学ぶ 2019.01.16 家や土地を売るときに考えるべき税金。5年住むと税率が変わる?
ローン返済や新たな物件購入のために所有している不動産を売却する場合、税金のことを考えておかないと、お金が足りなくなってしまうということがあります。たとえ売却したお金の使い道が決まっていなくても、税負担は軽くしたいもの。どのような点に注意すればいいかを解説します。
■不動産を売却するときに必要な手続き
一般的な不動産売却の流れを把握しておきましょう。
- 売却活動:不動産会社に売却の申し込みをして買い手を見つけてもらいます。
- 買付申込と契約:買い手が見つかると売買契約を締結し、まず売却金額の10%程度を手付金として受け取ります。
- 決裁と引き渡し:その後1~2ヵ月で残金を受け取り、物件を引き渡して売買が完了。引き渡しの時には権利書と所有者の印鑑証明が必要です。
不動産の売却には費用もかかります。不動産会社への仲介手数料は原則「売買価格の3%+6万円」(税別)。また土地の測量費用や建物の解体費用などが必要になることもあります。
■売却後にかかる税金
不動産を売却して損失が出る場合には税金はかかりませんが、利益が出る場合、所得税及び住民税がかかります。不動産の売却で得たお金は「譲渡所得」にあたり、譲渡所得は、売却した不動産の価額からその不動産の取得費(不動産を買ったときの価額を基に計算した金額)及び譲渡費用を差し引いて計算します。
- 譲渡所得=売却価額−(取得費+譲渡費用)
取得費……売却した不動産の購入時の価額(建物については減価償却後の額)と仲介手数料などの合計額
譲渡費用……不動産を売却するために直接かかった費用のこと(仲介手数料や測量費用の合計額)
税金はこの譲渡所得に税率を掛けて計算します。税率は長期譲渡所得か短期譲渡所得かによって異なります。
長期譲渡所得とは、不動産を売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えている土地建物の譲渡による所得のこと。所得税15%、住民税5%の合計20%の税金がかかります。
譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年以下だと短期譲渡所得になります。短期譲渡所得の場合、所得税30%、住民税9%の合計39%の税金がかかってきます。
不動産は買ってから5年以上経ってから売却したほうが税率が低く、税金面で有利です。なお、このほかに、復興特別所得税が所得税額の2.1%かかります。
■親から相続・贈与された家を売却したら?
自分の住んでいる家やその敷地を売却する際には、売却価額から3,000万円の特別控除を差し引くことができます。これを「居住用財産の特別控除」といいます。自分の住んでいる家を売却して、譲渡所得を得たとしてもその譲渡所得が3,000万円以内であれば税金はかからないのです。
この「居住用財産の特別控除」を受けるためには、以下が条件となります。
- 主として自分の居住用として使っていた家であること
- 売却する相手が配偶者や祖父母、父母、子などの特別関係者でないこと
- 居住しなくなった日から3年以内に売却すること
- 確定申告をすること
また、売った家が自分で買ったものではなく、親からの相続または贈与によりもらった家である場合。これまでの説明に加えて、次の点に注意する必要があります。
- 不動産の所有期間は、自分の所有期間だけでなく、親が買ったときから通算して計算する。
- 譲渡所得金額を計算する際の取得費は、親がその不動産を買ったときの購入金額を基に計算する。
親から不動産を相続または贈与された場合は、親がいくらで取得したのかがわかるように、必ず証明書を受け取っておくようにしましょう。それをもとに不動産を売却するときには、譲渡所得金額を計算するということを忘れないようにしてください。
■売却前によく検討を
いざ不動産を売却しようとすると、考えなければならないことはたくさんあります。売却してから思った以上に税金を納めて困らないように、あらかじめ税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。不動産会社でも試算してもらえる場合があります。事前に売却した後のことをよく考えておくことが大事です。
TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA
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