学ぶ 2019.02.21 年金手帳は会社になぜ預ける?紛失時や注意すべき番号など、基礎知識を解説

普段の生活では、あまり手に取ることのない年金手帳。新しい会社に入る際に提出を求められ、慌てて探す人もいるのではないでしょうか。そもそも年金手帳とは何か、なぜ会社に預けなくてはいけないのかなど、知っておきたい基礎知識を紹介します。

■年金の仕組みを簡単におさらい

日本の年金制度は、よく2階建ての建物にたとえられます。1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金です。

日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は、すべての人が基礎年金である国民年金に加入しています。自営業者や学生が第1号被保険者、会社員や公務員は第2号被保険者、専業主婦などの第2号被保険者に扶養される配偶者は第3号被保険者というように被保険者の種類が分けられています。

ちなみに公務員は以前、共済年金に加入していましたが、平成27年10月に厚生年金に統合されました。

年金手帳は国民年金、厚生年金、共済年金といった公的年金制度で共通して使用する基礎年金番号が記載されている大切なもの。基礎年金番号は、1人に1つの番号が割り当てられており、年金の加入記録は基礎年金番号をもとに管理しています。

■なぜ年金手帳を会社に預けるのか?

20歳になると、住民票に記載されている住所に「国民年金被保険者関係届書」が届くので、必要事項を記入して提出する必要があります。年金手帳と保険料の納付書も同じ時期に届きます。

20歳になる前から就職していた人は、その時から厚生年金制度に加入し、同時に基礎年金番号が割り当てられています。手続きは会社が行うため、会社に年金手帳が届き、そのまま会社で保管しているケースが多いでしょう。

20歳を超えてから就職、もしくは転職して新しい会社に入社した場合も、会社から年金手帳の提出を求められます。これは「厚生年金や共済年金に加入するとき=入社時」「厚生年金などから国民年金に切り替えるとき=退職時」「住所・氏名が変わったとき」に、年金手帳に記された基礎年金番号が必要となるためです。

ただし、年金手帳を会社で保管するか、個人で保管するかは組織によって異なります。「預けなくてはいけない」という義務はありません。預ける理由は、紛失を防ぐためです。

会社員の場合は、住所変更などがあるたびに会社へ年金手帳を提示しなくてはなりません。その度に提出・返却を繰り返していると、誰が持っているのかわからなくなってしまう可能性があります。そのため「入社時に会社へ提出して保管、退職時に返却」としている会社が多いのです。

■年金手帳は紛失しても再発行できる

転職の際に年金手帳が見つからなくても、下記で再発行できるので、あまり心配することはありません。
・第1号被保険者:居住地の市区町村役場
・第2号被保険者:勤務先、または事業所の所在地の年金事務所
・第3号被保険者:配偶者の勤務する事業所の所在地の年金事務所

自分の該当するいずれかの機関で「年金手帳再交付申請書」を提出します。事務センターなら郵送での手続きもできます。再発行した後に年金手帳が見つかった場合は、基礎年金番号が同じであれば、どちらか1冊を保管しておけば問題ありません。どうすればいいか不安であれば、日本年金機構の「ねんきんダイヤル」(0570-05-1165)に電話すれば、気軽に問い合わせもできます。

■年金手帳で注目すべきところとは?

転職などで自分の年金手帳を改めて確認した時に、特に注目すべきところは「基礎年金番号」と「年金手帳の色」です。

「99」で始まる基礎年金番号は要注意

「99」から始まる基礎年金番号は、年金制度への加入時に加入届の基礎年金番号が未記入だったことなどから、仮に与えられた番号です。つまり基礎年金番号を2つ持っている可能性があり、保険料を二重に納めてしまっている場合があります。近くの年金事務所で相談するようにしましょう。

色が他の人と違っても問題ない

年金手帳は加入した時期によって色が異なります。平成9年1月に基礎年金番号が導入され、平成9年1月以降に被保険者資格の取得手続きを行った人は青色の年金手帳が交付されるようになりました。昭和49年11月から平成8年12月に被保険者となった人には、オレンジ色の手帳が交付されています。他の人と色が違っても心配ありません。

■年金手帳はきちんと管理を

人生100年時代といわれ、年金についての関心は高まる一方です。年金手帳は年金制度への加入履歴を管理する基礎年金番号が記載されている大切なもの。転職時に慌てないよう、きちんと保管・管理するようにしましょう。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:beeboys/shutterstock.com

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