学ぶ 2018.11.28 代休、有給、振替休暇……どれを選ぶかで給与額が変わるって本当?

労働者が取得できる休みには、有給休暇、代休、振替休暇などさまざまな種類があります。意識せずに取っているかもしれませんが、実は取得する休みによっては「お給料の額」が変わる場合もあるのです。

■まずおさえたい「休日と休暇の違い」

休日と休暇、似たような意味合いで使っている言葉ですが、法律上では大きく扱いが異なります。

休日とは「労働する義務が無い日」です。労働基準法では、週に1日以上の休日か、4週間を通じて4日以上の休日が義務づけられています。この休日を「法定休日」といい、申請することなく会社を休むことができます。

一方で、休暇とは「(本来はある)労働が免除された日」です。もともとは労働の義務がある日なので、休みを申請しなければ労働は免除されません。法律で定められた休暇として年次有給休暇、産前産後休暇、育児休暇などがあり、法定外休暇としてリフレッシュ休暇や慶弔休暇などの取得が認められている会社もあります。

  • 休日……労働する義務がない日/法定休日/申請不要
  • 休暇……労働が免除された日/有休や育休など/取得の申請が必要

■休暇の具体的な種類の違い

「休日」は申請せずとも休める日なので、違いを意識しておきたいのは「休暇」の違いです。「振替休暇」「代休」「有給休暇」の違いについて整理しておきましょう。

●振替休暇:休日勤務前に振替日を決めておく必要あり、割増賃金はなし

土日祝日など、会社の規定で「休日」と定められている日に勤務し、他の労働日を休日とすることです。休日勤務をする前に、振り替えるべき日を指定しておく必要があります。

労働日と休日を入れ替えて、本来は休日だった日が労働日になったというだけなので、休日労働への割増賃金は発生しません。振替休暇の使用期限は会社の就業規則で決めることができます。

●代休:休日労働に対する割増賃金が発生する

休日出勤をした後に、その代償として労働日を休みとするものです。代休をとったとしても休日に労働をしたことになるので、休日労働に対する割増賃金が発生します。

割増賃金は法定休日の場合、通常の賃金の3割5分以上(法定外休日だと通常の賃金の2割5分以上)です。代休の使用期限は会社の就業規則で決めることができます。

●有給休暇 賃金の支払われる休暇

休暇を取得しても賃金が支払われる休暇日のことです。6ヵ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤している場合に与えられることが法律で義務づけられています。勤続年数によって付与される日数は異なり、有効期限は発生してから2年と労働基準法で定められています。

■それぞれの給与どう変わる?

3種の休暇のうち、振替休暇は割増賃金の対象にならないため、代休と有休のとり方について比較してみます。

パターン1:休日労働をした翌週に「代休」を取った場合
→休日に労働した分の3割5分の割増賃金が発生します。

例えば、時給1,000円で労働時間が8時間の場合、1,000円×8時間×0.35=2,800円が翌月の給料に反映されます。
 

パターン2:休日労働をしたが代休を取らず翌週に「有給休暇」を取った場合
→休日に労働した分の3割5分の割増賃金が発生し、有給休暇分1日分に対する賃金も給料に反映されます。

例えば、時給1,000円で労働時間が8時間の場合、1,000円×8時間×0.35+1,000円×8時間=1万800円が翌月の給料に反映されます。

■休日出勤後に有休がとれない場合もある?

代休より有給休暇のほうがもらえる給料が多いのであれば、余っている有給休暇を使いたいと思うかもしれません。しかし、代休のかわりに有給休暇を使うことは難しい場合もあります。

それは、休日出勤後には有給休暇より代休を取ることを優先するという就業規則があるケースです。この場合、有給休暇を申請しても、代休が優先される形になります。使用者(会社側)には有給休暇の申請を拒む権利はありませんが、有給休暇の使用するタイミングを変える権利があるので、実質は「有給休暇の取得は延期」という形になるでしょう。

有給休暇、代休、振替休暇といった休みの種類による違い、さらには就業規則をしっかりとおさえ、損しない賢い休み方をしたいものです。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

マネチエでは身近なお金の話題をお届けしています
この記事を気に入っていただけたらフォローをお願いします!

ページトップ