学ぶ 2016.12.19 「会社員に医療保険は必要ない」は本当?

国民皆保険制度により、全国健康保険協会(協会けんぽ)、もしくは組合管掌健康保険(組合健保)に加入している日本の会社員。国が提供する金融サービス、公的制度が使えるなかで、民間の医療保険に入る必要はあるのだろうか、と悩む人が多いようです。「不要派」と「必要派」、それぞれの意見を読み、必要の有無について考えてみましょう。

医療保険不要派の意見

【『高額療養費制度』で負担が抑えられる】

高額療養費制度」は、同一月にかかった医療費の自己負担額の総額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を越えた分が払い戻される公的制度です。自己負担限度額は、年齢および所得状況などにより設定されています。たとえば、中小企業に勤める一般的な所得の人が月100万円の医療費を支払った場合、実際に当人が負担するのは9万円弱となります。

<自己負担額の計算式>※標準報酬月額28万〜50万円、報酬月額27万円以上51万5,000円未満の場合
 計算式:8万100円 + (総医療費−26万7,000円) × 1%

<総医療費が100万円だった場合の自己負担額>
 自己負担額:8万100円 + (100万円−26万7,000円) × 1% = 8万7,430円

【『傷病手当金』で生活が保障される】

病気やけがにより会社を休み、事業主から充分な報酬がもらえない場合に受け取れる手当金です。会社を休んだ日が3日間あったうえで、4日目以降休んだ日に対して公的に支給されます。1日当たりの金額は平均日給の3分の2程度です。

<1日当たりの支給額>
 支給開始日以前12カ月間の各標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日× (2/3)

【大企業勤務なら、『付加給付』がある場合も】

主に大企業に勤める会社員が加入する組合健保には、法律で定められた法定給付に加え、独自の保障を上乗せする付加給付がある場合も多いのです。たとえば、高額療養費の自己負担限度額が一律、傷病手当金が平均日給の3分の2よりも大きい割合、といったものがあります。

また、「医療保険より、貯蓄のほうが条件なく使えてよい」という意見もあります。医療保険には給付条件があり、それに合わないとお金が受け取れないのです。「入院日数が所定の日数を満たさなかったので、入院給付金がもらえなかった」といった失敗談も耳にします。

医療保険必要派の意見

【先進医療の保障も可能】

「高額療養費制度」には対象外となる医療費があり、その1つが先進医療に係る費用です。一方、民間の医療保険には先進医療を保障するものがたくさんあります。先進医療とは、「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養」のこと。2016年11月1日現在で105種類あります。

<先進医療技術の例>
・子宮腺筋症に適応する「高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術」
・悪性脳腫瘍に適応する「抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査」
・家族性アルツハイマー病に適応する「家族性アルツハイマー病の遺伝子診断」

【入院時の差額ベッド代もまかなえる】

上記と同様、入院時の差額ベッド代も「高額療養費制度」の対象外です。一方、民間の医療保険には、差額ベッド代を補償するものもあります。

差額ベッド代は、よりよい入院環境を求め、患者本人が差額ベッド室への入院を「希望」または「同意書にサイン」した場合に発生するもの。差額ベッド室とは、「病床は4床以下」「面積は1人当たり6.4平方メートル以上」などの要件を満たす部屋のことをいいます。

実際に必要な状況になって、「医療保険に入っていなかったから、先進医療に係る費用がかさんだ」「医療保険に入っていなかったから、差額ベッドを諦めた」ということが考えられます。また、医療保険は加入する年齢が高くなるほど、保険料も上がるもの。若いうちに入るほうが負担は軽くなります。

あなたはどっち?

双方の意見から、より高度な治療や、より環境のよい病室を望むなら、医療保険に入っていたほうが費用を抑えられることがわかります。同時に、それらを望まないのであれば、公的制度のみで、ある程度の医療費が抑えられるということも。

いずれにしても、若いうちから検討するのが賢い選択。加入しないなら貯蓄の開始を、加入するならより安い保険料での加入を目指せるはずです。

マネチエでは身近なお金の話題をお届けしています
この記事を気に入っていただけたらフォローをお願いします!

ページトップ