学ぶ 2017.03.22 2017年1月改正の育児・介護休業法 収入への影響は?

働きながらの子育てや介護が当たり前になってきた昨今。それを支えるのが「育児・介護休業法」です。この法律が、2017年1月に改正されました。今後、より仕事と両立しやすくなることが期待されます。では、今回の改正のポイントはどんなものなのか。改正によって、収入に影響はあるのでしょうか。確認してみましょう。

■育児・介護休業法 改正のポイント

育児・介護休業法は、育児や介護を行う労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援することで、その福祉を増進するとともに、経済や社会の発展に資することを目的とした法律です。
また、近年、社会問題としても認識されはじめた「ダブルケア」への対策としての側面も持ち合わせているといえるでしょう。

厚生労働省が発表した内容をもとに、今回の改正のポイントをまとめてみました。

トピックス改正前改正後
1. 介護休業を分割して取得可能介護を必要とする家族1人につき、通算93日まで原則1回に限り取得可能介護を必要とする家族1人につき、通算93日まで3回を上限として取得可能
2. 介護休暇の取得単位が柔軟化介護休暇は1日単位で取得可能
半日(所定労働時間の2分の1)単位で取得可能
3. 介護のための所定労働時間の短縮措置等が利用しやすくなる介護のための所定労働時間の短縮措置(選択的措置義務)について、介護休業と通算して93日の範囲内で取得可能介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能
4. 介護のための所定外労働の制限(残業の免除)が新設なし対象家族1人につき、介護終了まで利用できる所定外労働の制限を新設
5. 有期契約労働者の育児休業の取得要件が緩和有期契約労働者は、以下の要件を満たす場合に育休の取得が可能
a. 申出時点で過去1年以上継続して雇用されていること
b. 子が1歳になったあとも雇用継続の見込みがあること
c. 子が2歳になるまでの間に雇用契約が更新されないことが明らかである者を除く
以下の要件に緩和
a. 申出時点で過去1年以上継続して雇用されていること
b. 子が1歳6カ月になるまでの間に雇用契約がなくなることが明らかでないこと
6. 子の看護休暇の取得単位が柔軟化1日単位で取得可能半日(所定労働時間の2分の1)単位で取得可能
7. 育児休業等の対象となる子の範囲が広がる育児休業等が取得できる対象は、法律上の親子関係がある実子・養子特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子等も新たに対象
8.マタハラ・パタハラなどの防止事業主による妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益取扱いは禁止加えて、上司・同僚からの妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする嫌がらせ等(いわゆるマタハラ・パタハラなど)を防止する措置を講じることを事業主へ新たに義務づける。また、派遣労働者の派遣先にも適用する。

■収入面に影響はある?

この改正で、働きながら子育てや介護をしている人がより柔軟に休みが取れるようになるでしょう。では、収入面にはどのような影響があるのでしょうか。

まず、考えられることとしては、休みの取得単位が柔軟化されたことにより、より細かく仕事の仕方を調整可能になります。例えば、午前中だけ介護に関する用事があるとしたとき、改正前は1日単位で休みを取る必要がありましたが、改正後は半日単位で休みを取ることができます。ということは、半日分の給与は働けばもらえることになります。

また、効率よく仕事と子育て・介護を両立できるようになることで、望まない退職をすることなく、収入が得られること自体が大きなメリットといえるでしょう。

さらに、この改正に先行して、2016年8月以降の介護休業取得者を対象に、介護休業給付金が引き上げられました。「休業開始時賃金日額×支給日数×40%」から「休業開始前賃金日額×支給日数×67%」に変わっています。

これからますます働きながらの子育て・介護はしやすくなると思われます。ですから、いざ、両立しなければならない状況に直面しても、すぐにキャリアアップや報酬を諦めないでください。さまざまな制度や支援について情報を集めておき、自身のため、家族のため、社会のために役立てましょう。

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