学ぶ 2018.03.30 知ってた? 住民税の「100万円の壁」

103万円の壁、106万円の壁、150万円の壁など、税金や社会保険料を負担しない範囲で働く場合には、さまざまな壁がありますが、あまり知られていないのが住民税の「100万円の壁」です。つい見逃しがちな「100万円の壁」について考えてみましょう。

■「所得税」と「住民税」の違いとは

税金は国税と地方税に分かれます。私たちに身近な税金である所得税は国税、住民税は地方税に該当します。

所得税と住民税には、納める先が違うだけでなく、さまざまな違いがあります。住民税には都道府県民税と市町村民税があり、その年の1月1日時点で住民票がある自治体に納めることになっています。

【所得税と住民税の違い】
 所得税住民税
内容その年の1月1日~12月31日の個人所得に課税される前年の1月1日~12月31日の個人所得に対して課税される「所得割」と、一律負担の「均等割」から成り立つ
税率所得が高くなれば税率も高くなる累進課税。税率は5%から45%所得割は基本的には10%(「市町村民税」6%、「都道府県民税」4%)。
均等割は自治体間で金額が異なる
税金のかからない範囲(給与所得のみの場合)給与-(給与所得控除65万円+基礎控除38万円)で求める。給与が103万円以内ならかからない給与-(給与所得控除65万円+住民税所得割の課税基準額35万円(※1))で求める。給与が100万円以内ならかからない

(練馬区Webサイト参照)
※1:自治体により異なる

■所得税のおさらい

所得税は、さまざまな「所得」に対してかかる税金です。事業を行っている人は事業所得、サラリーマンなら給与所得、その他に不動産所得、退職所得、利子所得など、所得の種類は10種類もあります。

所得は収入からその収入を得るためにかかった必要経費を差し引いて計算します。サラリーマンの場合は、必要経費の代わりに「給与所得控除」を差し引いて算出します。なお、「給与所得控除」は給与収入によって異なるので、給与が多くなればなるほど、「給与所得控除」も増えますが、最低でも65万円の控除が受けられることになっています。

また、実際に税金がかかる「課税所得」を算出する際は、さらにさまざまな控除を差し引くことができます。代表的なものが、誰でも一律に控除が受けられる基礎控除や、一定の所得以下の配偶者がいる場合に受けられる配偶者控除、生命保険料控除、医療費控除などです。

■具体的なケースで妻の住民税を考えてみよう

2018年1月から夫が配偶者控除を受けられる年収の目安が103万円から150万円に変更になりました。しかし、妻自身が負担する所得税の目安は変わらず、103万円を超えて働く場合には、妻自身に所得税が発生します。

具体的に、夫が35歳サラリーマン、妻が30歳のパートで働いている場合のケースで、妻の年収により、手取り収入にどう影響が出るかを見てみましょう。

・100万円で働いた場合

まず、妻が住民税のかからない100万円で働いた場合です。この場合、所得税も住民税も発生しません。また、配偶者控除の範囲内ですので夫側にも影響はありません。

・101万円で働いた場合

妻の年収が101万円の場合、所得税はかかりませんが、住民税が発生します。しかし、税額が1万円を超えることはありませんので手取りは100万円を超えますし、夫側への影響もありません。

■住民税にも意識を

税金面では、2018年1月から配偶者控除の変更により、新たにできた「150万円の壁」が注目を浴びています。また、2016年10月から社会保険の適用範囲が広がり、自ら社会保険料を支払わなければならない年収の目安「130万円の壁」が、勤務先や働き方によっては「106万円の壁」になっています。

このようにさまざまな「壁」があるため、住民税のことはつい忘れがちですが、住民税が100万円という金額から発生することや、翌年から支払うことなどは覚えておいた方が良いでしょう。

また、企業によっては、配偶者の所得が少ない場合、月に数万円の「扶養手当」や「家族手当」などを支給しているところもあります。その場合、手当が支給される金額をギリギリで超えてしまったような場合は手当が無くなった分、逆に損をしてしまうことがあります。

パートで働く場合は、パートナーの手取りにどう影響するかも意識して、どこまで働けばメリットがあるのか、世帯全体の手取りを増やすにはどうすればよいかを考えて働くようにしましょう。

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