額)
・3歳以上小学校修了前の児童(第1子・第2子):10,000円(月額)
・3歳以上小学校修了前の児童(第3子):15,000円(月額)
・中学生:10,000円(月額)
・特例給付金(所得制限超過):5,000円(月額)
※第1子・第2子は、18歳の最初の年度末までで養育している児童の人数。

児童手当は、原則として毎年2月、6月、10月の15日頃に、それぞれの前月分までの4カ月分をまとめて銀行振込により支給される。

児童手当受給のポイントは、忘れずに必ず申請をすること。例えば、新たに子どもが生まれたとき、別の市町村に引っ越しをしたときなど、無届のままでいると受給できないことになる。

■子育て世帯臨時特例給付金

消費税率引上げに伴う子育て世帯への影響を緩和し、消費の下支えを図る観点から2014年度に臨時的に給付された「子育て世帯臨時特例給付金」。この特例給付金が、2015年度にも支給されることになった。受給できるのは、2015年6月分の児童手当を受給している人である。

ただし、昨年度は子ども1人当たり1万円がほぼ無条件に給付されたのに対し、今年度は子ども1人当たり3千円。更に所得制限が付されたため、高所得世帯の子どもは受給されない。この給付金を受給されるには、役所から該当者へ送付される書類(児童手当の現況届に同封か、ほぼ同時に送付)に記入し、役所に返送するか窓口に持参する必要がある。これも、届けを忘れないことが大切です。

■高等学校等就学支援金

ここまでは、中学校に通う年代までの子どもに向けた給付金だが、高等学校に進学する学生にも、授業料の一部が支援される。国公私立の高等学校(全日制・定時制・通信制)、中等教育学校後期課程、特別支援学校の高等部、高等専門学校(ただし1~3学年)などの学校に通う学生の授業料への補てんとして、国が高等学校等就学支援金(以下、支援金)を支給するもの。

ただし、一定の収入額未満の世帯であることや、日本国内に住所を有することが条件づけられている。また、3年(定時制・通信制は4年)を超えて在学する場合には支給されないことになっている。支援金の支給限度額は以下の通り。

・国公私立ともに全日制:9,900円(月額)
・公立定時制高校:2,700円(月額)
・公立通信制高校:520円(月額)
・私立の定時制・通信制高校:9,900円(月額)
※この支援金制度は、平成26年4月以降に高校などに入学した生徒が対象である。

支援金を受給するためには、学校から配布された申請書に記入の上、公的に収入を証明する書類(課税証明書など)を添付して、入学した4月中に学校または市町村などに提出しなければならない。

この支援金は、児童手当などのように保護者が直接受け取るものではないことにも注意が必要だ。学校側が生徒本人に代わって国から受け取るものであり、基本的には、支給された支援金の額を引いた授業料を保護者が支払うシステムとなっている。

■注意するべき所得制限

子育てに関わるこれら3つの公的手当は、残念ながらすべてに所得制限があるのが現実だ。一定以上の所得がある家庭の子どもは、受給が制限されてしまっている。

児童手当に関しては、専業主婦の妻と子ども2人を扶養する父のモデル世帯で、所得額736万円(収入960万円)以上で支給が制限される。所得制限額以上の場合は、児童手当に代わって、子ども1人当たり5,000円の「特例給付金」が支給される。

児童手当支給要件は子育て世帯臨時特例給付金の受給要件とリンクしているので、もし特例給付金を受けている場合は、子育て世帯臨時特例給付金の適用対象外となる。ここに注意が必要だ。

また、高等学校等就学支援金については、市町村民税所得割額が30万4,200円以上(年収ベースで910万円程度)の場合、支援金の給付を受けることができない。授業料の全額を負担することになるのだ。

いずれの制度も、年収1,000万円前後のアッパーミドル層には手痛い支給制限である。悔しいことに、同じ家族構成であっても年収制限ぎりぎりセーフで手当が支給される家庭とそうでない家庭とでは、手取り収入が逆転しかねない状況である。

16歳未満の扶養親族に対する税額控除も廃止されたままである。いくつかの公的手当が用意される中でも、なかなか厳しい状況が続くことは間違いないと言えます。

TEXT:ZUU Online
PHOTO:PIXTA

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