学ぶ 2018.07.05 いまさら聞けない「金利」って何?

お金を銀行に預けたり、住宅ローンなどを組む時に「金利」という単語を目にする機会はありませんか? しかし「金利」の意味はなんとなく分かるけれど、細かな内容について聞かれると答えづらい、という方もいるのではないでしょうか? 今回は、その「金利」に迫ってみましょう。

■金利とは「お金の使用料」のこと

まず、金利とはどのようなものかを考えてみましょう。金利は、お金をある期間の中で貸し借りする時の値段になります。

たとえば、レンタルショップでDVDやCDを借りることを考えてみてください。DVDやCDを借りるには費用(使用料)がかかります。借りる期間が短かいとその費用は安く、借りる期間が長ければ高くなります。

お金も同じで、お金を借りたときに費用(使用料)がかかります。これを「金利」と言います。お金を借りる使用料は短期間であれば安く、長い期間だと高くなります。

■金利が高い・低いの理由

それでは次に、この金利が上昇したり、下落した際に起きることについて考えてみます。

銀行は私たちの預金を使って、企業や個人に貸付けを行っています。つまり私たちが預金をして得られる金利というのは、銀行から見ると私たちの預金を利用するための「使用料」なのです。

いつでも引き出せる普通預金は流動性が高い、銀行からすれば企業や個人に貸付がしにくいため、使用料(金利)は低く設定されています。それに対して定期預金のように一定期間引き出すことができない預金は流動性が低いため、預入期間に応じて使用料(金利)を高くしています。

国債や個人向け国債につく“利子”も、国が私たちのお金を使うための使用料です。ちなみに、「金利」「利子」「利息」は表現が異なるものの、同じ意味だと理解してください。

■「政策金利」が上がれば金利は上がる

上述の通り、銀行は、私たちの預金と日本銀行から調達したお金を元手にして、個人や企業への貸付業務を行います。

銀行は日本銀行からお金を調達する際に「使用料(金利)」を払います。この日本銀行に払う使用料(金利)を「政策金利」と言います。仕入れコストが上がれば商品価格は値上げされるのと同じで、政策金利(仕入れコスト)が上がれば銀行から個人・企業への貸出金利(商品価格)も上がります。そのため、今後「ゼロ金利解除」というニュースがあれば、私たちが借りる際の金利が上がると思ってください。

これが、金利が上がる仕組みです。

■物価が上がる(景気が良くなる)と金利も上がる

日本銀行の役割は「世の中の物価を安定的に保つこと」と位置づけられています。(参考:日本銀行HP)「モノ(商品やサービス)の値段」である物価を見て政策金利を決めています。

  物価が上がる → 政策金利を上げる → 銀行からの貸付金利は上がる=金利が上がる
  物価が下がる → 政策金利を下げる → 銀行からの貸付金利は下がる=金利が下がる

物価が上がる状況とは、物がよく売れている状態ですので、それは景気がよくなっていると言えます。従って「景気が良くなると金利が上がる」と言い換えることもできます。

■金利は株価や為替にとって重要

株価や為替の動きを知るには、投資家の頭の中を覗き込めばわかります。投資家の頭の中は下記のようになります。

● 物価が上がる=景気が良くなる=金利が上がる → 企業が儲かる 

従って金利が上がれば株価は上がります。物価や景気は数字で図りづらいので金利を見て株を買ったり売ったりするのです。

さらに為替に関しても同様です。

● 日本の金利が上がる → 日本円でお金を預ければ金利が増える

従って、日本円は買われ、円高になるのです。

国債はどうなるでしょうか。国債は国民への借金です。当然使用料(この場合は利子)がかかります。金利が上がると使用料(利子)も上がります。

■金利が影響される金融商品

金利が影響される金融商品をまとめると下記のようになります。

金利が上がれば利回りが増える商品国債、個人向け国債
金利が上がれば価格があがる商品株式投資信託
金利が上がれば安くなる商品生命保険(貯蓄利回りは増える)
金利が下がれば得する商品外貨預金、外貨建商品(円安期待)
金利が下がれば利回りが増える商品不動産投資、不動産投資信託(J-REIT)

 

金利は「お金の “使用料”」ですから、貸す側は利益が増えますが、借りる側は負担が増えます。これをよく理解しておいてください。金利が上がるときは、お金を預けたり運用したりするときは有利です。ただ住宅ローンなどを借りるときは負担増には気をつけてください。

また、景気が良くなるから金利を上げるのですが、金利が上がりすぎると、お金の使用料は増え、借り入れのある企業は負担が重くなり、いずれは株価が下がります。

■金利は奥が深い!

このように、金利は奥が深いものなのです。普段何気なく使っている言葉ですが、実は株価や為替などにも密接な関係があり、私たちがよく使う預貯金にも関わってきます。金利の動きを知れば、世の中の経済の流れや今後の為替や債券の動きもわかるかもしれません。週に1度、月に1度金利の動きを眺めることでわかることがたくさんあります。あなたも金利を意識してみませんか。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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