学ぶ 2019.05.28 LCCはどうして安い?損しないためにチェックしたい注意点

大手航空会社と比べて、大幅に利用料金の安いLCC。日本では歴史が浅いにもかかわらず、そのお手軽さから一気に庶民へと浸透しました。どうしてここまで安価なのか。理由や注意点を知って、格安チケットを上手に活用できるようになりましょう。

■LCCの航空券は本当に安い?気になる本当のトコロ

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結論からいえば、LCCの航空券"自体"は安いです。ビジネスモデルは単純で、従来の航空会社よりもコストカットし、搭乗率を上げ、多く発着しているだけ。シンプル故に議論をするまでもなく、LCCの航空券は割安です。ですが全貌を見ると、そうとも言い切れない気がしてきます。

■『ココが重い!』消費者側の負担。LCCの安さの代償

LCCとはローコスト・キャリアの略。コストカットを徹底することで、既存の航空会社(レガシー・キャリア)とは比べ物にならない安さの運賃を実現しています。中には期間限定セールで10円以下のチケットまで。

でも待ってください。安さの裏には多くの罠が。実は従来の航空会社よりも安く済ませるには、ユーザー側の努力も必要なんです。

1.大手航空会社では当たり前のサービスが有料

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無料ドリンク、ブランケットの貸し出し、座席指定といったサービスのほとんどが、LCCでは有料となっています。100円ショップでさえ無料で書いてもらえる領収書発行が別料金のことも。基本的に『何かを頼むと有料』と思っておきましょう。それだけ人件費の削減に知恵を絞っているのです。

利用数日前の予約でチケットが1万円付近の場合、必要なサービスを加味するとレガシーキャリアとほとんど変わらない可能性まであります。印象だけで安いとは決めつけず、しっかりと比較検討するようにしましょう。

2.厳しい荷物の重量制限

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LCCでは機内持ち込み荷物の厳しい重量制限が設けられています。預けるにしても、安いチケットでは、どんなに小さくとも有料に。

さらに細かい重量指定や個数制限があるので、2泊以上の宿泊──とくに空港でお土産をたくさん買い込む人には向きません。予約をせずに当日荷物を預けるだけで別料金が発生する会社もあるので、場合によっては宅配業者の利用も視野に入れましょう。

ただ、そうまでして拘るほどLCCは安くありません。事前に荷物が多いと分かっているのであれば、LCCは避けるのが無難です。

3.全てが遠い

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体力のない人にLCCは向きません。まず空港が遠い──羽田よりも成田、成田よりも茨城、といった具合に空港が僻地(失礼!)であればあるほどコストが抑えられる傾向にあるためです。

多めに見積もって東京駅→羽田空港は電車で40分/600円、成田空港は90分/1400円ほど。バスを使えば交通費を下げることもできますが、当然ながら遠いのは変わりません。遠いからと特急を使えば3000円を超えることに。簡単に料金差が埋まってしまいます。

空港でも受付カウンターは中堅航空会社よりもさらに端。搭乗口も徒歩・バスで15分近くかかることもザラ。そのぶんチェックインも一般航空会社と比べて締め切りが早くなっています。1分でも遅れると搭乗できないこともあるので、時間に余裕を持った行動が必須です。

ちなみに茨城空港は場所こそ東京から離れているものの、日本初のLCC対応空港で、空港ぐるみでLCCの経費削減をしているため非常に便利。航空機の発着・搭乗機構・建物構造の簡略化で、空港利用料まで引き下げています。航空機利用の場合は東京駅から500円で直通バスも出ているため、時間に余裕がある方は一度『快適なLCC』を利用してみるのもいいでしょう。

4.遅延が多い。ひどい場合は運休・欠航、振替がない場合も

航空機はバスや電車と違い、便数を簡単には増やせません。そこでLCCは1つの便にかける時間とコストを大幅に削り、搭乗料金へと還元しています。

1つは使用する機体の統一。全て同じ機体にすることで整備用品・手順・マニュアルを簡素化。これにより素早く次の便として使用することができる──結果的に運行本数が多くなります。

もう1つが中型機を使用した搭乗率のアップ。一般的な航空会社で採算の取れるラインは搭乗率60%といわれていますが、LCCでは80%以上の搭乗率がなくてはいけません。中型機を使って空席の出ない座席数を定員とすることで、必然的に搭乗率が上がります。これだけだと搭乗人数が減ってしまうものの、座席の幅を狭くして、なるべく多くの人が搭乗できるようになっています。

いかに安くたくさん飛ばせるか──企業努力に目を見張るものはあります。しかしタイトなスケジュールの裏を返すと、空港側の間隔調整、機体トラブルや荒天で簡単に遅れが発生してしまうということ。余裕を持った運用ではないので、早朝の遅れが一日中解消できないことも。

欠航になった場合も格安チケットの場合は他社便への振り替えといった保証はほぼなく、原則各自で行わなくてはいけません。もちろん同じことを考える人が多いので、チケットが取れるとも限りません。取れても当日券は軒並み高く、他の空港に移動する必要まで出てくると、一般航空会社を使う以上にお金がかかります。

