学ぶ 2018.01.24 NISAが使えなくなる? 今更聞けないマイナンバー

金融機関にマイナンバーの提示をしていなければ、2018年のNISA(ニーサ)枠が使えないことをご存じでしょうか。マイナンバーは2015年10月以降に通知カード(以下、通知カード)が交付され、2016年1月から導入が始まりました。実際に年末調整や確定申告で会社に提出したり、行政の場や金融機関などで提出を求められる場面も増えています。そこで、マイナンバーについて確認しておきましょう。

■思い出そう!マイナンバーとは?

マイナンバーはマイナンバー法(行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)により、「行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤」を目的として導入されました。

2016年1月から、社会保障や税金、災害対策の行政手続きで実際にマイナンバーの利用が進んでいます。ちなみに、マイナンバーには「写真付きマイナンバーカード」(以下、マイナンバーカード)もありますが、その交付率は2017年8月時点で9.6%とまだまだ浸透していません。

実際には下記の場面でマイナンバーが利用されています。

【マイナンバーの主な提出先】
(主な例を記載)
 目的記載書類提出先時期
税関係年末調整扶養控除等申告書勤務先おおむね毎年11~12月
確定申告所得税の確定申告書税務署毎年2/16~3/15
届出個人事業の開業届
青色申告承認申請書 ほか
税務署各届出書の提出期限(開業届は開業後1カ月以内)
社会保障雇用保険加入勤務先原則入社時
失業給付離職票-1ハローワーク退職後
自治体の手当・給付金児童手当認定請求書 ほか住所地の役所・役場各申請書の提出時期
金融 口座開設開設の申込書
(金融機関ごとに異なる)
金融機関口座開設時
NISA口座開設
NISA口座継続2017年9月まで

※書類に記載はせず、マイナンバーカードの写し、もしくは通知カードの写し+本人確認書類を提出

マイナンバーは11月頃から翌年3月にかけて年末調整・確定申告などで提示が必要になります。また、官公庁への届出、勤務先の入退社時期、金融機関での口座開設時も該当します。

■マイナンバーは2種類ある

マイナンバーにはマイナンバーカードと通知カードの2種類あります。2016年(平成28年)から、希望すればマイナンバーカードを利用できるようになりました。それぞれの違いは下記のとおりです。

 マイナンバーカード通知カード
記載されるものマイナンバー
氏名
住所
生年月日
性別
顔写真
マイナンバー
氏名
住所
生年月日
性別
本人確認
身分証明
利用可能番号を通知するのみで、金融機関などでは単独では本人確認に使えない
交付時期2016年1月から希望者に発行2015年10月から日本国内に住民票のある人全員に発行

■マイナンバーの疑問を解決!

マイナンバーは知っているようで知らないこと・疑問があるのではないでしょうか。どのような点があるのか、確認してみましょう。

【疑問1】マイナンバーを紛失してしまったら?

マイナンバーカードや通知カードを紛失し、個人情報が流出すれば悪用される可能性もあります。たとえば、下記のような例があげられます。

  • 住民票を発行される
  • 銀行口座を開設され、悪用される
  • クレジットカードを作られ、使われる

万一紛失してしまったら下記に電話などで連絡して、マイナンバーの利用停止をしてください。

個⼈番号カードコールセンター 0570-783-578
マイナンバー総合フリーダイヤル 0120-95-0178

マイナンバーの利用停止の手続きは24時間年中無休で対応しています。利用停止をし、警察にも届出をしたうえで、お住まいの市区町村で再発行の手続きを行います。また、マイナンバーの再発行には手数料がかかります。

◎マイナンバー再交付時に準備するもの

  • 本人確認書類(運転免許証・健康保険証・パスポート など)
  • 印鑑(届出書に押印)
  • 紛失を証明する証拠(警察に届け出た際の受理番号)

◎マイナンバーの再発行手数料

通知カード500円
マイナンバーカード公的個人認証を搭載しない場合800円
公的個人認証を搭載する場合1,000円

マイナンバーを紛失してしまったら、焦らずに対応することが大切です。

【疑問2】引っ越しする時マイナンバーはどうしたらいいの?

