学ぶ 2016.12.29 「〇〇共済」と生命保険、どこがどう違う?

新聞の折り込み広告、ポスティングのチラシなどでよく目にする「共済」。内容を見てみると、「不慮の事故、病気の死亡時に〇〇〇万円の保障」などと宣伝されることが多く、生命保険とよく似ています。一体どこが違うのでしょうか?

■共済の仕組みとは

そもそも共済とは、協同組合などの組合員が相互に助け合う目的で作られた保障制度のことで、下記などがありますが目的は「組合員の相互扶助」で一致しています。

・全労済が扱う『こくみん共済
・JAが扱う『JA共済
・日本コープ共済生活協同組合連合会が扱う『コープ共済
・各都道府県単位で加入する『都民共済』『県民共済

全労済は厚生労働省、JA共済は農林水産省が監督する共済事業(非営利事業)。金融庁が監督する営利事業の生命保険とは、大きく性格が異なるのです。

相互扶助の組合ですので、共済に入るためには出資金が必要です。出資金を支払うことで組合員になり、共済の一員として様々な保障を活用できるようになります。

例えば、全労済の場合は出資金が1口100円。新しく組合員になるためには10口(1,000円)以上の出資金が求められます。

■メリット、デメリットを天びんにかけて慎重な判断を

保険との違いは加入の仕組みだけではありません。「掛金」「保険金の上限」「高齢者の保障」の面で明らかな違いが見られます。全労済の「こくみん共済 総合タイプ」を例にとって比較してみましょう。

こちらは月々の掛金は1,800円という安さですが、死亡保障:400万円(病気等)・800万円(不慮の事故等)・1,200万円(交通事故)と上限設定が低め。全労済の場合、死亡保障の上限は3,000万円で、民間の生命保険のように高額保証は望めません。

更に、高齢者になると保障は目に見えて下がってしまいます。死亡保障の上限が3,000万円の「総合タイプ」は59歳まで。下記のように、年を経るにつれどんどん保障の小さいコースしか選択肢がなくなってしまいます。

  • 総合タイプ(15歳~59歳):死亡保障の上限3,000万円
  • 総合60歳移行タイプ(60歳以上):死亡保障の上限300万円
  • 総合65歳移行タイプ(65歳以上):死亡保障の上限200万円
  • 総合70歳移行タイプ(70歳以上):死亡保障の上限100万円
  • 総合80歳移行タイプ(80歳~85歳):死亡保障の上限20万円

以上の特徴を考えると、下記の人は共済が向いていると言えるでしょう。

・月々の保険料を安く抑えたい人
・保証は最低限で十分と考えている人
・若年の単身者

一方、一家の柱として家族を支えている人は手厚い死亡保障を求めたいところ。そのため、死亡保障の低さがネックになる共済はあまり向いていないと言えるでしょう。また、共済は掛け捨てタイプがほとんどで、保険に貯蓄性を求める人にも不向きです。

「月々の掛金を低く抑え、最低限の保障を確保する」という共済のポイントを十分に理解し、自分に向いているか否かを検討してみましょう。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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