学ぶ 2018.12.12 扶養を超えてしまったら、年収いくらがお得なの?

扶養について調べると、必ずといっていいほど行き当たる「●●万円の壁」というワード。その金額には103万円や150万円など、いくつかパターンがあります。どうすれば損しないのか、もっともお得な年収はいくらなのか、妻が夫の扶養に入る場合を想定して、さまざまなケースで考えてみましょう。

■扶養に入るメリットは?

扶養には、所得税が大きく関係する「税法上の扶養」と、健康保険などと関係のある「社会保険上の扶養」の2種類が存在します。税法上の扶養とは、配偶者控除または配偶者特別控除により、所得税を含む税負担が軽減する制度のことです。

夫の勤め先によって変わりますが、妻が扶養内であることで月収に配偶者手当がプラスされることもあります。一方、社会保険上の扶養では、社会保険料の負担なしに3割負担で医療機関を受診できるほか、年金の受給なども可能です。

この2種類の扶養は同一の制度として捉えられがちですが、実は別物です。年収が変わることで控除される内容もいろいろと変化します。

■年収100万円超から既に違いが

それでは、控除内容の変化を、もっとも少額の壁となる年収100万円超から順に見ていきましょう。    

ケース1:年収が100万円超~103万円

妻が年間100万円超の収入を得ている場合は、税法上の扶養における税負担が発生し、自身の年収から住民税を納める必要が生じます。

なので負担を抑えたいのであれば100万円を超えないようにするのもひとつの手。ただし、収入増の部分と税負担額を比較してもマイナスにはならないので、あまり深く考える必要はないでしょう。自治体によっては税負担の発生する額が異なるため、事前の確認をおすすめします。

ケース2:年収が103万円超~106万円

103万円を超える年収の場合も、同じく税法上の扶養において所得税の支払いが生じます。新たな負担となるのは103万円を超えた部分の収入のみで、その税率は5%。つまり、年収が105万円だった場合は105(万円)-103(万円)=2(万円)となり、年単位の負担は1000円です。この場合も増収部分が大きくなるためマイナスにはなりません。

また、年間で最大38万円も税負担が軽くなる配偶者控除は103万円を境に対象外となります。しかし、同額程度の配偶者特別控除を受けられるため、考えなくてもいでしょう。ポイントは、夫の収入に配偶者手当が含まれている場合です。妻の年収が103万円を超えると支給されなくなる場合は実質的な負担増となってしまいます。

ケース3:年収が106万円超~130万円

週単位の労働時間や企業規模などいくつかの条件を満たした場合のみ、社会保険への加入が義務付けられ、保険料を負担しなければなりません。

■130万円からはどう違う?

ケース4:年収が130万円超~150万円

年収130万円からは、社会保険への加入を義務付けられる対象者が拡大します。厚生年金保険料や介護保険料など負担額が年間で20万円を超えることもあるので、このケースでは大幅な負担増となります。年収を抑えるかしっかりと増やすかしないと、かえって損することになるでしょう。

ケース5:年収が150万円超~201万円

150万円を超える年収になると、それまで38万円だった配偶者特別控除の額が少しずつ減少します。年収201万円になるころには控除額が3万円までダウンするため、夫が負担する税金が増えますが、妻の年収が上がっているので大きな負担増にはなりにくいでしょう。

ケース6:年収が201万円超

妻の年収が201万円を超える場合は配偶者特別控除が一切受けられなくなります。逆に負担額はこれ以上増えないので、可能な人は思い切って労働時間を増やしてみるのもよいかもしれません。

■結論:年収は160万円を目標に

扶養を超えて妻が働く場合、もっともネックとなるのが社会保険料です。年収130~150万円は、前述の通り増収額よりも保険料の負担額が大きくなるため非効率。結論として、社会保険料と天秤にかけた場合、年収160万円が最もお得だといえそうです。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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