編集部 2019.01.28 【あのヒトの家計簿】オタク女子、なんでそんなにお金を使えるの?

普段は知ることのできないヒトの家計簿をのぞくシリーズ企画。第3回目は「オタク女子」の家計簿です。大きな金額が動くことでも知られる「オタク経済圏」ですが、その当事者であるオタクのみなさんの家計はいったいどのようになっているのでしょうか。今回は会社員として働きながら、ライターとしても活動するlibroさんに、気になるお金のことを寄稿いただきました。

取材協力:libroさん

昭和生まれ。会社員をしつつ、おもにマンガ分野でライターとしても活動中。子供の頃から本やマンガを読み続けていたら、オタクと言われるように。月100冊のマンガ、月5冊の本を読みつつ、月1回の舞台鑑賞が目標

■本・マンガ・舞台好き つながりの中で「オタク」枠へ

9月下旬。ニューヨーク公共図書館のある一室に足を踏み入れた私は、「ああここが、あのキャラクターがみた世界か」とひとり感動していました。

感動のポイントは2つ。1つはあこがれの作品の舞台に来ることができたこと。もう1つは、大人になってきちんと金銭管理をしておけば「マンガの舞台になった海外に行くことができる」ということです。

小学生のときに小説、マンガ、さらに歌舞伎や宝塚、ミュージカルに出会い、社会人の今に至るまでこれらの世界からずっと離れられずにきました。ひとりでもくもくと本やマンガを読み、休日に映画や舞台を見に行く。

外に出て人と会うときは、ほとんどが本やマンガを含むコンテンツ関連の集まり。自分では好きなことをただただ楽しんでいるだけなのですが、周りの人から見ると「オタク」に分類されるそうです。

こうした趣味の世界にどっぷりつかれるのも、独身で正社員として10年以上働き続け、同世代に比べて平均以上の年収があること、そして子供の頃からお金の管理が好きで、何事も金銭面で無理のない範囲で楽しむことを意識してきたからではないかと思います。転勤期間を除いて親元で生活しているのも大きいです(もちろん一定額は家に入れていますが)。

いまは、収入のうち一定割合を将来の資産形成のために振り分けたあと、オタク活動含めて月30万円程度で生活しています。

 家に入れるお金 7万円
 趣味関係    4万5,000円 (オタク活動費含む)
 交際費     3万5,000円
 医療・健康   3万円
 食費      4万5,000円
 教養費     3万円
 衣服・美容   1万5,000円
 交通費     1万円
 通信費     3,000円

お金に関する習慣はシンプルです。支出を記録して見える化し、何事も収入の範囲で楽しむこと。どんなものでもお金を出す前に「それにお金を出す価値はどこにあるのか」を立ち止まって考え、自分なりの納得を得ることです。

■舞台鑑賞に遠征・・・オタクのお金はこうして消えていく

のめり込むように趣味を楽しむオタクは、そうした趣味のない人に比べれば日々の生活にお金がかかります。気になる本やマンガは買いたい、好きなテーマのイベントがあれば参加したい、推しの作家にはお金を出したいからです。最近は、SNSなどを通じて、サービスの提供やイベント開催の情報が手に入りやすくなっていることも、支出を後押ししています。

私の場合、その中でも大きく占めるのは舞台鑑賞。特に、「テニスの王子様」や「ハイキュー!!」などのマンガが原作の「2.5次元ミュージカル」にはまってからは、明らかに支出が増えました。舞台の場合1回6,000~1万円程度。会場に行けばパンフレットは買いたいし、それぞれの「チーム」を応援するグッズはほしい──こうしてお金が出て行きます。

舞台の罪深さ(?)は、感動するとその場で翌日以降の公演のチケットが買える場合があること。私も近頃、禁断とは思いつつも「公演後のチケット購入」に手を出してしまいました。

イベント関係では特に、海外の聖地巡礼やアニメイベントの支出が膨らみます。国内では、コンテンツ関係のトークイベントなどへの参加にお金を使うことが多いです。

以下が、2018年のオタク活動の出費一覧です。もちろん、私以上に使っている方は、もっといらっしゃると思いますので、この程度で「オタク」を名乗るのはお恥ずかしいのですが──。

舞台  7万円(ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」など)
マンガ 5万円
イベント7万5,000円(オンラインサロンなど)
映画  1万円
書籍  3万5,000円
文具  2万5,000円
展覧会 5,000円
その他 5万5,000円(動画サービスなど)
旅行  25万円(聖地巡礼用など)

■「収入を減らさない」「興味のないことには支出しない」がモットー

オタク活動を続けるために心がけていることは「収入を減らさない」「支出は減らす」の基本です。いまのところ会社勤めは続けるつもりでいますが、会社員なので収入の増減は自分でコントロールできません。

オタク活動に没頭するため、仕事には全力で取り組むものの、それが収入増につながる保証はありません。

そのため、そもそも収入は増えにくいことを前提に、趣味以外の日常生活に必要な基本支出を極力増やさないようにしています。

とにかく自分の関心が薄いものにはお金を出さないことが基本。「住」については「この街に住みたい」というあこがれを実現させるモチベーションは今のところないので、コスト削減が優先です。

「衣」や「食」も、人よりいいものを着たり、おいしいものを食べたりすることに私はあまり興味がありません。社会人として周りに迷惑をかけず、健康を維持できる水準を保てればいいと判断しています。

唯一最近見直したのはスマートフォンです。数年前に大手通信会社の契約から格安スマホにしました。年間の維持費は3分の1程度になったうえ、SIMフリーの安く、ディスプレーの大きなタブレットに切り替えました。むしろアニメなどの動画を見やすくなったことはうれしかったです。

この考えはオタク活動でも同様です。好きな作品はたくさんあるけれども、気に入った作品のうち「自分が本当にお金をかけたい作品はどれか」を厳選しています。オタクを自覚してからは、この対象は適宜入れ替えてきました。

オタク活動でお金を出すときは、ほかの支出同様「自分は何にお金を出したいのか」をしっかり考えます。今はグッズ購入からイベント参加までお金の出し先は無限に用意されています。自分はモノを集めたいのか、イベントに参加したいのか、お金を払うことで作品世界そのものを支えたいのか──どれが一番自分を満足させるのか、自分と向き合いながら日々のやりくりを考えています。

■お金に関する悩みと今後

お金を出さないと自分の好きな作品やジャンルが消えていく──ここ数年こんな危機感に襲われることが増えました。そのため、どんな少額でも好きなモノやジャンルにはお金を出すようになりました。すると少し支出が奔放になりがち。将来お金不足で後悔しないためにも、もう少し支出を抑えられないかと悩んでいます。

もうひとつはお金に働いてもらう方法。今まで銀行に預けていただけのお金を、運用という形で働いてもらいたいと思っています。今度、ファイナンシャルプランナーに資産形成について相談に行く予定です。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:shutterstock

マネチエでは身近なお金の話題をお届けしています
この記事を気に入っていただけたらフォローをお願いします!

ページトップ