学ぶ 2017.03.24 基本給 vs 手当、どっちが高いのがお得?

何となく理解しているようで、意外と難しいのが会社の給与体系です。事実、額面(会社から支払われる総支給額)と、そこから税金や保険料が引かれて実際に銀行口座に振り込まれる手取り(差引支給額)の差の大きさに驚く新入社員の姿は珍しくありません。次のような失敗をしないためにも、給与の仕組みについて正しく理解しておきましょう。

■あるある失敗談 その1

「求人誌に『月給20万円』と書かれてあったのは基本給のことで、資格手当や住宅手当は別にもらえると思っていた。けれど、それは手当込の金額だった。そのため、予想よりも収入が少なくなってしまった…」

【これは知っておこう!】

まず、「基本給」と「月給」の違いを正しく理解しておくことが必要です。

「基本給」とは、給与の基本となる賃金のことで、毎月、最低限貰える賃金と考えていいでしょう。業績に応じて支払われる歩合給(出来高給)はもちろん、残業手当や通勤手当のような、状況に応じて金額が変動する手当に加え、資格手当や役職手当といった毎月固定で支払われる手当も含みません。

一方「月給」とは、1カ月単位で定められ、月毎に支給される賃金のこと。「基本給」に、資格手当・役職手当などの毎月固定で支払われる手当を加えたものを指します(残業手当や通勤手当などの毎月金額が変動する手当は含まれません)。このため、「月給〇万円」と書かれている場合、手当が含まれている可能性があるため、内訳をよく確認しておくことが大切です。

■あるある失敗談 その2

「この会社、初任給がけっこういいなと思っていたら、2年目から収入がダウン。新人にだけ付く諸手当が関係していた……」

【これは知っておこう!】

「初任給」とは、採用後、最初に受け取る賃金月額のこと。法律上の定義はありませんが、厚生労働省の『賃金構造基本統計調査(初任給)』では、「通常の所定労働時間、日数を勤務した新規学卒者の6月分所定内給与額(所定内労働時間に対して支払われる賃金であって、基本給のほか諸手当が含まれているが、超過労働給与額は含まれていない)から通勤手当を除いたもの」と定義されています。

つまり、「基本給」に諸手当(時間外労働手当と通勤手当は除く)を加えた賃金のことです。ただし、現実には、残業代や通勤手当を含んだ総支給額を「初任給」として表示している会社もあり注意が必要です。

「初任給23万円(基本給20万円、住宅手当3万円)」などと書かれていれば内訳がわかりますが、単純に「初任給23万円」とだけ書かれている場合、内訳がどうなっているかはわからないため尋ねてみると安心です。

■あるある失敗談 その3

「基本給20万円で手当なしのA社と、基本給は15万円だが毎月8万円の手当が付くB社で迷った末、月給にして3万円高いB社に決めたが、年収ではA社のほうが高いことを知り落ち込んでいます」

【これは知っておこう!】

会社員がもらえる賃金には、毎月の給与に加えて、賞与(ボーナス)も存在します。よく「今年のボーナスは〇カ月分」と聞きますが、その場合の〇カ月分は、基本給が基準になることが一般的です。

仮に、A社、B社とも、ボーナスが基本給の8カ月分だったとすると、以下のようになります。
A社の賃金「20万円×12カ月+20万円×8カ月=計400万円」
B社の賃金「23万円×12カ月+15万円×8カ月=計396万円」

このように年収に換算するとA社のほうが高くなります。

また、時間外労働手当、いわゆる残業代も、基本給を基準にして1時間当たりの単価で算出されるのが一般的です。そのため、A社とB社の基本給の差が4対3であれば、残業1時間辺りの単価も、たとえば2,000円と1,500円という具合に4対3になります。同様に、退職金も基本給を基準にして算出する会社も少なくありません。このように、基本給はボーナスや残業代、退職金の算出基準になるケースが多く、一概には言えませんが、同じ総支給額(額面)なら、基本給が高いほうが有利であると言えます。

■まとめ

労働条件の不利益変更が原則禁止されている労働契約法などもあり、基本給は上がることはあっても下がることはあまりありません。一方で諸手当となると、働き方や生活環境の変化によって消失や減額する可能性は十分あります。

手当を含む「月給〇万円」という言葉に惑わされず、基本給や手当の中身まできちんと確認するようにしましょう。

※実際に給与をもらったら…給与明細を確認してみよう!

【関連記事】
その給与明細、合ってますか?この項目は必ずチェック! | マネチエ

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

マネチエでは身近なお金の話題をお届けしています
この記事を気に入っていただけたらフォローをお願いします!

ページトップ