学ぶ 2018.02.13 はじめての確定申告Vol.1「源泉徴収票の見方」、知ってる?

いよいよ確定申告のシーズンが近づいてきます。しかし、会社から源泉徴収票をもらったときに、自分で判断がつかない場合も多いかもしれません。基本的にサラリーマンの場合は確定申告の必要はありませんが、住宅ローンやふるさと納税などをしている人は、確定申告をした方がお得になる場合があります。そこで今回は、源泉徴収票の見方と確定申告との関係について解説していきます。

■確定申告の仕組みとは

「確定申告」とは、1月1日から12月31日までの個人の所得について、原則として翌年2月16日から3月15日までの間に税務署に申告して所得税を納める手続きのことを言います。

確定申告では、給与所得、不動産所得、事業所得など合計10種類の所得があるため、所得の種類の分別が必要です。それらの所得を集計したら、配偶者控除、扶養控除、医療費控除、社会保険料控除などの「所得控除」を差し引いたものに税率を掛けて税額を計算します。

また、該当する人は上記の税額からさらに住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)や配当控除などの「税額控除」を差し引くことが可能です。給与以外に収入がなく、会社で年末調整をしてもらった人は、基本的には自分で確定申告を行う必要はありません。

しかし、下記の場合は確定申告を行うことにより所得税が還付となる可能性があります。

  • 住宅ローン控除を初めて受ける場合
  • 医療費控除が発生する場合
  • 年末調整時に控除されていない生命保険料などがある場合

■源泉徴収票の見方

源泉徴収票の見方を覚えておくと、自分が1年間にいくら税金を払ったかなどの情報が分かります。確定申告の際には源泉徴収票に従って申告書の記入をするため、必ず源泉徴収票を確認しましょう。

確定申告する必要がない人でも、年末調整に漏れがないか確認したり、後述するiDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)などで節税方法を検討する際に役立つので、源泉徴収票の基本的な記載事項は把握しておくといいでしょう。

平成29年分 給与所得の源泉徴収票見本(国税庁サイトより引用)

源泉徴収票を見るポイントを整理しましょう。まずは1段目の記載内容を確認しましょう。

平成29年分 給与所得の源泉徴収票見本

① 支払金額
1年間に受け取った給与の額面です。「年収」に相当します。

② 給与所得控除後の金額
給与所得を引いた金額です。適用されるのは会社員だけで、スーツ購入等の経費を差し引いた金額です。

③ 所得控除の額の合計額
給与所得から引くことのできる金額の合計です。

④ 源泉徴収税額
1年間に支払った所得税の額です。これは「給与天引き」の額をいいます。

次に2段目です。

平成29年分 給与所得の源泉徴収票見本

⑤ 社会保険料等の金額
1年間に支払った健康保険料、厚生年金保険料などの合計額が確認できます。

⑥ 生命保険料の控除額
生命保険料の控除額が確認できます。

⑦ 地震保険料の控除額
地震保険料があれば、控除額の確認ができます。

⑧ 住宅借入金等特別控除の額
簡単にいえば、住宅ローン控除のことをいいます。

なお、実際に生命保険料の支払や住宅ローンの残高がある場合は「会社へ申告した金額があっているか」をしっかりと確認しておきましょう。上記のように「生命保険料の控除額」、「地震保険料の控除額」、「住宅借入金等特別控除の額」などが空欄になっている場合は処理出来ていない可能性があります。

うっかり見過ごしてしまうと、確定申告で還付となる金額が戻ってきません。そのため、確定申告の有無にかかわらず源泉徴収票は必ずチェックするようにしてください。

■実際に所得税を計算してみよう

それでは、すでに年末調整を終えているAさん(年収420万円、独身)が、iDeCoと医療費控除に関連する確定申告を行うことで、「いくら税金が還付されるのか」をシミュレーションしてみます。

・給与所得

まず、給与所得の金額は収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出されます。

給与所得控除は収入360万円超660万円以下の場合、「収入金額×20%+54万円」の算式となります。そのため、Aさんの場合は以下の通りになります。

給与所得控除額=138万円(420万円×20%+54万円)

さらに給与所得を計算すると以下の通りになります。

282万円(420万円-138万円)

すべての人が控除できる基礎控除38万円を差し引いた所得は244万円となり、所得が195万円超330万円以下の所得税率10%が適用されます。(復興特別所得税については割愛)適用される税率が分かったところで、iDeCoと医療費控除の影響額をそれぞれ算定してみます。

・iDeCoが年末調整で控除されていない場合

最初に、掛け金を所得控除できるiDeCoが年末調整で控除されていない場合を考えてみましょう。

例えば、年間の掛け金が24万円であった場合、その額がすべて所得から控除されます。そのため、Aさんの場合は以下の通りになります。

2万4,000円(24万円×所得税率10%)が確定申告で還付されます。また、翌年の住民税も2万4,000円(24万円×住民税率一律10%)安くなります。

なお、iDeCoが年末調整で控除されている場合は、源泉徴収票の「⑤ 社会保険料等の金額」の欄に内書きで掛け金の合計額が表示されるので、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。

・医療費控除がある場合

次に、医療費控除の特例を考えてみましょう。医療費控除は年間10万円を超える医療費を所得から控除できるものです。

例えば、年間の医療費が18万円であった場合、8万円(18万円-10万円)を所得から控除できるため、Aさんの場合は8,000円(8万円×所得税率10%)が確定申告で還付されることになります。また、翌年の住民税も8,000円(8万円×住民税率一律10%)安くなります。

なお、2018年の確定申告からは医療費控除の特例としてセルフメディケーション税制も選択することが可能です。ドラッグストアなどでスイッチOTC医薬品を年間1万2,000円以上(限度8万8,000円)購入した場合、所得から控除できるお得な制度といえます。

■源泉徴収票をしっかり把握!お得に確定申告をしよう

以上のように、確定申告に必要な情報の多くが源泉徴収票から読み取れます。源泉徴収票がしっかり把握できないと確定申告の書面が書けないばかりでなく、控除漏れに気がつかない場合もあるのです。そのほかにも、源泉徴収票からは自分の所得や社会保険料、所得税も分かったりします。自身の振り返りのためにも使ってみましょう。

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