学ぶ 2018.12.03 派遣社員の3年間ルールが10月スタート!それってどういうこと?

派遣社員にとって2018年は転換点ともいえる1年でした。というのも、4月から「無期転換ルール」が、10月には「派遣期間3年間ルール」が始まったからです。「2018年問題」といわれるほどのインパクトがある内容です。

■5年「無期転換ルール」で派遣社員の働き方はどう変わる?

4月から先行して始まっている「無期転換ルール」は、5年を超える有期契約労働者が、有期契約から無期への転換を申し入れることができるというもの。

なお、この5年「無期転換ルール」は、派遣社員に限らず契約社員やパートなどで働く方にも適用されます。

同じ企業で1回以上契約更新をした上で、通算で働いている期間が5年を超える場合、労働者から無期契約へ転換を希望すれば、使用者は拒むことができないとされています。なお、労働者側から使用者(会社)に転換希望の旨を伝える必要があり、自動的に無期契約になることはありません。

あくまでも労働者側が「希望すれば」が前提ですので、働く側が望むならそのまま有期契約を続けることも可能です。国の推計では勤続5年超の有期社員は450万人もいるとされています。

■2018年10月から「派遣期間3年間ルール」が始まってどうなるの?

2018年10月から施行されている「派遣期間3年間ルール」では、専門業務を含むすべての業務で、1つの職場に派遣できる期間が3年に統一されました。同じ企業、同じ部署に3年以上継続して働くことができなくなります。

また、派遣社員を雇用している派遣元の会社は、期間が満了する際に派遣社員が希望すれば、別の派遣先を紹介する、派遣先に直接雇用を依頼する、派遣元の会社が無期雇用をする、その他雇用の安定を図る措置を行うかのいずれかの対応が必要になりました。

派遣労働者にとっては、派遣から正社員への道が広がったというメリットはあります。一方で派遣先の会社にとっては低コストで労働力を確保することができなくなります。派遣元の会社にしても直接雇用をしたり、別の派遣先を紹介したりするなどの新たな負担が生じます。

このようなことを避けるために、会社側が契約を更新せずに労働者を辞めさせる「雇い止め」が大量に行われるのでは、と懸念されるのが2018年問題のポイントです。

■「3年間ルール」のデメリット・注意点

この「派遣期間3年間ルール」は、もともと派遣期間の制限が長かった26業務の人にとっては、契約期間に制限ができることになってしまいます。

26業務とはソフトウェア開発、秘書、添乗、広告デザイン、テレマーケティング営業など政令で定められた業務のこと。これらは一般事務や軽作業などと違って専門性が高いため、派遣法で定める「3年」ではなく「最長5年」という期間で派遣先が希望するまで延長できていたのですが、3年に短縮されることになります。次の派遣先が見つからない場合など、生活への不安が出てしまう恐れがあります。

ただし、「派遣期間3年間ルール」では、同じ職場でも部署が変われば、同一の派遣社員が新たに3年間働くことが可能です。大きな会社では、部署もたくさんあるので、これまでと変わらず派遣社員のまま長期間雇用というケースもあるでしょう。

■ルールが守られない場合はどうする?

派遣社員の3年間ルールは、派遣労働者の雇用を守り、キャリアアップを図るためのものです。ずっと派遣としてさまざまな職場で働き続けるのか、3年目に正社員として雇われるのか、働き方を選ぶことができるようになったといえます。

もしこうしたルールが守られていないと感じたら、都道府県の労働相談コーナーなどに相談するとよいでしょう。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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