学ぶ 2017.11.08 夫婦共働きなら「ペアローン」も検討を!住宅ローンの組み方

マイホームは人生の中でも大きな買い物の1つです。夫婦共働きをする家庭では、夫婦でお金を出し合ってローンを返済する家庭もあるのではないでしょうか。最近ではペアローンを使って返済する方法もあるようです。そもそもペアローンとは? その考え方を学んでみましょう。

■住宅ローン検討の方法「収入合算」とは

マイホームの購入に際して住宅ローンを利用する人もいることでしょう。住宅ローンの借入れ可能額は、購入希望者の収入を基準にして決定されます。たとえば、購入を検討しているマイホームが高額なために、本人だけの収入では借入れ希望額に満たない場合、配偶者の収入を加えた金額で借入れ可能額を計算することができます。これを「収入合算」と言います。

収入合算できる金額は、本人の収入の2分の1まで、合算者の収入の2分の1まで、合算者の収入全部など、金融機関ごとに異なります。基本的には正社員としての年収が基本になりますが、パート収入が安定していれば合算が認められる場合もあります。どの程度収入合算できるかは事前に確認しておきましょう。

年収:夫600万円、妻400万円のケース
 借入れが夫のみの場合夫婦の収入合算の場合
年収600万円800万円
借入れ可能額35,700,000円47,600,000円

編集部注:住宅ローン金利1.3%、30年元利均等返済の場合で計算

このように、収入合算を使えば夫のみの収入の時よりも借入れ可能額が大きくなります。

■住宅ローンの借り方

収入合算で住宅ローンを借りても、そもそもは1つの住宅ローンですから「連帯保証」か「連帯債務」になります。夫と妻のどちらの名義で借りるかは、年収や働き方を考えて決めましょう。

夫の年収が500万円、妻の年収が300万円で、夫の収入に妻の収入を合算して5,000万円の住宅ローンを借りるケースで考えてみます。

「連帯債務」では通常、夫と妻の収入を合算した年収800万円で、それぞれが債務を負って、1つの住宅ローン5,000万円を夫の名義で借ります。妻も返済義務を負うので、夫婦で返済します。

一方、「連帯保証」では通常、夫が1つの住宅ローンを借り、妻が連帯保証人になります。夫が返済しなかった場合、夫に返済能力があるか否かに関わらず、夫に代わって妻が返済する責任を負います。

■ペアローンとはどのようなもの?

連帯保証と連帯債務の場合は1つのマイホームに対して1つの住宅ローンですが、1つのマイホームに対して、夫と妻のそれぞれで住宅ローンを借りる方法もあります。これが「ペアローン」です。たとえば5,000万円のマイホームに対して、夫が4,000万円、妻が1,000万円の住宅ローンをそれぞれで借りるということです。

ペアローンをする場合には抵当権設定登記を行うため、登録免許税や司法書士報酬が夫と妻の2契約分必要になります。ちなみに、夫・妻ともに保証料や印紙税、事務手数料は一般的には借入総額全体に対してかかるものになり、夫もしくは妻の1契約の時と変わらないと言われています。

■団信(団体信用生命保険)の扱い

ほとんどの民間住宅ローンでは、住宅ローンを借りる要件に「団体信用生命保険(以下団信)」への加入があります。団信とは、住宅ローンの返済中に住宅ローンの契約者に万が一のことがあった場合に、住宅ローン残高に相当する保険金が支払われる保障制度です。通常は住宅ローン金利に団信の保険料が含まれています。

団信に加入した場合、たとえば住宅ローン契約者である夫が亡くなった場合には保険金が支払われ、残された家族に住宅ローン返済の必要はなくなります。そして、残された家族にマイホームを残すことができます。

連帯保証と連帯債務の場合、住宅ローンの契約は1つですから、契約した名義人だけが団信に加入します。たとえば夫が名義人の場合、夫が死亡した場合は住宅ローンの返済はなくなります。

一方、ペアローンは夫と妻それぞれが住宅ローンの契約をしますので、それぞれの契約に団信がつきます。つまり、夫が死亡した場合は夫名義の住宅ローンの返済がなくなり、妻が死亡した場合は妻名義の住宅ローンの返済がなくなります。

住宅ローンの組み方
(夫がメインの債務者となる場合)
  収入合算
(連帯保証)
収入合算
(連帯債務)
ペアローン
契約主債務者主債務者主債務者:妻のローンの連帯保証人
連帯保証人連帯債務者主債務者:夫のローンの連帯保証人
所有権
団体信用生命保険
住宅ローン控除

※各種資料を参考に編集部作成

具体的に表にすると上記のように分けられます。ただし、妻の団信について、フラット35の「デュエット」など一部では加入できるものもあります。加えて、住宅購入時に妻が頭金を出していて、住宅ローン返済にも関わっている場合は所有権を持つ場合もあります。

■住宅ローン控除の扱い

ところで、住宅ローンを借りて要件を満たした場合、税金が軽減される「住宅借入金等特別控除(以下住宅ローン控除)」を受けることができます。住宅ローンの12月末時点の残高の1%分をその年支払った所得税から控除され、その結果翌年支払う住民税が軽減される制度で、現在は最長10年間適用されます。

主なポイントは、2013年4月から2022年12月の間に住宅を購入すれば、最大10年間、年間40万円を上限、もしくは住宅ローン残高の1%が40万円未満の場合は住宅ローンの残高の1%を上限に、所得税から控除することができます。最高では、400万円もの減税効果を得ることができるのです。

引用:家を買うならキャッシュよりローンがお得? 住宅ローン減税とは | マネチエ

連帯保証と連帯債務の場合、住宅ローンの契約は1つです。しかし、連帯保証の場合は名義人のみが、連帯債務の場合は持ち分に応じてそれぞれが住宅ローン控除を受けられます。

例えば住宅ローンの年末残高が3,000万円で、持ち分は夫が70%、妻が30%、頭金を持ち分に応じて負担していたとします。その場合だと、住宅借入金等特別控除の対象となる借入金は下記のようになります。

夫:年末残高3,000万円×持ち分70%=2,100万円
妻:年末残高3,000万円×持ち分30%=900万円

そのため、夫は21万円、妻は16万円の住宅借入金等特別控除を受けることができます。

一方、ペアローンは夫と妻それぞれが住宅ローンの契約をしますので、それぞれが住宅ローン控除を受けられます。

住宅ローン控除はそもそも税金を支払っている場合に受けられる制度なので、収入の多い人ほど制度を活用できます。また、ペアローンにした場合は借入れのコストが2倍になるため、住宅ローン控除を受けてどの程度でコストを取り戻せるのかも考慮しておきたいものです。

■ライフスタイルに合った住宅ローン選びを

住宅ローンを利用する場合、35年程度と返済期間が長くなることが一般的で、その間に子どもの誕生などでライフスタイルや収入が変化する可能性があります。現在、夫婦共働きであっても、長期的な視野に立って住宅ローンを選びましょう。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:Stock-Asso/Shutterstock.com

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