学ぶ 2018.04.02 お金のプロ3人に聞いた! 証券会社の選び方

株式投資を始めたいけれど、どの証券会社で口座を開いたらいいのか迷う人は多いのではないでしょうか。多くの証券会社から、自分に合ったところを選ぶためのポイントは?

公認会計士の伊藤英佑さん、ファイナンシャルプランナーの菱田雅生さん、税理士の髙橋創さんのお金のプロである3人に、証券会社を選ぶ基準やオススメを聞きました。

■初心者にとってはどこも大差がない!?

話を伺ったところ、驚きの回答が。なんと「初心者であれば、どの証券会社で口座を開設しても、大きな差はない」と3人とも口をそろえて言います。

伊藤英佑さん

たとえば、伊藤さんの意見では、初心者の段階では各社の違いが大きく影響しないとのこと。

「利便性やサービスの内容など、株式投資を実践していくうちに各社のメリット・デメリットが判明すると思います。しかし、初心者に限って言えば、もっともわかりやすいのは、手数料ではないでしょうか。そして、ネット証券は軒並み手数料が安くなってきているので、どこを選んでもあまり差はないと思います」

また、菱田さんはネット証券の普及により、事情が変わってきたことを指摘します。

「ここまでネット証券が普及する以前は、情報収集という点で証券会社ごとに特徴がありましたが、今はその証券会社でないと得られない情報はかなり少なくなっています」

さらに、特にネット証券はどこを選んでも大きな違いは見られないと髙橋さん。

「選択肢が多いだけに迷うかもしれませんが、ネットを主戦場としている証券会社は、どこを選んでも大差はないでしょう。仕事柄、お客さんから投資について話を聞く機会が多いのですが、証券会社を選んだ理由が、企業トップの認知度だったり、人気度だったりしますからね(笑)」

■お金のプロたちはなぜその証券会社を選んだのか?

どこを選んでも差がないとはいえ、実際に口座を開く会社を選ぶ際には、何らかのきっかけがあったはず。3人はどのような基準で選んだのでしょうか?

「最初に口座を開いたのは、野村証券です。今ほどネット証券が浸透しておらず、まだ総合証券が一般的な時代でした。野村証券といえば最大手の証券会社ですが、選んだ理由は会社の規模ではありません。家の近くに支店があったから、という利便性だけです。銀行に口座を開くのと変わらない理由ですね。

現在は、ネット証券のSBIや楽天、マネックス、GMOクリック、松井証券などにも口座を持っています。利用していたツールが無料から有料になり、無料で利用できるところに変えていったら増えてしまった感じです(笑)」(伊藤さん)

髙橋創さん

「私が利用しているのはマネックスのみです。使い勝手にストレスはなく特に不満もありませんが、別の証券会社を選択しても同じだったかもしれません。なんとなくの会社のイメージで、好き嫌いを選択理由のひとつにしていましたね。今は気軽にネット証券を利用していますが、もし今後将来を見据えて大きな金額を投資して手堅く儲けるなら、大手の総合証券に口座を開設して、株式投資のプロに相談すると思います」(髙橋さん)

「野村、SBI、楽天で口座を開いていますが、メインで利用しているのは野村証券です。最大手なので、昔から「*るいとう(株式累積投資)」で利用できる銘柄数が多いのと、主幹事となっている企業数が多いので、IPO株(新規公開株)の当選率が高い傾向にあるという理由もあります。ただ、初心者が最初から IPOの充実を基準に証券会社を選ぶことは少ないですね」(菱田さん)

*毎月、定額で株式を購入する投資方式

口座を開設する証券会社を選んだ理由はそれぞれですが、IPO株に興味がある人や、将来を見据えて着実に資産運用をしたいという人は、アフターサービスが充実している大手の証券会社を選んでみるのもよいかもしれません。

■初心者へのオススメは手軽なネット証券

聞けば聞くほど、どの証券会社を選べばいいのか迷ってしまいそうですが、お三方いわく「初心者にはネット証券がオススメ」とのこと。

「ネット証券のメリットは、なんといっても手軽さ。窓口に出向いて手続きをするのは面倒だし、自分がお客さんにもかかわらず、なんとなく構えてしまいますね。気楽に始めるなら、ネット証券でしょう」(髙橋さん)

