学ぶ 2019.05.21 ジェネリック医薬品は本当に安い? 新薬と比べるメリット・デメリット

薬局で初めて薬を出してもらう際、必ずといっていいほど切り替えるか訊かれるジェネリック医薬品。先発医薬品とは何が違うのか、どうして安いのか?理由を知って、自分の意思で選択できるようになりましょう。

■ジェネリック医薬品はなぜ安い? 先発医薬品との違い

▼先発医薬品が価格競争できないワケ

通常、医薬品が世に出回るためには10年以上の開発期間、100億円以上もの費用がかかっています。もちろん日の目を見ない可能性もあり、それらの費用・リスクなどを含み、最初に開発された『先発医薬品(新薬)』には、相応の価格がつけられています。

特許は20年(5年延長可能)。この期間に他の会社がジェネリック医薬品を販売することはできません。特許は治験に入るより早く申請する場合が多く、承認までの審査期間を含めると、先発医薬品を独占販売できるのは5~10年程度。特許が切れても先発医薬品の値段が下がらないのには、こうした背景が隠されているのです。

▼ジェネリック医薬品は本当に安いのか

対する『後発医薬品』のジェネリック医薬品は、先発医薬品を基にして作られます。薬効は保証されているので、開発期間は短く、承認までのプロセスもいくつか省略されています。もちろん販売までにかかる費用も先発医薬品と比べて平均1/100以下に。これがジェネリック医薬品が安い理由です。

最終的な薬価は先発医薬品の2~6割、かかる費用に対して、あまりにも大きなリターン。そのため1つの先発医薬品に対して多数のジェネリック医薬品が存在しているのです。

たしかに価格だけを見るとジェネリック医薬品は安いのかもしれません。しかし販売までの過程を考えると、コストパフォーマンスが良いとはいえないのではないでしょうか。

■ジェネリック医薬品のメリット

ジェネリック医薬品の主なメリットは安さです。個人の薬代が下がれば、国家レベルでは医療費の大幅削減につながります。高齢化によって医療費が増え続ける現代の日本社会において切実な問題──厚生労働省がジェネリック医薬品の普及を促しているのはこのためです。

なかには薬の形状や大きさを変えて、先発医薬品よりも飲みやすくなっているものや、副作用が出にくいように改良されたジェネリック医薬品も登場していますが、当然その限りではありません。

■ジェネリック医薬品のデメリット

ジェネリック(generic)とは、一般的なという意味。先発医薬品の特許が切れたから販売できるようになった(独自性がなく一般的になった)違う薬だと認識しましょう。

現にアメリカでは先発医薬品とジェネリック医薬品は、別の薬として扱われています。薬局で購入できる薬でも、同じ成分が入っているからといって同じ薬だとは思いませんよね。

また、ジェネリック医薬品は『先発医薬品と同一量の有効成分が含まれている』必要がありますが『別の添加物を入れてはいけない決まりもない』のです。たとえば新薬側に『体の中に浸透しやすくなる添加物』の特許が残っていれば、ジェネリック医薬品はそれと同じ添加物は使えないので、中身が多少なりとも変わってきます。

医師や薬剤師によっては「ない」とも言いますが、添加物や製法の違いによって、効きの良し悪し、副作用の強弱は「ある」という意見が一般的。これには後発ならではの『服用者の少なさ』も関わっていて、先発医薬品と比べると判明していない部分が多いのが現状です。

依然として医師自身がジェネリック医薬品を使用したいかというアンケートでは「利用したい」が4割未満。やはり不透明性が多く指摘されています。この部分が解消されない限りは、安いからといって単純に切り替えられるものではないでしょう。

■ジェネリック医薬品はどんな人にオススメ?

高血圧、糖尿病、高脂血症といった生活習慣病は、長い治療時間を必要とするため、ジェネリック医薬品の価格が大きなメリットとなります。他にも薬を何種類も飲まなければいけない人にもオススメ。自分が飲んでいる薬がどれくらい安くなるのか試算するシミュレーションサイトもあるので活用してみてください。

ただ、価格が安くなるからといって、完全に同等の効果が得られるとも限りません。薬剤師だけでなく、診察してくれる医師ともよく相談したうえで、くれぐれも慎重に切り替えるようにしてくださいね。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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