学ぶ 2018.11.13 ふるさと納税に新傾向？新たな返礼の形とは

※ふるさと納税について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください

様々なメディアで取り上げられていてご存知の方も多いかと思いますが、ふるさと納税は条件内で寄附を行うと翌年の住民税と所得税が納税金額に応じて控除される制度です。

生まれや住まいとは関係なく自分の好きな地域に寄附することができ、そのお礼として返礼品がもらえます(ない自治体もあります)。一見すると地方自治体は歳入増、納税者も返礼品がもらえて良いことずくめなのですが、これで損をしているのが本来住民税を得られるはずだった自治体です。

特に首都圏や大阪など、住人の流動性が高い地域が顕著で、中には数十億単位の赤字が出る自治体も。さすがにまずいと思ったのか、総務省から「返礼品は寄附額の３割以下の地場産品にするように」というお達しが出てしまいました。

応じない自治体は制度対象外にするとまで言われてしまっては、対応せざるをえません。金券や電化製品が姿を消し、高級肉や魚介の類も減ってしまいました。

そこで新たに増えてきたのが『体験』や『クラウドファンディング』型。従来型のただお得なだけではない、オススメ返礼品をご紹介します！

世界遺産『今帰仁城跡』や海にかかる『古宇利大橋』など、数々の人気観光スポットを有する今帰仁村(なきじんそん)に宿泊することができます。

中でも人気なのがリゾートホテル『ベル・パライソ』。沖縄のホテルらしく全室オーシャンフロントで室内も広々。上記のスポットや美ら海水族館へのアクセスも良い、人気の宿泊施設です。

今帰仁村では観光地らしく、他にも3組限定のプライベートホテルや、沖縄の文化を直に感じられる民泊など、多くの宿泊施設が返礼品として用意されています。納税金額や時期に合わせて利用してくださいね。集まった寄附金は自然や観光地の保全、教育、事業の発展に使われます。

67年ぶりに『びわ湖疏水船』として復活した琵琶湖疏水の舟運に先行予約できる返礼です。2018年春に復活したばかりとあって、一般チケットはすぐに完売。紅葉の名所・毘沙門堂の近くや、日本初の鉄筋コンクリート製橋など、レトロ＆風雅なスポットを運河上から見ることができます。

こちらの先行予約は1万円以上の寄附で1名の抽選が、5万円以上の寄附毎に1名ずつ、20万円で4名まで先行予約が可能です。ハイシーズンは先行予約でもすぐに埋まってしまうことが予想されるため、希望の方はお早めに！

集まった寄附金は二条城の修繕や京都マラソンの運営費などのほか、もちろん琵琶湖疏水通船の今後の運営にも使われる予定です。

6つのスキー場を有する猪苗代町からは、全スキー場で期間中何度でも利用できる共通パスが返礼品として出品されています。本来は別の運営母体のため、いわばライバル関係にある施設が手を結んでいることからも、地域振興の本気度が伝わってきます。

シーズンパスは必ずしも実費と結びつくわけではありませんが、フル活用した場合は、いかにふるさと納税といえども『元を取る』ことができるほどのお得度です。今年のウィンタースポーツはどこへ行こうかと迷っている方にもオススメです。

寄附金は町づくりや地域振興など、一般的な用途に使われる予定です。

色々な美術館で催されるたびに人気のナイトミュージアムがふるさと納税の返礼品として登場！　借し切りで豊橋市美術博物館を観覧できるだけでなく、学芸員の解説や図録などのお土産等、充実の内容となっています。

セットで行われるのは豊橋市の史跡を学芸員とめぐるツアー。内容が多く、正直『3割ルール』にハテナを浮かべてしまうほどお得な返礼品だと思います。

その他にも豊橋市の返礼品には路面電車の運転や競輪観戦など、体験型がたくさん用意されています。寄附金は一般的な町づくりや動物園の運営資金に使われる予定です。

体験型とはちょっと違うかもしれませんが、なんと返礼品として公営墓地の埋葬権が返礼品として用意されています。おそらくは全国で初の試みとのこと。

公営なので不透明な檀家料を取られるようなこともなく、信州の山々に囲まれた地で、安寧を得ることができます。返礼品としては異色なものの、担当者も予想していなかったほどの問い合わせがあったようです。

