学ぶ 2017.11.17 必見! 所得により受けられるかどうかが変わる控除や手当とは

2018年から、配偶者控除を受けられる年収が103万円から150万円に引き上げられる予定です。今まで、「103万円の壁」と呼ばれていた配偶者控除が変わることで、女性の働き方にも影響を与えるかもしれません。そこで、所得によって変わる控除や手当について、実際にどのように変わるのかを確認してみましょう。

103万円の壁、106万円の壁の意味

控除とは、「ある金額から一定の金額を差し引くこと」です。税金の計算をする際に、所得から差し引くことができるものを所得控除といいます。所得控除には他に扶養控除や医療費控除などがあります。控除の中には「103万円の壁」「106万円の壁」と呼ばれるものがあります。

103万円の壁」とは、配偶者控除を受けるための目安になる金額です。パートやアルバイトをされる方の中には収入103万円を意識する人もいますが、2018年からこの「103万円」は「150万円」に変更されます。

一方、「106万円の壁」は社会保険加入の年収の目安を差します。現行の「130万円」が、2016年10月から適用範囲が広がり、パートでも週20時間以上勤務、年収106万円以上などの条件を満たすと自ら社会保険に加入し、社会保険料の負担が発生することになりました。

配偶者の所得に応じて月に数万円の「扶養手当」や「家族手当」などの手当を支給している企業もあるため、控除の範囲内で働くにはパートでいくら収入を得てよいのかをあらかじめ確認しておく必要があります。

実際、控除はいくら受けられる?

それでは、今回の配偶者控除の制度改正で、夫は実際どのくらい控除を受けることができるのでしょうか。下記のように、夫の収入とパートで働く妻の収入により配偶者控除の額は異なります。

 夫の収入
~1,120~1,170~1,2201,220~
妻の
収入
単位
(万円)
配偶者控除~103382613
配偶者
特別控除
~150382613
~155362412
~160312111
~16726189
~17521147
~18316116
~1901184
~197642
~201321
201~

出典:財務省『平成29年度税制改正大綱』より

また、2017年現在は配偶者控除(配偶者特別控除)を受ける夫側には所得制限はありませんが、2018年以降は夫の給与収入が1,120万円を超えると控除額が少しずつ減っていき、1,220万円を超えると配偶者控除(配偶者特別控除)が受けられなくなります。

所得が高いと手当を受けられない制度

そのほか、子育てをしていると国や地方公共団体からさまざまな手当を受けられます。しかし、所得が高くなると、高等学校等就学支援金制度や児童手当などの公的制度を利用できなくなります。

・高等学校等就学支援金制度

高等学校に通う子どもがいる場合、高等学校等就学支援金制度の適用となり「就学支援金」が支給されますが、所得制限があります。

支給を受けられるかどうかは、市町村民税所得割額で判断されますが、世帯年収で910万円(家族の人数や年齢、医療費や生命保険等の控除額により異なる)以上が目安です。

これは、夫だけではなく妻の年収も含むので、妻の年収が増える場合には注意しましょう。

・児童手当

中学卒業までの児童を養育している場合に支給される「児童手当」にも、所得制限があります。

児童手当は子どもの年齢や人数によって1人あたり1万円または1万5,000円の手当が支給されますが、所得制限にかかると「特例給付」の5,000円しか支給されません。

こちらも制限にかかる年収は900万円前後(扶養親族の数により異なる)となります。ただし、収入合算ではなく、どちらか所得の多い方で判断されます。

控除や手当を知って働き方や暮らし方を考えよう

このように、国や地方自治体にはさまざまな控除や手当があります。内容を知らなければ手当を受けられなかったり、せっかく働いて収入が増えても、逆に手当を受けられなくなったりすることもあります。

まずは控除や手当にどのようなものがあるかを知り、自分の家族や家計にどう影響するかを確認した上で、働き方や暮らし方を考えてみてはいかがでしょうか。

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