学ぶ 2017.02.20 2017年スタートの「セルフメディケーション税制」とは?

2017年1月から新たにスタートした「セルフメディケーション税制」。ドラッグストアや薬局で市販されている薬(OTC医薬品)を購入したときに、一定の条件を満たしていれば税金が控除される制度です。どんなものなのか、詳しく説明しましょう。

■税金が安くなる?セルフメディケーション税制とは

「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」とは、対象となるOTC医薬品の年間購入額が合計1万2,000円を超え、かつ健康診断を受けているなどの条件を満たした人に適用されます。この制度を利用して確定申告をすることで、所得税の一部が還付や翌年度の住民税が軽くなるなどのメリットがあります。

“セルフメディケーション”について、WHO(世界保健機関)では「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義しており、セルフメディケーション税制はこの考えに基づいています。

これまでも医療費控除の制度がありましたが、これは医療機関で支払った医療費が年間で10万円を超えた場合に税金が還付・減額される制度です。高齢化が進む現代。セルフメディケーション税制は、自分自身で健康管理や病気の予防に努め、軽い症状であればOTC医薬品での治療を推進する制度といえます。

どのくらい税金がお得になるのか、日本一般用医薬品連合会のサイトで計算することができます。

どんな人が対象になる?

以下の3つの項目を満たした人が、セルフメディケーション税制の対象となります。

1. 対象となるOTC医薬品の年間購入額が1万2,000円以上(上限金額:8万8,000円)

2. 所得税と住民税を納めている人

3. 以下のいずれかを受けている人
・ 職場での定期健康診断
・ 定期健康診断(事業主健診)
・ 特定健康診査(メタボ健診)
・ 予防接種
・ 健康診査
・ がん検診

■対象となるOTC医薬品の見分け方

セルフメディケーション税制の対象となるのは、医療用から転用された特定の成分を含む医薬品(スイッチOTC医薬品)のみ。2016年8月現在では、1,500以上のOTC医薬品が対象となっています。

対象となる多くのOTC医薬品には、セルフメディケーション税制対象マークが表示されています。ただし、表示は義務ではないため、すべての商品に記載されているわけではありません。対象かどうか不明な場合は、購入時に薬剤師に確認すると良いでしょう。

対象となるOTC医薬品は、厚生労働省 セルフメディケーション税制対象医薬品 品目一覧のページからも確認できます。

■セルフメディケーション税制の注意点

1. 医療費控除との併用は不可
この制度は名前の通り、あくまでも“医療費控除の一部”です。そのため、これまでの医療費控除との併用はできません。医療費控除とセルフメディケーション税制、どちらも適用対象となる人であれば、自分で選択することができます。基本的には医療費控除を適用した方がお得になるケースが多いようです。

2. 適用は平成29年分の確定申告から
平成29年分の購入費用は、平成30年の確定申告で申告することができます。そのため、実際の還付・減税は平成30年からとなります。

3. レシート等の証明書類について
確定申告の際にはスイッチOTC医薬品を購入した証明書類を添える必要があるため、レシート等を確認・保管しておく必要があります。(参考:セルフメディケーション税制の適用を受ける際に必要となる証明書類(レシート等)の記載事項について

上手に活用することで、健康管理においても節税においてもメリットがあると言えるセルフメディケーション税制。皆さんも活用してみてはいかがでしょうか。

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