学ぶ 2019.03.26 柔軟な働き方ができるようになる?「高度プロフェッショナル制度」をわかりやすく解説

有給休暇の取得義務付けや残業時間の上限規制などの大幅な改革で、私たちの働く環境が大きく変わろうとしています。一億総活躍社会の実現に向けて、政府は「働き方改革関連法」を2019年4月から順次施行する予定。なかでも今回は話題になっている「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」について解説します。

■働き方改革が求められる背景

少子高齢化が進む日本では、生産年齢人口(15歳~64歳)が2013年10月には8,000万人を下回り、2060年には4,418万人まで減少すると予想されています。労働者が減少し、日本経済の縮小が懸念されているのです。このような状況の中、育児や介護との両立など、労働者のニーズの多様化に応えるために働き方改革が進められることになりました。

■高度プロフェッショナル制度とはどういうものか?

高プロはこの働き方改革の制度の一つです。適用されると、労働基準法の労働時間や休憩、休日、深夜の割増料金の規定適用から外れ、自由な働き方が選択できるとされています。

対象となる業務と労働者

高プロの対象となるのは高度な専門知識が求められ、時間と成果の関連性が高くないと認められる業務に従事している人。具体的には金融商品の開発や証券会社のディーラー、企業・市場等の分析をするアナリスト、事業・業務の企画運営に関する高度な考案または助言を職務とするコンサルタント、研究開発などの職種です。

さらに平均給与額の3倍(年収約1,075万円以上)の収入があり、職務の範囲が明確に定められているといった条件があります。

適用するための条件

高プロを適用するためには事業主側にも条件があります。

・事業主と労働者の個別の合意
・事業場に労使委員会を設置して5分の4以上による決議
・事業主が労働者の正確な労働時間を把握

特に労働時間に関しては、年間104日以上、4週間を通じて4日以上の休日を与えることが義務化される予定です。さらに労働者が会社で働いた時間だけでなく、自宅など会社以外で働いた時間もあわせて「健康管理時間」として事業者が把握することが求められます。健康管理時間が一定時間を超えた場合には、医師による面接指導を実施する必要があります。

■高度プロフェッショナル制度のメリット

政府は高プロを設ける目的を「時間ではなく成果で評価される働き方を希望する労働者のニーズに応え、その意欲や能力を十分に発揮できるようにするため」としています。高プロの対象業務は長時間働けば成果が出るというものではなく、短時間の労働でも成果を上げれば高収入を得ることができるため、労働時間の削減とモチベーションアップの効果も期待できるわけです。

■高度プロフェッショナル制度のデメリット

一方で高プロが適用されると労働基準法の労働時間や休憩、休日、深夜の割増料金の規定が適用されません。そのため事業主は残業代や休日出勤代を支払わずとも労働者を何時間でも働かせることができるといった、間違った認識で制度を悪用することが懸念されます。

■正しく運用すれば労働者、事業主ともにメリットが多い

最近テレビや新聞などでは、日本の生産性が低下していると報道されています。2019年から順次スタートする高プロ制度を正しく利用すれば、仕事とプライベートを両立できるワークライフバランスを実現するだけでなく、事業主にとっても生産性を向上させるきっかけとなるかもしれません。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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