学ぶ 2018.06.14 養育費なしのシングルマザーが知っておきたい補助金

厚生労働省によると、何らかの事情でシングルマザーになる人が増えていると言われています(*1)。子どもを1人で育てていくのは容易なことではありません。子どもが小さければ時短勤務をする一方で収入が減るといった可能性もあり、公的保障や補助金は強い味方だと言えます。そこでシングルマザー向けの制度について考えてみましょう。

■シングルマザーの家計の実態

厚生労働省の調査によると、シングルマザーの家計は全国で120万世帯以上あり、その家計は厳しいことが多いと言えます。

離婚や死別などシングルマザーになる理由は様々ですが、その約8割を占める離婚において養育費をもらえる家庭ばかりではありません。養育費の取り決めをしているのは半数に満たないうえ、経済状況が悪化したり連絡が取れなくなったりして養育費の支払いが止まることもあり、実際に養育費を受け取っているのは4軒に1軒程度です。

またシングルマザーの収入は全体的に低く、全世帯の平均所得金額が約546万円なのに対しシングルマザー世帯は約270万円とほぼ半分です(厚生労働省レポート)。1人で家計を支えていくシングルマザーは特にもらうことができる補助金などについて知っておくべきだと言えるのです。

■シングルマザーへの経済的な支援

◎児童扶養手当

児童扶養手当とはシングルマザーのようなひとり親家庭の児童のために支給される手当です。似たような名称でまぎらわしいですが児童手当とは別のもので、所得制限はありますが児童手当と合わせてもらうこともできます。

児童扶養手当の額
(平成30年4月~※)
対象児童全額支給一部支給親自身だけでなく同居する親族などの所得によって支給額が変わります。養育費も8割相当を所得に含めます。
1人目月額:4万2,500円1万30円〜4万2,490円
2人目月額:1万40円5,020円〜1万30円
3人目月額:6,020円3,010円〜6,010円

出典:名古屋市HP
※物価スライド制のため金額は毎年多少変化します。

◎ひとり親家庭等医療費助成制度

ひとり親家庭などに対する医療費を公費で助成し費用負担を少なくする制度があります。子どもが医者にかかった場合の医療費助成についてご存知の方は多いと思いますが、ひとり親家庭等医療費助成制度では、子どもを養育する親にかかった医療費も助成されます。支給条件や支給額などの詳細については、自治体により異なりますのでそれぞれご確認ください。(参考:茨城県HP

◎母子父子寡婦福祉資金の貸し付け

子どもの進学時にかかる入学金や授業料に充てる費用を無利子で借りることができます。利子のかかる教育ローンや奨学金より返済の負担は少ないと言えるでしょう。住宅資金や生活資金も借りることができますが、連帯保証人なしの場合は利子がつきますし、無利子の場合でも返済する借金であるということを忘れないようにしてください。(参考:内閣府男女共同参画局

◎就業支援

収入を増やす努力も必要でしょう。就職に有利にはたらく資格を取得したり、スキルを身に付けるために教育訓練講座を受けたりすることを後押しする給付金もあります。

◎自立支援教育訓練給付金

雇用保険での教育訓練給付金を受ける資格のない場合でも、シングルマザーなどひとり親の自立を促すため給付金が受けられます。対象となる講座を受講し修了した場合に、その費用の一部(受講料の6割相当額)が支給されます。(参考:厚生労働省HP

◎高等職業訓練促進給付金等

就職に有利な資格を取るため養成機関などで1年以上学ぶ場合、生活の負担を減らすための高等職業訓練促進給付金や、入学の負担を減らすための高等職業訓練修了支援給付金を受けることができます。

 高等職業訓練促進給付金高等職業訓練修了支援給付金
支給額市町村民税非課税世帯月額:10万円5万円
市町村民税課税世帯月額:7万500円2万5,000円
支給期間修業期間の全期間(上限3年)修了後に支給

 

これらの対象となる講座は自治体によって異なるので、受ける前に確認しておきましょう。

■困ったときは専門窓口に相談を

シングルマザーの場合、お金の面だけでなく人手や時間についても大きな負担がかかってきます。周囲の人や公的な制度の助けも受けながら、自立した生活を送れるようにしていきましょう。助成金をはじめとした各種の支援についてはお住まいの地域で異なる場合があります。それぞれの自治体を窓口としているため、市役所や各地の社会福祉協議会へ相談することが大事なのです。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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