こういった事態や、自己都合にも対応した各社の保険があったりもしますが、そうまでするのであればレガシーキャリアの早割のほうがサービスも良く、保険に入る必要もないので、よほどお得です。遅れや運休が出て困る用事では、LCCを利用するべきではありません。

5.激安チケットをゲット!──したはずなのに表示より高い

3桁の料金表示も珍しくないLCCの航空券。せっかく格安でチケットを手に入れたはずなのに、いざ支払う段階で合計金額を見ると予想以上の料金に……。

これもLCC特有の罠。ほとんどのLCCで今までの航空会社では当たり前に含まれていた『空港使用料』と『支払い手数料』が、別料金として加算されます。絶対にかかる料金が別料金として表記されているので、余計に「損させられた」と感じる要因に。

それ以外にも『受付カウンターの利用手数料』『アプリ未使用だと割引なし』など、知らないと損する仕組みがそこかしこに見られます。もちろん1~3に挙げた追加料金もあり、4のようなリスクも孕みます。

そもそもが旅行でホテルを取る場合は、全部含んだツアー料金のほうが安くなることも。チケット代金自体は安くとも、時間やサービスを含め、本当に『お得』だと思えるのか──色々な要素を天秤にかけ、熟考した上で利用したいものです。

■LCCのふしぎ。セールの激安チケットでも利益が出るのか

いわゆる目玉商品である5円や300円といった超格安のチケットでは、当たり前ですが利益は出ていません。これは搭乗率を上げる施策の一つ。航空券を買ってもらうには、まず消費者に搭乗を検討してもらわなくてはいけません。

4桁を切るとなると、あまり旅行を意識していなかった層も「これなら行ってみようかな」という気になり、格安チケットのことを頭の片隅に置くように──覚えていれば、発売日に販売サイトにアクセスしてくれるかもしれません。そうなってくれれば儲けもの。

頭の中ではすでに旅行のプランが練られているので、目玉商品が買えなくとも、次に安い他のチケットも検討してくれることでしょう。旅行する予定のなかった消費者を顧客予備軍へと導くことができるのです。

ご存知の通り航空業界ではダイナミックプライシングが導入されていて、フライト予定日が近づくほどに価格が上がる仕組み。値段が上がるといってもレガシーキャリアより運賃は安いので、そこそこの集客が見込めます。利益率も上がっていくため、セールで出る損も回収できるというわけです。

言い方はよくありませんが、宣伝費がそこまでかからず、ほぼ確実に損失も埋まる『上手い手』だと言わざるを得ません。

もちろんLCCの努力はこれだけではありません。地方の小さなお祭りから人気アーティストのイベントなど、レガシーキャリアでは価格に反映されない要素まで独自に調査し、搭乗率や価格を調整しています。

こまかな企業努力があるからこそ安い価格でチケットを提供できる──LCCの安さの秘密はそれに尽きそうです。

■LCCの利用に向く人、向かない人

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▼LCCに向いている人

自分が多少の面倒や不便を感じても、価格を抑えることを優先できる人であれば、LCCは最適です。あるいはスーパーのチラシやウェブショップで価格を見比べたり、遠出の際にマイカーとバスのどちらがお得か……そういった事を調べるのが苦でなければ。

そして追加料金がなるべくかからないようにサービスを断る鉄の意思がある人。機内で寝てしまう人や、明確な時間の定まっていないバックパッカーなどにもオススメできます。定期的に地方に帰省して、手荷物もお土産も必要ない、なんて方にももってこいでしょう。

空港のある地方都市や、成田・茨城といったLCCの発着が盛んな空港の近くに住んでいる方も利用のハードルは低め。移動の手間がないぶん、積極的に利用していきたいところです。

▼LCCに向かない人

数人の友人グループや子供連れでのLCC利用は控えたほうが無難です。カップル程度であれば空港内で時間を潰せるのでそこまで困りませんが、人数が多かったり、忍耐力のない子供を連れていると雰囲気が悪くなり、せっかくの楽しい旅行が台無しになってしまいます。

そういったグループ利用は荷物も多く、移動での消耗も激しいため、そこまでお得だと感じられない場合が多そうです。下手にLCCを利用すると予約者が荷物について説明したりと、手間ばかりかかって気疲れしてしまうかもしれません。

とくに4人以上であれば『言った・聞いてない』『出発遅れ』『追加料金』とトラブル必至。迷わずレガシーキャリアをオススメします。大人数であれば早いうちにスケージュールも決まっていることでしょう。75日前までの予約や、団体割引を駆使すれば、LCCより安く済ませることも可能です。安さだけにこだわらず、利便性も視野に入れて考えましょう。

一見ビジネスマンの出張にも良さそうですが、他社訪問や会議など、時間厳守の予定が多いため、遅延の多いLCCはまったく向きません。

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■乗るなら事前の準備、確認をしっかりしておこう

LCCは安いといえど「これぐらいなら」の有料サービス利用で、簡単にレガシーキャリアよりも高くなってしまいます。もちろんハイシーズンは相応の値段になります。予想外の理由で値段が高くなっていることもあるので、事前の調査が重要です。

ただ表示価格が安いからとLCCを選ぶのではなく、比較サイトや他社とも見比べて、しっかり納得した上で利用するようにしましょう。

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