学ぶ 2017.09.06 「両親が有料老人ホームに入るかも!」 費用はどれ位かかる?

2024年には高齢化率は30.1%、2060年には39.9%と日本の高齢化はさらに進行することが予想されています(*1)。高齢化の流れと相まって、子どもの人生を大事にしたいなどの理由で、親世代が自ら有料老人ホームに入居することを選ぶパターンは、数年前と比べると一般的になってきました。ご自分の親御さんが入居を希望することも考え、有料老人ホームについて知っておく必要がありそうです。

両親が有料老人ホームに入居しようとするなら

・老人ホームの種類

ひとえに有料老人ホームといっても種類はさまざまです。介護不要の自立生活者だけを対象にした「健康型有料老人ホーム」、訪問介護・訪問看護など介護事業者と別途契約している「住宅型有料老人ホーム」、24時間体制で介護スタッフが常駐し介護サービスを受けることできる「介護付有料老人ホーム」などの種類があります。

健康型・住宅型・介護付有料老人ホームの比較
 健康型有料老人ホーム住宅型有料老人ホーム介護付有料老人ホーム
どのような施設か?主に食事などのサービスが付随した高齢者向け居住施設主に生活支援などのサービスが付随した高齢者向け居住施設主に介護などのサービスが付随した高齢者向け居住施設
居住・退去について介護を前提としていないため、仮に居住者が介護を必要な状態になると、退去する必要がある。入居者が介護を必要な状態になった場合、訪問介護などの介護サービスを入居者本人が選択して居住し続けられる。入居者が介護を必要な状態になった場合、ホームが提供する介護サービス「特定施設入居者生活介護」を利用して居住し続けられる。

老人ホームの施設によって費用はさまざまで主に入居時に支払う入居一時払い金と、月額利用料という費用が発生します。これらの費用はどの程度かかるのでしょうか。

・入居一時金

入居一時払い金とは入居時に前払いする費用です。この費用が無料という施設もありますが、高級老人ホームなどは1億円以上というところもあります。

老人ホームは入居する人にとっては住居ですが、自宅のように自分の「資産」ではありません。途中で退去することも可能です。そのため、入居時に今後数年間の権利を一括で支払うのが入居一時金になります。

ここでポイントになるのが、「今後何年間の権利を前払いするのか」という償却期間です。一時金が400万円、償却期間が5年の場合には、今後5年分の入居権利を前払いし、5年経過後は権利を完全に取得し、その後は月額利用料だけ払えばいいということになります。

ちなみに、償却期間内に退去する場合は、未償却分は返金されます。入居一時払い金は今後数年間の権利を前払いするもののため、償却期間内に退去する場合には未経過分の一時金の返還を受けることができる場合があります。例えば、入居一時金400万円、償却期間5年、償却率が20%の場合には400万円×20%=80万円を今後5年間で支払っていくという考えです。

上記を表にすると下記のようになります。

初期費用0円を謳うホームも

今や有料老人ホームの数は激増しており、厚生労働省の調査によると2006年から2013年までの7年間でその数は4倍となっています。さまざまな業者が運営していますが、できることなら安心な施設を選びたいものです。

有料老人ホームの初期費用はさまざまです。その中には初期費用0円というような施設も存在しますが、そのような施設の場合には月額利用料が高く設定されている場合も少なくありません。他方、高級有料老人ホームでは、入居一時払い金に数千万円から1億円超かかる施設もあり、月額利用料が30万円以上かかるところもあるようです。

一般的な有料老人ホームは入居一時払い金がかからないところもあります。有料老人ホームの月額利用料は12万円~30万円程度が相場といわれています。この費用の中には賃料・管理費・食費・水道光熱費が含まれており、別途で介護保険の自己負担額やおむつ代や医療費が必要になる場合もあります。

ソニー系列であるライフケアデザイン株式会社の有料老人ホームで最も新しい「ソナーレ浦和」を例にとって見てみると、少し高めの月額利用料ですが、一時金なしで月額385,720円、一時金ありの場合で月額252,720円となっています。前払い一時金は9,396,000円となっています。月額利用料の中には水道光熱費、管理費、食費、上乗せ介護費などが含まれます。

貯蓄や年金などから最も合ったプランを

有料老人ホームには、月額利用料が低い代わりに一時金が高めな施設や、一時金を払わずに月額利用料が上乗せされる施設があります。もし将来、自分が老人ホームに入居する可能性を考慮するのであれば、貯蓄や年金などから最も合ったプランを選択しましょう。また、施設によって、月額利用料の中にどのような費用が含まれるかは異なり、場合によっては、毎月思った以上の利用料が発生してしまうこともあります。事前に費用の内訳や、別途費用には何がかかるのかを把握しておきましょう。

(*1)平成28年版高齢社会白書(全体版)

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