学ぶ 2018.01.04 2018年働き方改革本格始動! ワークライフバランスを考えよう
2017年後半から、昔ながらの働き方を変える「働き方改革」を推進し、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)を実現しようという動きが加速しています。内閣府ではワークライフバランスに関するWebサイトを立ち上げ、厚生労働省では「平成29年版 労働経済の分析」(労働経済白書、*1)においてワークライフバランスの実現に向けた報告が行われているなど、官民一体となって取り組んでいる課題です。育児・介護休業法の充実や時短勤務、テレワークなどの導入によって、ワークライフバランスの浸透・定着を目指して取り組んでいる企業もありますが、どのような動きなのでしょうか。
ワークライフバランスとは
ワークライフバランスは生活(育児や介護、趣味や学習、休養、地域活動)を充実させることで、仕事を意欲的・効率的にこなし、仕事がうまくいくことで生活が潤って安定するなど、仕事と生活の相乗効果が出るように「仕事と生活の調和」を図ることを指します。
企業側も、社員が働きながら仕事以外の活動もできる環境を提供し、社会に貢献してもらうために、ワークライフバランスに取り組むようになっています。
ワークライフバランス実現のための支援
仕事を減らすことで収入も同時に減ってしまえば悩む人もいることでしょう。そこで政府は以下の3つのような形で自由な選択ができるよう支援しています。
・育児・介護休業法
子育てや介護と仕事を両立するために、知っておきたいのは「育児・介護休業法」です。2017年1月と3月に改正され、2017年10月1日に施行されました。育児休暇、介護休暇ともに条件が緩和されています。主な内容は下記の通りです。
育児休暇では、子どもが1歳6カ月に達する日までの間に雇用契約がなくなることが明らかでない場合、育児休業を子どもが最長2歳に達するまで取得可能、看護休暇は半日単位で取得可能、特別養子縁組の子ども・養子縁組里親に委託されている子どもも対象になるなど、条件があります。
介護休暇では 休業の分割取得(上限3回)、半日単位で取得することができる、介護のための所定外労働の制限(残業の免除)などの条件があります。
・教育訓練給付制度
教育訓練給付制度は、雇用保険の給付制度の1つで雇用の安定と再就職の促進を目的としている制度です。さまざまな講座が対象ですが、厚生労働省のWebサイトから調べることができます。
(1)一般教育訓練給付金
仕事に復帰する際にはついていけるかどうか不安になりがちです。そこで、「一般教育訓練給付金」を申請し、費用的な負担を抑えてスキルアップすることもできます。
<受給期間>
雇用保険に3年以上加入(はじめての利用の場合は1年以上)していることが条件になるほか、会社を退職し、雇用保険の被保険者ではなくなって1年以内であれば受給可能な制度です。妊娠、出産、病気、疾病などの理由で教育を受けられなかった場合は所定の手続きを取ることで4年以内に受けられます。
厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了した場合に、教育訓練経費の20%の受給が可能になります(上限を10万円までとし、4,000円未満は支給されない)
(2)専門実践教育訓練給付金
専門実践教育訓練給付金は中長期的なキャリア形成の支援が目的とされています。平成30年1月1日から支給対象者の要件、支給率、上限額、失業中の人のための「教育訓練給付金」の支給額が変更になります。主な変更点は下記のとおりです。
平成29年12月31日まで | 平成30年1月1日以降 | |
雇用保険被保険者の加入要件 | 雇用保険へ加入して10年以上(初めての利用は2年以上) | 雇用保険へ加入して3年以上(初めての利用は2年以上) |
過去雇用保険の保険者の加入要件 | 雇用保険へ加入して10年以上(初めての利用は2年以上) | 雇用保険へ加入して3年以上(初めての利用は2年以上) |
平成26年10月1日以降教育訓練給付金を需給している場合の受給要件 | 受給日から10年以上経過していること | 受給日から3年以上経過していること |
適用対象期間 | 最大4年までしか延長できない | 最大20年までの延長が可能 |
支給率 | 教育訓練経費の40% | 教育訓練経費の50% |
支給率(資格取得した場合) | 教育訓練経費の20%(上記と合算で計60%) | 教育訓練経費の20%(上記と合算で計70%) |
上限額(年間) | 32万円 | 40万円 |
上限額(年間)資格取得した場合 | 48万円 | 56万円 |
失業中の教育訓練給付金の支給額 | 基本手当日額の50% | 基本手当日額の80% |
(厚生労働省HP参照のもと作成)
セルフ・キャリアドック制度
セルフ・キャリアドック制度とは、社員のキャリア形成を支援するため、キャリアコンサルティングを定期的に受けることができる制度です。
自分のキャリア・プランを考え、仕事への工夫や能力開発への意欲を高めることができます。育児休業や介護休業中の場合は、キャリアコンサルティングによって円滑な職場復帰も可能でしょう。
セルフ・キャリアドック制度は厚生労働省が管轄する「人材開発支援助成金」の支給対象のため、就業規則に規定するなどの要件を満たすと、企業は助成金を受けることができます。セルフ・キャリアドック制度を受けたい場合は、就業規則を確認することで、所属している企業が同制度を導入しているかどうかを把握できます。
これらは政府による支援ですが、ワークライフバランスは、企業それぞれの状況に合わせた取り組みが必要となります。このことから、内閣府はワークライフバランスに取り組み、成果を上げている企業の中から優れた取り組みに対して大臣名による認定書(「カエルの星」)を交付しています。さらに事例を公開することで、企業が自社にあった取り組みを実施できるようにしています。
自分らしい生き方を実現するワークライフバランス
ワークライフバランスを見直すことで、メンタルヘルス不調の防止や自己啓発として資格取得、心身のリフレッシュなどが可能になります。目の前の仕事に追われ、プライベートの時間が取れなくなってしまっては、いい仕事ができないどころか自分自身をも見失いかねません。
自分らしい生き方が、自分にとっても仕事(社会)にとっても、いい結果をもたらすのではないでしょうか。まずは、会社の支援制度などを調べてみるなど、自分ができる取り組みをはじめてみてはいかがでしょう。
(*1)平成29年版 労働経済の分析
TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA
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