学ぶ 2017.04.10 NISAの使い方と活用法をやさしく解説 メリット生かす3つのポイント

NISAは、英国で広く普及している個人貯蓄口座「Individual Savings Account」を「Nippon(日本)」向けにアレンジした、個人投資家を対象とする少額投資非課税制度です。2016年1月1日以降は、年間の非課税投資額の上限がそれまでの100万円から120万円にまで広げられたこともあって、人気もすっかり定着しました。金融庁の集計結果によると2016年12月末時点における速報値で、NISA口座数は約1,069万口座に達しています。ここでは、NISAの賢い活用法について考えてみましょう。

■NISAの特徴は「非課税枠」

NISAは、何といっても非課税の範囲が広いことが魅力です。

年間120万円までの投資額に関して、売却益や配当金、分配金などの利益が最長5年間非課税になります。通常の特定口座などの場合には、復興特別所得税込で20.315%の税金がかかるため、NISAは相当な優遇措置だといえます。

NISAでは、2014年から2023年にかけての10年間、「毎年120万円分の非課税枠」が追加されることになっています。ただし、前年分利用しなかった分の非課税枠は、翌年への繰り越しはできません。そのため、2016年の投資額が80万円で非課税枠を40万円分残していたとしても、2017年の非課税額が160万円に増えるわけではなく、120万円のままということになります。

利益が非課税扱いとなる期間は最長5年間です。購入してから5年以内ならば、売却益や配当金は非課税扱いということです。

2016年に購入した80万円の投資信託をそのまま持ち続けていれば、まるまる5年間は分配金などの利益が非課税扱いとなります。もちろん、5年以内に売却をすれば、その売却益についても非課税となります。

「NISAは2023年まで」と、期間が限定されていますので、非課税枠を賢く利用するためには、なるべく早くNISA口座を開設し、「最長5年間」を最大限に活かしたいところです。なお、非課税枠を使った投資総額は合計600万円まで(120万円×5年)と決められており、600万円を超える投資金額については非課税の対象にならないことにも注意が必要でしょう。

また、「売却をしたからといって、その分非課税で購入できる投資枠が増える、というわけではない」ということも頭に入れておきましょう。

■長期投資に向いているNISA

こうしてみると、NISAを賢く活用する投資対象としては、長期投資向けの投資信託が向いているようです。仮に順調に価格が上昇していれば、5年目になったところで一旦売却した上で、新しい非課税枠を利用して投資することによって、その投資を再び5年間非課税状態にすることができるからです。

逆に短期でくりかえし売買をした場合には、早い段階で非課税枠を使い切ってしまいます。そのためNISAで運用するのには、長期投資に向いたものを選別することが重要となります。

■メリットを最大限生かす「NISAで投資」とは?

では、NISAのメリットを最大限に活かす方法を考えてみます。

たとえば、2017年に120万円の投資を実行したとしましょう。この投資による配当金や分配金は、5年間非課税であるため、税金を引かれることなくそのまま恩恵を享受できます(配当金や分配金が出た時に限り)。そして、5年後の2022年には投資対象を売却します。売却時の基準価格が購入時より値上がりしていた場合、売却益についても非課税扱いになります。

次に、2022年の非課税枠を使って、売却代金の中から120万円分を再投資するのです。この再投資に関しても、5年間は非課税扱いになるため、まさにNISAのメリットを最大限に活用できます。

■意外に大きい「非課税枠」の恩恵

投資信託のなかには、高い分配金利回りを実現しているものが数多くあります。仮に分配金利回りが30%の投資信託に120万円投資していた場合、年間に受け取る分配金は「36万円」です。

これが課税対象なら、15.315%の所得税と5%の地方税、計20.315%にあたる7万3,100円が課税されることになります。

■決して稀ではない「テンバガー」銘柄

株の世界では、株価が10倍になる銘柄のことを「テンバガー」と呼んでいます。まさに投資家なら誰もが憧れる銘柄でしょう。しかし実際のところ、テンバガーは奇跡の産物ではありません。宝くじの1等に当選するよりは、よほど現実味のあることだといえるでしょう。

会社四季報オンライン編集部が、2011年5月25日の終値と、5年後にあたる2016年5月25日の終値を対比した結果をまとめた記事(*1)によると、ディップが68.4倍だったのを筆頭に、シノケングループの36.3倍やアイサンテクノロジーの36.0倍、クスリのアオキの24.0倍など、5年間でテンバガーを達成した銘柄は、実に36銘柄ありました。

もちろんこれらは株価上昇の端的な例ではありますが、長期投資で得られる利益が、時には予想外に膨らむ可能性を秘めていることがわかります。テンバガー銘柄を保有し非課税枠を利用できたとしたら、その恩恵がいかに大きなものになるのか、実感を持って理解することができるはずです。

(*1)会社四季報オンライン編集部

■NISAで投資する時のポイント

最後に、NISAで投資する場合のポイントをもう一度整理しておきましょう。

  1. 非課税枠を活用するためには、できるだけ早く口座を開設する
  2. 投資対象には「長期投資に向いた株や投資信託」を選ぶ
  3. 5年後に投資対象を売却して得た金額は、新たに投資するための非課税枠に利用する

投資には当面の利益に目を奪われることなく、長い目で見た運用が大切です。短期間に売買を重ね、利益を生み出すことも可能ですが、NISAのメリットを最大限に活かすためには長期的な保有を検討するのがいいでしょう。

長期投資によって得られる利益をいろいろとシミュレーションしてみることによって、非課税枠の効率的な活用を考えてみてはいかがでしょうか。

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