学ぶ 2017.01.26 病気やケガで働けなくなったとき役立つ、公的制度5つ

今は健康でバリバリ働いていても、予期せぬ病気やケガで長期間働けなくなるリスクは誰にでもあります。そんなとき頼りになるのが公的保険による補償制度です。今回は、長期間働けないことによる収入の低下を部分的にカバーしたり、多額の医療費がかかった場合に払い戻してもらえる、公的な制度について見ていきましょう。

業務中か業務外かで、適用される公的補償が異なる

まずは、病気やケガで会社を休んだり、業務上のケガなどで治療を受けたりした場合に受けられる公的な給付制度を紹介します。これらは健康保険や労災保険に加入している会社員などが受けられる制度で、自営業者は対象外となります。

1. 傷病手当金(健康保険)

業務外で負った病気やケガで、4日以上連続で会社を欠勤せざるを得なくなったとき、4日目以降から日給の3分の2相当額の金額が支給される制度です。補償期間は最長1年6カ月で、欠勤が続く限り支払われます。申請先は勤務先です。

2. 休業補償給付・休業給付(労災保険)

業務中に負ったケガは業務災害として「休業補償給付」、通勤中に負ったケガは通勤災害として「休業給付」の給付対象となります。ケガだけでなく、業務との因果関係が認められる病気なども対象です。こうしたケガや病気で4日以上欠勤せざるを得なくなったとき、4日目以降の欠勤について支払われます。給付額は目安として休業前の収入の8割程度で、再び働けるようになるまで支払われます。申請先は所轄の労働基準監督署です。

なお、健康保険は業務上のケガや病気の場合は給付対象とならないため、「休業補償給付」や「休業給付」と「傷病手当金」を同時にもらうことはできません。

3. 療養補償給付・療養給付(労災保険)

業務中や通勤中にケガや疾病に見舞われた場合、労災指定病院などで診察や治療を受けることで労災保険から給付金がもらえる制度です。業務中のケガなどは業務災害として「療養補償給付」、通勤中のケガなどは通勤災害として「療養給付」の給付対象となります。給付方法は下記2つのパターンがあります。

<労災病院などの指定の医療機関で治療を受けた場合>
無料で治療を受けることができる現物給付となります。この場合の申請先は治療を受ける労災病院などになります。
<近くに指定の医療機関がなく、労災病院以外で治療を受けた場合>
その療養にかかった費用が事後に支給される現金給付となります。この場合の申請先は所轄の労働基準監督署になります。

医療費が高額になった場合に利用できる制度

病気やケガで長期間働けなくなるだけでなく、その治療に高額な医療費がかかるケースもあるでしょう。そんなときは高額療養費制度や税制面で負担を軽減する医療費控除などを活用することが可能です。

4. 高額療養費制度

1カ月に支払った医療費が自己負担限度額を超えたとき、その超過分を支給してもらえる社会保険の公的制度。自己負担限度額は年齢や所得に応じて異なり、決められた計算式によって算出されます。
たとえば、70歳未満で標準的な収入(年収370~770万円)の人の自己負担限度額の目安は8万円強となり、それより多く支払った分が戻ってきます。申請先は加入している保険者によって異なるため、保険証に記載されている保険者に問い合わせましょう。国民健康保険の場合は、自分が住む市区町村の国民健康保険の担当窓口に確認してください。

5. 医療費控除

1年分の医療費の合計が10万円を超えていて、受け取った給付金(上記の高額療養費制度で払い戻されるお金も含む)や保険金を引いても10万円を超える場合、確定申告をすると、税金の負担が軽くなる税制面の優遇措置です。生計を共にする家族全員の医療費が対象となります。申請は確定申告の際に行います。

公的支援が薄い自営業者は、貯蓄や民間保険でカバー

自営業者が加入している国民健康保険には、会社員の「傷病手当金」に当たるような公的な給付がありません。また、自営業者は労災保険の適用もありません。

さらに、保険料の負担においても、会社員の健康保険や公務員の共済組合は保険料を勤務先が折半してくれますが、自営業者が加入する国民健康保険の保険料は全額自己負担となります。

こうした観点からも、社会保険制度などの公的支援は会社員などには手厚い一方で、自営業者には非常に薄いというのが現状です。自営業者は病気やケガで働けなくなる万が一の事態に備えて貯蓄をする、民間の保険に加入するなど、自身を守るための自助努力が非常に重要になります。

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TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXT

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