学ぶ 2017.09.04 怪我・入院で仕事ができない! 社会保険が給料を保障してくれる?

万が一病気や怪我になり入院や通院する際、多くの人は自分が加入している医療保険を調べるのではないでしょうか。医療費に保険が適用されるかどうか、入院をしたら1日いくら、通院でいくら、などと医療費に関する保障を調べますよね。しかし、仕事ができなくなると、お給料がもらえない!という不安にも駆られます。そんな時の対策として、社会保険で保障される仕組みがあるのをご存知ですか?

自分の公的医療保険をチェックしましょう

そもそも、働き方や仕事内容によって、公的医療保険の種類が複数に区分されていることをご存じですか?

例えば、会社員や会社員に扶養される家族なら「健康保険」の加入者です。健康保険にも種類があり、全国健康保険協会が運営する「協会けんぽ」と会社の健康保険組合が運営する「組合健保」に分けられます。一般的に「協会けんぽ」は中小企業、「組合健保」は大企業の従業員が加入者であることが多いと言えます。

他の職種でいうと、船舶従事者は「船員保険」、公務員や私学教職員は「共済組合」、自営業者やフリーランスで働く人などは「国民健康保険」の加入者です。

会社を休んだ時の所得補償は?

健康保険に加入している人は、いざという時のために「傷病手当金」について知っておきましょう。傷病手当金とは、病気や怪我での休職中に被保険者と家族の生活を保障するための制度で、健康保険による給付です。似たようなものに労災がありますが、労災は労働保険上の休業補償になります。労災は支給金額が給与の8割ですが、傷病手当は給与の約67%です。

傷病手当は支給開始時期が早いのが特徴です。これは病気や怪我などで連続4日以上会社を休み、休んでいる間の給料が会社から支給されないことを条件として、健康保険から傷病手当金が支給されるというものです。

実際には、病気や怪我で仕事を休んだ日から連続して3日間の待機期間の後、4日目以降の仕事を休んだ日に対して支給される仕組みです。待機期間には土日、祝日、有給休暇日も含まれますが、あくまで3日間連続した休みがなければいけません。例えば、2日間連続で休んだ翌日の3日目に仕事をすると、待機3日間にはなりません。

また、支給期間は最大18カ月。休職した時点で会社に所属していれば、その後退職したとしても受給し続けることが可能です。

傷病による休暇状況は、入院・自宅療養を問わず、例えばうつ病になった場合でも受給可能です。ただし、先述同様に労災保険の対象となる病気や怪我については傷病手当金の保障はありません。

健康保険による保障はこれ以外にも、出産をした時の「出産手当金」もあります。支給となるのは出産日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日の翌日以降56日までの期間。もしも出産予定日よりも遅れて出産した場合、遅れた期間も支給対象です。支給される金額は傷病手当金の場合と同様です。

「傷病手当金」も「出産手当金」も健康保険だけの制度で、国民健康保険の加入者にはこれらの保障がありません。会社員の場合、病気などで働けなくなってしまった時の事を考えて、予め保障内容を確認しておきましょう。

組合健保ではさらに手厚い保障も

会社が運営する健康保険組合の健康保険に加入していれば手厚い保障が望める場合もあります。

例えば、先に見た傷病手当金の日額は、おおよそ平均日給の2/3が通常ですが、組合健保によってはさらに付加給付を受けることができる制度があります。傷病手当金と付加金を合わせれば日給の85%が給付されることになりますので、手厚い制度と言えます。

ソニー健康保険組合東京証券業健康保険組合関東ITソフトウェア健康保険組合などが、付加給付制度を実施しています。

また、健康保険の高額療養費制度も、法定の自己負担限度額よりも優遇されている場合が多くあります。高額療養費制度の1カ月あたりの自己負担限度額は、所得によって異なりますが、例えば標準報酬月額が26万円の人なら、法定の自己負担限度額は1カ月あたり5万7,600円です。ところが組合健保によっては2万円を上限としているところもあります。

つまり、仮に入院して病院窓口で10万円支払う場合でも、通常は4万2,400円が還付されますが、組合健保によっては8万円が還付される場合があります。そのほか、提携レストランやリゾートが割引価格で利用できるなど、さまざまな特典をもつ組合健保もあります。ご自身の組合健保にはどのような特典があるのかを見てみるのもよいかもしれませんね。

社会保険で保障を受けるために

先に挙げた傷病手当金のように、加入する公的医療保険の種類によっては保障の有無や充実度が異なることがおわかりいただけたでしょうか。いざという時に適切な保障を受けるためにも、まずは自分が加入している公的医療保険は何かをきちんと確認しておきましょう。

なお、どの種類の保険も同じですが、病気や怪我になったからといって自動的にお金が支給されるのではなく、あくまで加入者自身が請求をしないことには支給されません。各保険の保障内容や支給条件などを確認しておくことが、本当の安心に繋がることを知っておきましょう。

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