学ぶ 2016.11.25 配偶者控除廃止の前に、今から働き方を考える

この秋、2017年度税制改正での配偶者控除の廃止が大きく取り上げられましたが、一旦、見送りになるようです。しかし、配偶者控除の制度そのものは引き続き議論されていくでしょうから、いつでも「103万円の壁」から意識をシフトできるように心構えをしておくことが大切です。

配偶者控除とは

かつて高度成長期における日本では、結婚した女性は専業主婦として家庭を守り、夫はサラリーマンとして働き、妻と子どもを養うというスタイルが主流でした。そのため、妻の分を税金面で優遇しようということで設けられたのが配偶者控除です。

結婚や出産をきっかけに仕事を辞めて子育てに専念していた妻がパートに出るとなったとき、問題とされるのが「103万円の壁」です。

よく耳にするこの「103」という数字は、パートなどで得た給与に対する給与所得控除65万円と配偶者控除の条件である38万円を加算したものです。

103万円を超えるとどうなる?――意外な失敗談

多くの人がおびえる「103万円の壁」、超えるとどれくらい損をするのでしょうか。

実は、配偶者控除だけに関して言えば、影響はさほどないというのが現実です。というのも、配偶者控除は妻の収入が103万円を超えて適用されなくなっても、段階的に控除を受けられる「配偶者特別控除」という制度が141万円のラインまで用意されているのです。

たとえば、会社勤めのAさんの奥さんがパートしており、104万円の収入があった場合、負担する税金は約1,500円となります。世帯収入が1万円アップしたなかから税金を1,500円引かれても8,500円はお得ということです。この計算では労働時間を考慮していませんが、「何が何でも103万円で」と頑張る必要はないということが分かりますね。

ただし、Aさんの会社で扶養手当などの条件に103万円のラインが使われているかもしれません。その場合は、104万円になった時点で扶養手当がなくなります。103万円を超えたときの失敗談とは、配偶者手当よりもむしろ、夫の勤務先の諸手当の条件を確認しわすれたことでの失敗、ということになりそうです。

配偶者控除廃止が検討されている理由

今、女性の働き方は大きく変わっています。配偶者控除がスタートした当時とは異なり、専業主婦世帯よりも共働き世帯の数が上回っていますし、結婚を選択しない女性も増えています。そういった背景を受けて専業主婦の世帯だけに税の優遇が存在しているのは時代の流れに合わなくなってきました。

加えて、少子高齢化に伴って労働人口はこれからますます減少していくため、女性の社会進出は大きく期待されています。しかし、妻の収入に制限をかけているのが、この「配偶者控除」にほかならず、現実問題として女性の社会進出を妨げる原因だということで廃止が検討されました。

配偶者控除の廃止は、国民の多くに影響を与える改正となるために十分な時間をかけて議論するべきとの判断で今回の廃止は見送られました。しかし、いずれ配偶者控除の廃止は現実になることでしょう。

この配偶者控除が廃止になるときに、「夫婦控除」という新制度を検討している動きもあります。制度の詳細は明らかではありませんが、これまで配偶者控除の恩恵にあずかれなかった共働き世帯にとってメリットになる一方で、従来、配偶者控除を受けていた世帯には増税になるかもしれない、という予想もなされています。

妻の年収によって、夫の税金が左右されるのではなく、誰もが自由な働き方を選ぶことのできる制度の登場を期待したいですね。

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TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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