マイナンバーカードもしくは通知カードには住所も記載されます。そのため、引っ越しをするときには、マイナンバーの住所も変更しなければなりません。引っ越し先の市区町村の役所・役場に転入届(同一の市区町村であれば転居届)を提出したら、マイナンバーカードの場合は表面、通知カードは裏面に新しい住所が記載されます。

【疑問3】2017年9月30日までにマイナンバーを提出していなかったら2018年以降NISA口座が使えなくなってる?

NISAは、年間120万円(2014年開始当初は100万円)までは売却益や配当金・分配金等にかかる税金が非課税になります。2016年以降、NISA口座を開設する場合はマイナンバーの届出が必須になりました。

そのため、2014年から2015年の間にNISA口座を開設していた人は2017年9月30日までに金融機関にマイナンバーの届出をしなければなりませんでした。期日までにマイナンバーの届出が完了していれば2018年のNISA枠が使えます。

マイナンバーの届出を忘れていた場合は、2018年のNISA枠は使えなくなっているので、ご自身のNISA口座が使えるかどうか確認をしておきましょう。

◎マイナンバーを提出し忘れた場合はどうすればいいの?

うっかりマイナンバーを金融機関に提出し忘れた人は下記の提出書類を揃えてNISA口座の再開設の手続きをしましょう。

◎NISA口座再開設時に必要な書類

  • マイナンバーカード、もしくは通知カード
  • 本人確認書類
  • 非課税適用確認書の交付申請書

※登録状況や、金融機関によっては上記以外にも手続きが必要になる

NISAの再開設の手続きをしてから実際に2018年のNISA枠を使えるようになるまでの日数は手続き状況によって異なります。NISA口座の再開設の手続きは早めに行いましょう。

なお、マイナンバーを提出していなかった場合でも、2017年までにNISA口座で買付を行った商品の非課税枠がなくなるわけではありません。非課税期間内であれば売却益や配当金、分配金の税金は非課税になります。

【疑問4】マイナポータルって何?

マイナンバーカードを利用すれば、マイナポータルというオンラインサービスを利用して行政手続きを行えます。マイナポータルはマイナンバーに紐づく個人情報の照会、子育てなどの手続き、行政からのお知らせが自動的に届く政府が運営するオンラインサービスのことです。

現在はオンライン上で確定申告ができるe-Taxとの連携、LINEアプリとの連携などを経て、本格的な運用が始まっています。これによって、児童手当の申請、公営住宅や保育園の申し込み時に、住民票や課税証明書などの添付が不要になる手続きが行えます。

◎マイナポータルで参照できる情報例(※2017年7月時点)

  • 住民税における所得状況年末調整、確定申告、住民税申告のいずれかの結果をベースにしたもの
  • 社会保障における代表的な参照情報(雇用保険の被保険者番号・加入履歴、健康保険に関する保険証番号などの情報)
  • その他、住民票に記載された世帯情報

マイナポータルでの行政手続きの利用は準備の整った自治体(2014年4月時点で全国に1,718ある市区町村のうち150程度)に限定されています。自分の住む自治体が行政手続きに対応しているかどうかは、マイナポータルのサイトで確認しましょう。

【疑問5】自治体ポイント制度って何?

2017年9月25日から、マイナンバーを利用して、自治体のサービスをお得に利用できる自治体ポイント制度が開始されました。これは地域ボランティア活動を行うことなどを条件に、自治体から地域の商店街で使えるポイントがマイナンバーカードに付与されるものです。マイナンバーカードの申請がある人のみ利用できます。

■マイナンバーは⼤切に使おう

マイナンバーでは世帯情報・所得情報や職歴(雇用保険加入履歴)など大変重要な個人情報を管理しています。NISA口座のようにマイナンバーを提出しないことで継続できなくなるものもありますが、紛失により個人情報が流出し、悪用されると大変なことになります。

そのため、普段は厳重保管し、必要な場面で提示できるようにしておくことが大切です。また、マイナンバー制度は導入されたばかりの制度で今後も制度改正が行われたり、利用できる幅が増える可能性もあります。こまめに最新の情報を確認しておきましょう。

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