学ぶ 2018.01.12 49%の人が知らない? 2018年4月から本格的に始まる雇用の「無期転換ルール」
2018年4月より本格的に無期転換ルールが開始されます。今まではあまり騒がれていなかったこのルール。対象となるのは、パートタイマーやアルバイト、契約社員など、有期労働契約を結んで働いている人です。どのような点に気をつければよいのでしょうか。仕組みとともに見ていきましょう。
無期転換ルールとは
無期転換ルールとは、パートタイマーやアルバイト、契約社員など、有期労働契約を結んで働いている人の雇用契約が「5年」を超えて反復更新された場合、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換される制度です。
厚生労働省の調査によると、有期社員(契約期間のある社員のこと)の約3割が、通算5年を超えて有期労働契約を反復更新されているといいます。長く働くことで貴重な戦力として定着している会社もあるのではないでしょうか。
例
1年更新の契約期間の場合は、5回目の更新後に1年間の間に無期転換への申込権が発生。
3年更新の契約期間の場合は、1回目の更新後の3年間の間に無期転換への申込権が発生。
■無期転換ルールの図
「無期転換ルール」に関する6つの疑問
企業の担当者の約49%が「改正されたことは知っているが内容はわからない」もしくは、「知らない、わからない」と答えた無期転換ルールは2018年に話題になることが増えそうです。そこで、6つの疑問について考えてみましょう。(参考:厚生労働省 無期転換Q&A)
・ 質問1 雇用契約が5年を超えている社員は自動的に無期転換されますか
自動的には転換されないため、企業側への申し込みが必要です。「改正労働契約法」が施行された2013年4月以降から発生した有期雇用契約により、5年以上働いている人が対象です。
例えば、2014年4月に3年間の契約で働き始め、2017年4月に再び3年間の契約更新している人の場合で考えてみます。2018年4月時点ではまだ4年目ですが、通算契約期間自体は6年になるため、無期転換権が発生します。
・質問2 契約期間の途中で部署異動や拠点間異動がありましたが、対象になりますか
ポイントは同一の企業から5年以上雇われているかという点です。そのため、異動や転勤があっても対象になります。
・質問3 パートタイマーで働いていたものの、途中で出産・育児のため一時退職し、再び復帰した場合はどう換算されますか
通算の勤続年数で適用するかどうかは、ケースバイケースになります。
・質問4 無期契約社員は正社員になりますか
正社員になるのかどうかは企業の判断になります。今までと同様の処遇にして、契約期間だけ定めのない無期契約とすることもできます。また、無期雇用といっても、定年を設けることは可能です。こうした動きを見据えて、パート社員や契約社員を(勤務地限定)正社員化している会社もあります。
・質問5 労働者側からの無期転換の申し出を断ることはできますか
無期転換権は絶対的なもので、事業主が拒否することはできません。就業規則や雇用契約書に「無期転換権は発生しない」などと記載していても無期転換権は発生します。また、労働者側はいつでも無期転換の申し出をすることが可能です。
・質問6 無期転換への申し入れは口頭でもよいでしょうか
無期転換の申し入れは、口頭でも可能です。ただし、企業と言った言わないのトラブルを防ぐためにも、書面で準備した方がいいでしょう。
ライフプランに基づいて働き方を考えよう
有期雇用から無期雇用に転換されることで、先々の収入や働き方の見通しが立てやすく、夫婦のライフプランや家計管理もしやすくなります。一方、働き方や給与などの条件が変更されるケースもあるので、さまざまな働き方にあったプランを見つけることが大切です。
テレワークや副業など、2018年からは今まで以上に働き方改革も進められます。自分たちにとってどのような働き方や生き方、生活が良いのかを検討してみてはいかがでしょうか。
TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA
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