菱田雅生さん

「ネット証券は手数料をより安くできるよう競い合っているし、大手の総合証券と違って積極的な営業がありません。今の時代、情報はいくらでもインターネットで得ることができるので、人とのやり取りが面倒な人はネット証券から気軽に始めてみるのがいいと思います」(菱田さん)

「初めて口座を開くなら手数料の最安値を競い合っているSBIか楽天がオススメです。あえてどちらかというのなら、ネット証券のなかでも圧倒的に口座数が多いSBIでしょうか。それだけ利用している人が多いということは、万人に使いやすいということなのだと思います」(伊藤さん)

初心者にとっては、各社のサービスの違いよりも1回の取引で発生する手数料が気になるかもしれません。手数料はネット証券のほうが安価のため、まずはネット証券で投資を始めてみてはいかがでしょうか。

■口座開設自体は無料 実際に開設して複数の会社を比較!

そして、これまた皆さんがポイントとして挙げていたのが、「複数の口座を比較してみる」こと。

「口座を開くのは簡単で、無料で行えます。開設したからといって売買する必要もありません。利用する証券会社が絞れない場合は、複数の会社で口座を開設して使いやすさを試してみることをオススメします」(髙橋さん)

「一つの証券会社に限定する必要はありません。口座を開いた上で、いろいろ比較して、実際に売買する口座を決めるのも手だと思います」(菱田さん)

「例えば、ネットショッピングでもAmazonのほうが見やすいという人もいれば、楽天のほうが使いやすいという人もいるように、証券会社のサイトも画面の見やすさや、ツールの使いやすさは人によって違うはず。投資を行っているうちに、よく利用するツールも絞られてくると思うので、使いやすさや利用料金などを比べながら、その都度よりよい条件の証券会社を選んでいけばいいのではないでしょうか」(伊藤さん)

投資を始める前にあれこれと迷うよりも、実際に使うほうが比較しやすいはず。口座開設自体は無料で行えるとのことなので、迷ったら開設してしまうのがよいでしょう。

■入り口のハードルは高くない!まずはやってみよう!!

「皆さんが思っているほど、証券会社の入り口のハードルは高くない。だから、最初はサービス内容など気にせず、知り合いが使っているとか、ネットサーフィンをしていたら目についたとか、それこそ好き嫌いで口座を開いてしまえばいいと思います。まずはどこでもいいので、口座を開いてみることをオススメします」(髙橋さん)

「証券会社の口座開設は無料で、数千円から売買できる株もあります。とにかく、いろいろと試すことが大切です。最初こそ迷ってしまう証券会社選びですが、実際にやってみて好奇心が生まれれば、必要なツールなども明確になっていきます。そうなれば、ピンポイントの条件で自分に見合った証券会社選びができるようになるはずです」(伊藤さん)

初心者はシンプルに、手数料の安さだけで選んでみるのも手だという、お金のプロたちの言葉はとても意外でした。投資を始めるのに、難しく考えすぎないほうがよいのかもしれません。いつまでも証券会社の選択で迷っているのは時間のムダ。さっそく目についた証券会社の門を叩いてみましょう。

取材協力:伊藤英佑

公認会計士、税理士。伊藤会計事務所代表。資産管理・アドバイスはもちろん、スタートアップ・ベンチャー企業の支援も行っている

取材協力:髙橋創

税理士。高橋創税理士事務所代表。新宿ゴールデン街にあるBar「無銘喫茶」のオーナー。確定申告時期になるとBarで「確定申告酒場」を開き、気軽にお客さんの相談にのっている

取材協力:菱田雅生

ファイナンシャルプランナー(CFP)。大手証券会社を経て、独立系FP会社・ライフアセットコンサルティング(株)設立。企業研修や講演会、雑誌・書籍の執筆など、幅広く活動。近著に「お金を貯めていくときに大切なことがズバリわかる本」(すばる舎)がある。

TEXT:塚本佳子
EDITING:マネチエ編集部+ノオト

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