学ぶ 2017.10.13 万歩計で保険が安くなる? テクノロジーで保険が変わる「インステック」2017

保険を意味する「インシュアランス(Insurance)」と科学技術を表す「テクノロジー(Technology)」を合わせた言葉「インステック」を知っていますか。実は、すでにたくさんのテクノロジーを活用した保険が生まれているんです。今回は医療保険領域、自動車保険領域、そして短期間保障ができる保険についてご紹介します。

ウェアラブル端末でヘルスケアに保険が

健康なうちに保険に加入しなかったため、その後の診断で保険に入れなかったり、保険料が割高になったりするケースがありました。そんな中、テクノロジーとヘルスケアを一体化させた、新しい保険が誕生しました。

東京海上日動あんしん生命保険とNTTドコモが共同開発した「あるく保険」は、「保険に入って健康になる取り組み」をサポートする保険です。

保険に加入後に行う健康増進活動をウェアラブル端末と専用アプリで計測。1日あたり平均歩数目標8,000歩が達成されたかどうかを判定し、達成状況に応じて健康増進還付金(キャッシュバック)が支払われるという保険です。生活習慣病を未然に防ぐ事を目的としています。

2017年8月2日から一部のドコモショップで先行販売がスタートしました。その後、東京海上日動あんしん生命保険の代理店で順次販売されていく予定です。

自動車の世界でも新保険「テレマティクス保険」が!

自動車保険で展開されるインステックは「テレマティクス保険」です。

「テレマティクス(Telematics)」とは、カーナビをはじめとした情報端末を利用した電子メールの送受信や、交通渋滞情報を受信できる最先端のテクノロジーのことです。

安全運転に繋げられる、運転者ごとの特性から事故のリスクが測れるなどの特徴があり、この利点を保険に活かしたのがテレマティクス保険です。安全運転促進による事故削減、保険料負担の軽減を目的に2014年より国土交通省も普及の後押しをしています

チューリッヒ保険会社

例えばチューリッヒ保険会社はテレマティクステクノロジーとして「緊急通知機能付ドライブレコーダー(Z-Assist)」を採用しました。運転中の思わぬアクシデントなどで、Z-Assistが強い衝撃を感知すると事故受付センターへ事故発生とGPSによる場所の通知が行われます。

通知を受けた同社から加入者への早急な連絡、および事故対応ができるシステムになっています。ドライバー(保険加入者)はドライブレコーダーの映像で自分の運転の癖が分かるため、運転技術の向上が見込めます。保険会社は、保険加入者の運転にどういった傾向があるのか把握することができるため、保険商品の開発がしやすくなります。

ソニー損保

また、2015年に日本初のPHYD(運転行動連動型)保険で「やさしい運転キャッシュバック型」を提供したソニー損保では、契約した車両に専用のドライブカウンタを設置することで運転のスムーズさを計測、計測結果に応じてキャッシュバックされる仕組みを採用しています。

運転経験の浅い20代を始めとした保険料が高くなりがちなドライバーへの安全運転を促し、やさしい運転を行った被保険者にキャッシュバックを行うことで、結果としてドライバーが支払う保険料の実質的な負担を軽減することが可能になります。

点数90点以上80点以上70点以上60点以上59点以下
キャッシュバック率20%15%10%5%キャッシュバックなし

(出典:ソニー損害保険株式会社より)
※点数が60点以上の場合であっても、ドライブカウンタの設置期間が180日間未満、ドライブカウンタで有効に計測した走行時間が20時間未満、または有効に計測した走行日数が10日未満の場合は、キャッシュバックなし。

加えて、同社はYahoo! JAPANとテレマティクス保険や関連サービスの共同研究を開始し、スマホの無料カーナビアプリ「Yahoo!カーナビ」で計測された走行速度、急加速、急減速などの運転特性データをテレマティクス保険の開発研究に活用するためのモニターテストを実施しています。

自動車事故の減少と安全運転を目的とした保険ですが、さらにテクノロジーが進化すると、安全運転が守られ、自動車事故が減少する期待が持てるのではないでしょうか。

短期間の補償保険

最後に紹介するのは、インステックを活用した1日から保障可能な補償保険です。今まで損害保険では旅行保険や携行品損害補償保険など、短期間の補償保険はありますが、「この日だけ、この品を」と物品や日にちを指定してかけられる保険はありませんでした。

サービス開始が予定されている「Warrantee Now」はスマホのアプリで24時間いつでも契約・解約ができ、保険期間は1日単位、保険料は「物」によって1日10円台からと、手続きも保険料も手軽なオンデマンド型の保険です。(2017年9月現在サービス未開始)

これは、家電などの保証書管理クラウドサービスを展開するWarrantee(ワランティ)が東京海上日動火災保険と共同開発、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損保、三井物産インシュアランスとも連携しサービスの提供を行っています。

保険業界の今後に期待

健康的な生活、事故を起こしにくい安全運転がテクノロジーにより見える化され、生活のさまざまな場面で幅広く展開されるインステックは、他にも気象情報との連携(事故率)を分析する取り組み、ビッグデータとの連携、AIの活用なども検討されています。ますます今後に期待ができそうです。

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TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:shutterstock

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