学ぶ 2019.03.14 合同会社とはどういうものなのか?メリットやデメリットを解説

日本の会社組織には、株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4つの形態があります。株式会社はよく聞く言葉ですが、合同会社はどういうものかよく知らない人もいるのでは?今回は、最近注目されている合同会社について解説します。

■合同会社は有限会社の代わりとして登場

合同会社は2006年5月の新会社法施行によって認められた新しい会社の形態で、有限会社の代わりとして登場しました。欧米では合同会社は株式会社と同じくらい一般的な会社形態のひとつ。

LLC(=Limited Liability Company)とも言われ、日本でも浸透しつつあります。ちなみに、新会社法施行によって、有限会社を新たに設立することはできなくなりました。

■合同会社のメリット

「グーグルジャパン」や「アップルジャパン」、「アマゾンジャパン」など、最近は世界的企業の日本法人も合同会社の形態をとっています。2018年5月にはDMM.comが株式会社から合同会社に組織変更しています。合同会社にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

設立費用やランニングコストが安い

合同会社は株式会社と同様に1円の出資金でも設立することが可能です。登記の際の登録免許税は合同会社が6万円ですむところ、株式会社では15万円かかり、さらに定款承認に最低でも5万円はかかります。

また、株式会社と違って合同会社では決算の公告義務がなく、役員に任期が定められていないため定款の書き換えも不要。ランニングコストは株式会社に比べて安くすむわけです。

出資者=社員すべてが有限責任

個人事業主の場合など、事業破綻や倒産に陥った場合は「無限に責任を負う」ことになっていますが、合同会社の社員=出資者は出資金の範囲の責任を負います。

ちなみに合同会社は1人でも設立することが可能。これにより一定のリスクを避けることができるのです。ちなみに株式会社の出資者も有限責任ですが、出資者は株主にあたります。

責意思決定が早く経営の自由度が高い

合同会社は出資額に関係なく議決権が与えられるため、社員総会で経営方針を決定できます。出資金が多い株主が経営に大きな影響を与えることができる株式会社のように、株主総会を設置する義務がないので、比較的シンプルな会社運営ができるのです。

社員が複数人いる合同会社の場合は、株式会社のように代表を選ぶこともできます。登記簿上、株式会社でいうところの「代表取締役」は「代表社員」、「取締役」は「業務執行社員」です。

■合同会社のデメリット

株式会社に比べてメリットが多いように見える合同会社ですが、もちろん短所もあります。

認知度や信用度が低い

合同会社は2006年に新設された制度のため、株式会社と比較すると認知度が低く、取引先に対する信用度も低いことがデメリットといえます。ただし、最近では日本でも大企業が合同会社の形態をとるようになってきているため、だんだんと信用度も上がってくるでしょう。

利益分配で揉めることがある

合同会社では出資比率に関係なく、社員間で自由に利益分配を決めることができます。たとえば出資金額に関係なく均等割や、貢献した社員に多く配分もできるのです。そのため利益分配比率で納得していない社員がいる場合は揉めることも予想されます。社員同士のトラブルに発展してしまうと、良好な人間関係が築けないだけでなく、経営に影響を及ぼすリスクもあるのです。

資金調達は株式会社に比べて不利

株式会社は上場でき、上場企業という高い信用力で広く出資金を集めることができますが、合同会社はできないため資金調達では不利です。ただし社債を発行することは可能です。

■日本でも広がりつつある合同会社

合同会社は株式会社と比べて少ない費用負担で起業でき、会社運営の手間が少なく、これから起業しようとする人にとってはメリットが多い形態です。手軽に設立できるため日本でも合同会社がこれから増えていくでしょう。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:Gustavo Frazao/Shutterstock.com

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