学ぶ 2017.10.25 未経験の方必見!「ふるさと納税」の基本を詳しく説明します

「ふるさと納税」は、自治体に寄付をすると、お礼に地域の特産品などがもらえることで人気を呼んでいます。実質的な節税につながることから、制度がスタートした2008年度では約81億円だった寄付額が、2016年度には2,800億円を突破しました。今回はふるさと納税の仕組みについて、よくある質問をまとめました。お得な制度をフル活用するため、改めておさらいしておきましょう。

Q1:ふるさと納税ってどんな制度?

ふるさと納税は、自治体に寄付をすると、自己負担額の2,000円を超える分が控除される制度です。本来の意味としては「納税」ではなく「寄付」ですが、実質的には寄付額から2,000円を引いた額だけ、その年の所得税と翌年の住民税が少なくなるため、実質的には居住地に支払う税金を別の自治体に移動させる効果があります。

自治体によってはふるさと納税をした人に対して、お礼の品(返礼品)を贈っています。例えば、2万円ふるさと納税をすると、所得税と翌年の住民税が1万8,000円分軽減されます。この際、2,000円以上の返礼品を受け取れば、事実上の節税になります。

返礼品の中でも特に人気が高いのは米や肉、カニなどの海産物や果物などのグルメ系ですが、他にも自治体が競い合ってユニークな返礼品を用意しています。インターネットからクレジットカード決済で寄付できる自治体も多いので、まさにネットショッピングのような感覚で寄付先を選ぶ人も多いようです。

寄付を受ける自治体にとっても、ふるさと納税をしてもらうと税収アップにつながります。お礼の品を用意している自治体の多くは、寄付された金額の一部を使って地元の特産品などを買い上げ、寄付した人に送るしくみを採用しているため、追加の財政負担がなく、地元企業や生産者をサポートできているのです。

返礼品の還元率については、かつては寄付金額の3割から5割程度が中心でした。しかし、自治体間の返礼品競争の過熱を懸念した総務省が、返礼品を寄付額の3割以内に抑えるよう全国の自治体に通知しており、お得度は減少傾向にあります。

Q2:ふるさと納税はいくらまでできるの?

実質的に節税できるふるさと納税ですが、控除を受けられる額には制限があります。この額を超えても寄付は可能ですが、税金の軽減効果はなくなるので注意が必要です。お得な制度を最大限活用するには自分が控除を受けられる上限額を把握し、その範囲内で寄付をするのがポイントになります。

控除を受けられる限度額は、所得や家族構成、他の控除の有無などによって異なります。大まかには住民税額の2割程度が目安とされますが、総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」では、給与収入の額と家族構成ごとの上限額の目安が示されています。さらに、詳細の収入額と家族構成を入力すると、控除額の目安をシミュレーションできる便利なエクセルシートも用意されています。

実際に年収400万円の人を例にシミュレーションをしてみました。
※自己負担額は必ず2,000円以上になります。

ケース1:独身配偶者なし 寄付額30,000円の場合
控除額(所得税+住民税)28,000円 自己負担額 2,000円

ケース2:年収400万円 配偶者が専業主婦
控除額(所得税+住民税)28,000円 自己負担額 2,000円

ケース3:年収400万円 配偶者が共働き(年収141万円以上)
控除額(所得税+住民税)28,000円 自己負担額 2,000円

ケース4:年収400万円 配偶者が共働き(年収141万円以上)扶養親族に大学生(19歳)の息子が1人
控除額(所得税+住民税)27,529円 自己負担額 2,471円

ケース5:年収400万円 配偶者が共働き(年収141万円以上)扶養親族に大学生(19歳)の息子が1人、23歳以上の娘が1人
控除額(所得税+住民税)20,429円 自己負担額 9,571円

Q3:住んでいる場所や生まれ故郷の自治体以外にもふるさと納税はできるの?

居住地や出身地に限らずどこの自治体にも寄付ができます。返礼品で選ぶ人もいれば、お礼の品がなくても出身地に寄付する人もいるでしょう。また、過去に旅行した地域や住んだ地域、災害のあった自治体など、寄付先は自由に選べます。

Q4:複数の自治体にふるさと納税はできるの?

寄付する自治体の数自体には制限はなく、同じ自治体に何度も行うことも可能です。

ただし、同じ自治体に複数回寄付する場合、何度でも返礼品をくれる自治体もあれば、年1回など回数を限定しているところもあるので、事前に確認しましょう。

また、後述する「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用するには、ふるさと納税する自治体が5団体以内である場合に限られます。いずれの場合でも、控除を受けられる上限額の範囲内にとどめておくよう注意を払いましょう。

Q5:ふるさと納税はいつでもできるの?

ふるさと納税自体は、年間を通じていつでも行うことができます。ただし、年末は自治体が休みになるため、タイミングによっては翌年扱いになってしまうこともあります。クレジットカード決済を受け付けている自治体では、大晦日の決済分まではその年の扱いになるところもありますが、独自の締切日を設定している自治体もあるので、年末に寄付する場合は必ず確認しましょう。

また、年末や年度末になると希望する返礼品が品切れになることもあります。「駆け込み」の寄付も集中し、日に日に選択肢が少なくなるので早めに手続きをしましょう。

返礼品は年度始めの4月に追加・更新されることが多いようですが、自治体や品物によって異なります。人気の高い自治体では受付を開始してすぐ品切れになるところもあるので、お目当ての返礼品の受付開始日はウェブサイトなどでチェックしておきましょう。

また、果物や新米、旬の海産物など届けられる時期が限定されている返礼品の場合も注意が必要です。受付時期を限定する自治体もあれば、年度始めから受け付けて先着順で締め切り、時期になったら送付するところもあり、自治体によって対応が異なるからです。

Q6:確定申告は必ずしなければならないの?

原則として税金の控除を受けるには確定申告が必要ですが、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の対象になると確定申告を省略することができます。

ワンストップ特例とは確定申告をせずに寄付金の控除を受けることが出来る仕組みです。ワンストップ特例を受けるには、会社員で医療費控除をしないなど、もともと確定申告の必要がない人で、寄付を行う自治体が5団体以内であるといった条件があります。この際、寄付先の自治体にワンストップ特例の申請書を提出する必要があります。

ちなみに、確定申告すると所得税分は還付されますが、ワンストップ特例を受けると所得税分を含めた控除額の全額が翌年の住民税から控除されます

Q7:ふるさと納税で集まったお金はどのように使われるの?

ふるさと納税する際に、寄付の使い道を指定できる自治体もあります。例えば、環境保全、子育て支援、教育、文化振興、医療福祉などのほか、その自治体にあるNPO法人や慈善団体の活動支援に充てられるところもあります。通常の納税では支払った税金がどう使われているかは分かりませんが、使い道をある程度指定できるのも、ふるさと納税のメリットのひとつといえるでしょう。

Q8:ふるさと納税の返礼品は課税対象になる?

自治体から贈られた返礼品は一時所得に該当するので、年間50万円を超えると、超えた額が課税対象となります。返礼品の価値が50万円以下であれば、課税されません。

まとめ:ふるさと納税で地域活性化に貢献しよう

ふるさと納税では、都市部から税収が流出したり、高所得者ほど有利な仕組みであるといった問題点も指摘されます。それでも、ふるさと納税で地方産業が活性化したり、知名度やブランド力が向上するというメリットがあり、その社会的意義は決して小さくはありません。

たとえ返礼品が目当てであっても、お礼の品を通して地方の魅力に触れ、節税しながら応援できる仕組みがふるさと納税です。未体験の方はぜひ、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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