宗教・宗派は問わず、生前から申し込みすることができます。寄附金は公共施設の整備、野獣対策、学生支援などに使われる予定です。

桃・ぶどう生産量日本一の笛吹市の新たな特産品・マスタード作りを支援することができます。全国に付きまとう休耕地問題の解決へ向けてのプロジェクトで、材料は全て笛吹市産。

既に動いているプロジェクトではありますが、より一層の効率化や品質向上へと寄附金が使われる予定です。返礼品にはマスタードや、材料に使われている巨峰のほか、5万円以上の寄附でオリジナルマスタード作り体験(2名)もありますよ！

いまや国民病とさえいえる花粉症の撲滅プロジェクトです。戦後、復興のために無計画に植えられたスギやヒノキを伐採し、本来の植生に見合った広葉樹に植え替えます。

今のところは神石高原町に留まる内容ですが、その効果が認められれば全国に同じ運動が広がることは必然。地域への支援だけでなく、いずれは自分自身に返ってくるであろう寄附になるでしょう。返礼品はコンニャク詰め合わせやヨーグルトドリンク、シードルなど、神石高原町の特産品がメインです。

魚消費の減少が続く日本では2011年、ついに肉類が魚介類を抜き、消費の逆転が起こりました。これには趣向の変移だけでなく、生ゴミが出たり、調理の手間がかかったりと、共働きの増加が一因になっているという指摘がありました。このプロジェクトでは、そういった面倒な手間を一切なくした、美味しい魚の加工品の開発が行われます。

ターゲットとなるのは、市場に出しても価格の安い小魚など。『簡単調理』『栄養成分』に重点を置いた加工食品が開発されています。そのほか、後継者問題への挑戦も同時に行われます。

返礼品はもちろん佐賀玄界灘の魚介類！　活サザエやとらふぐ鍋セットなどが用意されています。現地で味わいたい場合は老舗・水野旅館への宿泊もありますよ。

交通手段は定期船のみ、小笠原村への寄附です。平均して気温が高く自然が豊かで、動植物には固有種も。ハイビスカスやブーゲンビリアが街中でも見ることができます。東洋のガラパゴスとも呼ばれていて、2011年に島自体が世界自然遺産に登録されました。

寄附金の使い道は自然保護や福祉・教育の充実。応援する人々の気持ちに応えるというのが何よりのお礼だという考えで、返礼は用意されていません。

広い範囲での停電、地盤沈下、土砂崩れなど多くの被害を出した『北海道胆振東部地震』の復興支援です。自治体がそれどころではないため、余市町や東京都世田谷区などが代理で寄附を募集しています。

災害支援はこれだけではなく、同じく地震で被害を受けた熊本や鳥取、豪雨で被害を受けた広島や岡山なども募集しています。中にはある程度復興して返礼のある自治体もありますが、多くは必要・不要を選ぶことができます。あまり気負いすぎず、自分の好きなように寄附をしましょう。

ふるさと納税は返礼品をもらえるという特性から、お得さや豪華さに目が行きがち。ですが本来は親しみのある地域への支援を目的とした優しい制度です。使い道を選択できるというのも、今までの税金とは違い、自分で考えての行動にも繋がります。

単純にお得な制度としてだけではなく、ふるさと納税を通じて、お金の使い道を考えてみる良い機会にもなりますよ。
 

【関連記事】
・未経験の方必見！「ふるさと納税」の基本を詳しく説明します| マネチエ
・新しい寄附の形、ふるさと納税のはじめ方｜マネチエ
・「ふるさと納税」何がある？家族で選んで一緒に学ぼう | マネチエ
・会社員でも確定申告が必要な場合とは？ | マネチエ

TEXT：マネチエ編集部