編集部 2019.01.25 【あのヒトの家計簿】睡眠時間3時間半の副業クリエイター生活。いくら稼げた?

大手企業をはじめ、副業を解禁する企業が増えてきています。しかし、副業を開始するにあたって、「副業でどれくらい稼げるのか」「本業との両立はできるのか」など、事前に知っておきたいことも多いでしょう。

普段は知ることのできない他人の家計簿をのぞき見するシリーズ企画「あのヒトの家計簿」。今回は副業イラストレーターの経験を持つ粕田さんにお話を伺いました。今では会社を退職し、クリエイターとして独立した粕田さんの副業時代のエピソードをもとに、副業のリアルをお届けします。

取材協力:粕田さん

会社員のイラストレーターとして働く傍ら、副業でもイラストレーターの仕事を請け負っていた経験を持つ。2018年5月より、フリーランスのイラストレーター・アニメーターとして活動中。0歳のお子さんと奥さんと3人で暮らす。『イラストレーター生存戦略』というブログで、稼げるイラストレーターになる方法を発信中。

■Mr.Childrenのファンクラブ会費が払えなかった貧乏時代を経て、アルバイトと副業を開始

あまり裕福ではない家庭で育ったという粕田さん。高校時代は、部活の合宿に参加するために自分でアルバイトをしてお金を稼いていたそうです。大学を卒業後はフリーランスのイラストレーターとして活動を始めるも、仕事がなく、ほぼニート状態。大好きだった、Mr.Childrenのファンクラブ会費(年間3,000円)も支払えないくらいお金がなく、「いい加減ちゃんとしないと……」と思い至り、携帯電話のコンテンツ制作会社にイラストレーターとしてアルバイトで入社。

そんな粕田さんが副業をはじめたのは、この1社目の会社でアルバイトをしていた頃。当時のアルバイトは時給1,000円で、会社の方針で残業がなかったため、フルタイムで働いていても、月の手取りは13〜15万円+交通費くらいだったそう。

<当時の粕田さんの1ヶ月の出費>
・家賃+生活費:5万円(母親とお兄さんと同居)
・通信費:1万円
・交際費:7〜9万円

とにかくお金が貯まらないことが悩みだったという粕田さん。友人との会話で貯金や年収、結婚、保険などの話題になると、いたたまれない気持ちになっていたそう。

給料が安いことに悩んでいた粕田さんは、残業がなく自由に使える時間が比較的多かったため、自分の腕試しも兼ねて、イラストレーターの副業を始めることに。

「副業での最初の仕事は、携帯電話の待受画像用の制作の仕事です。コンペでの受賞をきっかけに決まった仕事で、定期的な仕事になりました。それでも、副業をはじめたばかりの頃は収入もわずかで、月に数千円程度。待受画像の制作のほかには、先輩のイラストの仕事を手伝ってお小遣い程度にギャラをもらったりしていました」(粕田さん)

副業イラストレーターとして仕事を増やすため、粕田さんはとにかくたくさんのコンペに応募していたそう。また、クラウドソーシングサービス「ランサーズ」を活用しはじめてから、少しずつ収入が増えていったと言います。

しかし、フルタイムで働いてから、副業イラストレーターの仕事をするというハードスケジュールをこなすために睡眠時間を削っていたという粕田さん。当時の1日のスケジュールはこちらです。

<副業時代の粕田さんの1日>
・6:30……起床
・7:30〜9:30……通勤(茨城から東京へ通勤)
・10:00~19:00……会社就業
・21:00……帰宅
・22:00~3:00……副業

「睡眠時間は平均で3時間から4時間程度。通勤中の電車でも少し寝られるとはいえ、かなりしんどかったです。20代半ばまでは、かなり無茶をして働いていました」(粕田さん)

■経験者が語る、副業クリエイターのコツ

副業時代を振り返り、粕田さんは副業クリエイターとして成功するためのコツを次のように語ります。

「クラウドソーシングサイトもあり、クラウド経理ツールやアプリも充実している今、最も必要なのは行動力胆力ではないでしょうか。また、クリエイター気質の方は、お金に無頓着な方が多いイメージがあります。好きなことをしているから給料は少なくてもしょうがないという気持ちは、副業をしていくうえでは、障害となり得えるのではないでしょうか」(粕田さん)

副業とはいえ、立派な事業者。自分が事業者であることを自覚し、自分の仕事に対する対価をきちんと求める姿勢が必要です。

これまでの粕田さんからの話からも、本業と副業を成立させるためにはかなりの労力がかかることがわかります。それでも、副業をするメリットはお金以外にどのようなものがあるのでしょうか?

「1つは自信がつくことです。会社以外にも目を向け、自分の得意分野で勝負することで、まったく違う評価を得られることもあります。デメリットはやはり、本業と副業でとにかく忙しくなることですね」(粕田さん)

本業では仕事を選ぶことができずとも、副業であれば断ることも可能です。忙しくなるからこそ、副業を上手く続けていくためには、やりたいことや得意なジャンルの仕事を請けることが大切なのです。

■今ではフリーランスクリエイターとして活躍

会社員+副業時代を経て、現在はフリーランスのクリエイターとして自宅で働く粕田さん。

副業の収入が本業を越える月が増えたため、独立してどれくらい稼げるのかチャレンジしたいと思ったそうです。独立するための助走期間になり得るのも、副業のメリットの1つ。

では会社員+副業時代と比べて、フリーランスになってからの収入や生活はどう変わったのでしょうか。

「収入の安定感はなくなりましたが、今のところ会社員+副業時代と同等の収入となりましたし、その倍が入る月もあります。日中の時間も自由に使えるので、個人的には会社員時代ほどストレスはありません」(粕田さん)

副業の仕事にもいろいろなものがありますが、クリエイターに関していえば、収入が増えるだけでなく、スキルアップや独立するまでの準備にもなったりと、さまざまなメリットがあります。しかし、やはり本業と副業を成立させるためには、それ相応の覚悟が必要そう……。もし副業を検討中の方がいたら、自分に本当に副業が向いているかどうか。粕田さんの事例を参考に、一度考えてみてはいかがでしょうか。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:shutterstock

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