学ぶ 2017.07.13 旅して経済に賢くなれる「スタバ指数」って知ってる?

国の景気動向や安定性を見極めるためによく用いられるのが「物価」です。景気が良いと物に対する需要が増えて消費が増え、物の価値(物価)が上がる、という図式になります。こういった物価の変動により、同じ100ドルでも、国によって買えるものが異なる=お金の価値に違いが生じてくるわけです。

このように、各国の経済状況が如実に現れるのが物価ですが、この物価について各国を比較する世界共通の基準として「スタバ指数」というものがあるのをご存じでしょうか。今回はこの「スタバ指数」についてご紹介します。

■スタバ指数の考え方の基礎、「購買力平価」

世界各国において貿易障壁がないと仮定すると、同じものの価格は1つだとする「一物一価の法則」が成り立ちます。この法則が成り立つときの二国間の為替相場を「購買力平価」といいます。

例えば、1ドル=120円とした場合、SONYのイヤホンが日本では12,000円で売られているときに、同型のイヤホンがアメリカでは100ドルで売られていれば、購買力がつり合っているため、1ドル=120円の為替レートは「購買力平価」であると言えます。

一方で、同じイヤホンが日本では12,000円のままだが、アメリカでは90ドル(10,800円)で売られていれば、中長期的につり合うよう、やがて為替レートが円安方向に動いていくだろう、というものです。

■スターバックス・ラテ指数とは

このような購買力平価説にもとづき、特定の商品を基準とするもので有名なのが、世界中に支店が数多くある「スターバックスコーヒー」の価格指数です。カフェラテのトールサイズを基準にしたのが「スターバックス指数」、または「トール・ラテ指数」とも呼ばれます。

スターバックスコーヒーで売られているカフェラテのトールサイズの価格から、各国の通貨の購買力平価を比較することができるといわれています。

2016年に発表された「スターバックス指数」によると、日本は4.58ドルです。これに対してアメリカのマイアミでは5.08ドルになっています。比較してみると、アメリカは日本の約1.11倍の指数となっています。

国ごとの指数の倍率は、1に近しいほど指数と為替レートの連動性が高く安定した状態のため、1ドル110円前後の為替レートだった2016年は、スターバックス指数と為替レートがほぼ連動しているといえます。

ちなみに、スイスのチューリッヒでは6.96ドルで日本の約1.52倍、ブラジルのリオデジャネイロでは1.49ドルで日本の約0.33倍となっていて、それぞれ日本との差がかなり大きいことが分かります。

また、同じような考え方に基づいた指数として有名なものに、ファストフードのマクドナルドで売られている「ビッグマック」の価格を基準にした「ビッグマック指数」というものがあります。ビッグマックも世界各国で同じものが売られているため、比較しやすいというのが理由です。

2017年1月のデータによると、日本は3.26ドル、アメリカは5.06ドルとなっていて、ビッグマックの価格が日本の方が相対的に低くなっていることを読み取ることができます。なお、スイスは6.35ドルで最も高額で、エジプトは1.46ドルと最も低額になっています。スターバックス指数でもスイスはトップになっており、かなり物価が高いということが分かります。

■海外旅行先で調べてみては?

海外旅行の際、食べ慣れたものが欲しくなり、世界的チェーン店のスターバックスコーヒーやマクドナルドに足を運ぶこともあるのではないでしょうか。そんなときに、日本との価格を比較してみることで、世界の経済や為替について実感ができます。

また、指数はないですが、お土産や食品を購入するためにスーパーマーケットに行った際に、ミネラルウォーターや野菜など、普段購入するものの価格を比較してみることもおすすめです。

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